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審議 協議 違い 討議 意味 違いは

 

複数の人と話し合うことを「審議」もしくは「協議」と言います。また、場合によっては「討議」などと言ったりすることもあります。

これらの言葉はどう使い分ければよいのでしょうか?本記事では、「審議」と「協議」の違い、さらに「討議」についても解説しました。

審議の意味

 

まずは、「審議」の意味からです。

【審議(しんぎ)】

会議を開き、事情を調べ、可否を相談すること。

出典:三省堂 大辞林

審議」とは「ある物事について会議を開き、可否を決めること」を意味します。例えば、「国会で審議する」「予算の審議をする」などのように用います。

「審議」は「最終的に結論を出す」という点がポイントです。上記の例だと「法案に賛成か?反対か?」「予算はいくらまで出すか?」といった結論をはっきりと出します。

このように何かを話し合って結論を決めることを「審議」と言うわけです。

」という字は「球審」「審査」などがあるように「(何かを)はっきりさせる」という意味があります。つまり、「白黒をはっきりさせる」ということです。

「審議」は色々と話し合いますが、あくまで物事をクリアにすることが目的となります。

協議の意味

 

続いて、「協議」の意味です。

【協議(きょうぎ)】

話し合って決めること、またその話し合い。

出典:三省堂 大辞林

協議」とは「話し合って決めること」もしくは「その話し合い」を意味します。例えば、「対策を協議する」「三者で協議をする」などのように用います。

「協議」は、必ずしも結論を決めるわけではないという点がポイントです。「協議」をする上で重要なのは、結論へ導くために方向性を定めることです。したがって、場合によっては結論が決まらないということも十分ありえます。

こちらも語源を確認しておくと、「」という字は「協力」「協働」などがあるように「合わさる・一致する」という意味があります。すわなち、「議論しながら話題を合わせること」が「協議」の本来の目的ということになります。

討議の意味

 

続いて、「討議」の意味です。

【討議(とうぎ)】

ある事について、互いに意見を交わし論じ合うこと。ディスカッション。

出典:三省堂 大辞林

討議」とは「ある物事について、互いに意見を交わし合うこと」を意味します。例えば、「討議を重ねる」「方針を討議する」などのように用います。

「討議」は、話し合いの最初の段階で行われます。つまり、結論や方向性などではなく「そもそもどんな案があるのか?」といった意見を出し合うということです。

「討」という字には、「質問する・調べる」などの意味があります。そのため、相手に質問したり疑問を調べたりすることが「討議」の本来の目的となります。

審議・協議・討議の違い

審議 協議 討議 違い 使い分けは

 

ここまでの内容を整理すると、

審議」=ある物事について会議を開き、可否を決めること。

協議」=話し合って方向性を決めること。その話し合い。

討議」=ある物事について互いに意見を交わし合うこと。

ということでした。

それぞれの関係性を簡単に示すと、「討議」⇒「協議」⇒「審議」の順で話し合う、と言えます。

分かりやすい例を挙げますと、例えば「長生きするにはどうすればよいか?」というテーマで話し合ったとします。

まず色々な意見を出し合って、「討議」していきます。

  • 良質な睡眠をとる。
  • ストレスをためない。
  • バランスのよい食事をとる。
  • 医療を発達させる。

最初は、「結論を出すのではなく、意見を出し合うことが重要」ということでした。そのため、この時点ではあくまでどんな案があるかを各々が出し合っていきます。

次に、出てきた意見を元に「協議」していきます。

  • ストレスをためると食生活が乱れないだろうか?
  • 食べすぎなんかは、まさにそうだ。
  • 睡眠もそうだ。嫌なことがあると目が覚めやすい。

この段階では、「討議を元にテーマの方向性を定める」ということでした。「協議」は、結論を出すのではなく、あくまで意見をすり合わせていくことが重要です。

最後に「審議」です。「討議」を元に最終的な結論を出していきます。

  • ストレスは食事や睡眠とも深く関わっている。
  • だったら全ての行動に直結するのがストレスではないだろうか?
  • 長生きするにはやっぱりストレスをなくすことが一番重要だ。

最初に提示した「長生きするにはどうすればよいか?」というテーマに対する結論が出ました。「審議」は白黒をはっきりさせることが目的なので、ひとまず議論が終了したことになります。

もちろん、必ずしもこの順番で行わなければいけないわけではありません。あくまで、話し合いには大まかな順番があるという意味だと考えてください。

「議論」というのは、考え方が異なる複数の人が集まって行われます。したがって、ある程度決まった順番で進めた方が物事がスムーズに運ぶわけです。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

 

【審議の使い方】

  1. 国会が召集され、予算の審議が始まった。
  2. 問題発言を審議して、再発防止に努める。
  3. 実行委員会で審議した結果、今回は中止となった。
  4. 彼は政策審議会の副会長を務める男である。
  5. 取締役会で審議された結果、事案は却下された。

【協議の使い方】

  1. 株主総会で協議した結果、大まかな方針が定められた。
  2. 社会福祉における協議会に、一団体として加盟する。
  3. 社長・副社長・会長の三者で、今後の方針を協議した。
  4. 長年付き合った妻だが、協議離婚することになった。
  5. セキュリティー対策について、政府が協議を始めた。

【討議の使い方】

  1. 温暖化問題の解決策をグループで討議する。
  2. 男女平等問題について、討議してください。
  3. まずは意見を出し合って討議するつもりです。
  4. 日銀の金融政策を各専門家たちが討議した。
  5. 選挙が始まり、各政治家たちが討議を始めた。

 

補足しますと、「協議離婚」とは「夫婦間の話し合いによって離婚すること」です。「協議離婚」は「離婚」という方向性は定めます。

ただし、あくまで「協議」ですので離婚するかしないかは最初に決めません。協議が成立しない場合は、「調停離婚」「裁判離婚」などになります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

審議」=ある物事について会議を開き、可否を決めること。

協議」=話し合って方向性を決めること。その話し合い。

討議」=ある物事について互いに意見を交わし合うこと。

違い」⇒「討議」⇒「協議」⇒「審議」の順で進める。

いずれも相手と話し合う意味を持っていますが、それぞれの使い方は異なります。ぜひ正しい使い分けを行って頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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