「逝去」という言葉は、ビジネスではよく使われています。
「〇〇様が逝去されました」
「〇月〇日、ご逝去のお知らせ」
実はこの言葉を使う時は注意が必要です。
なぜなら、自分の身内と他人を
明確に区別する必要があるからです。
この記事では、
「逝去」の意味や読み方・使い方・類語
などを詳しく解説していきたいと思います。
さっそく、確認していきましょう。
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逝去の読み方・意味
まずは、読み方と基本的な意味です。
【逝去(せいきょ)】
⇒他人を敬って、その死をいう語。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「逝去」は「せいきょ」と読みます。
「いきょ」や「ほうきょ」とは読まないので注意してください。
意味としては、
「他人を敬った死のこと」を表します。
例えば、以下のような使い方です。
社長が本日付けで逝去されました。
この場合は、社長の死を敬った表現となっています。
企業のトップに対して、
単に「亡くなりました」と言うのは何だか心もとない表現です。
そこで、「社長の死」に対して尊敬の意を込める
という意味で「逝去」を使うわけです。
ここで、注意すべきは
「身内の訃報を知らせるような場合」です。
「逝去」は、身内ではなく他人の死に使う言葉です。
もしも身内に「逝去」を使ってしまうと、
「自分の家族を尊敬する」というよく分からない意味になってしまいます。
したがって、「身内」に対しては必ず
「死去(しきょ)」を使うようにしましょう。
「死去」とは、文字通り「死んでこの世を去ること」です。
身内や関係者の死を言う場合は、
通常は「死去」を使うと考えてください。
なお、「急逝(きゅうせい)」は
身内に対しても使うことができます。
「急逝」とは、「急に亡くなる」
という意味で尊敬語ではありません。
こちらは身内に対しても他人に対しても使える言葉となります。
メール文での逝去
続いて、
「逝去」の具体的な使い方を見ていきましょう。
一般的には、
「逝去」はお悔やみの挨拶文の中で使うことが多いです。
特にメールを使って、
お悔やみの意を伝える時によく使います。
以下は、実際の文例です。
① この度は、〇〇様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。
心身ともに大変な時だと存じますが、どうぞご無理をなさらないようにしてください。
心よりご冥福をお祈りいたします。
※このメールへのご返信は不要でございます。
② この度は、〇〇様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
ご遺族の皆様のお気持ちを思うと、言葉もありません。
直接お目にかかりお悔やみを申し上げたい所ではございますが、メールにて失礼いたします。
お悔み文で「逝去」を使う場合は、
前に「ご」をつけて「ご逝去」とします。
厳密に言うと、「逝去」は単語そのものが尊敬語なため、
本来は頭に「ご」をつけると二重敬語となります。
しかしながら、
弔事では「ご逝去」とすることが世間一般の慣例となっています。
そのため、社外文書やビジネスメールなどでも
前に「ご」をつけるようにしましょう。
また、①のようにメール末尾に
返信不要の記述をしておくと親切ですね。
メール文でのお悔やみは、あくまで形式上のものです。
文章でお悔やみを伝えた場合でも、
次に会った時には必ずお悔やみの言葉を口で伝えるようにしてください。
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逝去の類語
続いて、「逝去」の「類語」を紹介します。
「人の死」に対しては、様々な言い方があります。
なぜなら、「死」という概念は宗教によって異なるからです。
特に日本は、複数の宗教が入り混じっている国であるため、
「死」を表す表現は多数存在します。
ここでは、「逝去」の代表的な類語を
5つ紹介していきたいと思います。
「死亡」
「死亡」とは、文字通り
「死んで亡くなること」を意味します。
突然の事故や病気・犯罪などで亡くなった人を対象とします。
【例】⇒交通事故で死亡した。 死亡時刻。
「死亡」には、「逝去」のように尊敬の意は含まれていません。
主に、事務的な場面や医療の場で使うと考えてください。
「死去」
「死去」は、すでに説明した通り、身内にも他人にも使える言葉です。
「人が亡くなる」という意味では、最も一般的に使われています。
【例】⇒母が昨日、死去いたしました。
「死去」も「死亡」と同様に
事務的な場面で使われることが多いです。
ただし、
「死去」は事件や犯罪に対しては基本的に使いません。
「亡くなる」
「亡くなる」も「人の死」を表した言葉です。
手紙やメール文・話し言葉などでよく使われます。
【例】⇒父が亡くなりました。
「亡くなる」は尊敬語ではないため、
身内に対して使うのが基本です。
もしも他人に使う場合は、
「亡くなられる」「お亡くなりになる」
など尊敬を込めた表現にするのがよいでしょう。
「他界」
「他界」は「他の世界へ行く」と書きます。
要するに、「あの世へ行く」ということです。
「他界」は、
「死ぬこと」を遠回しに表現した言葉だと考えてください。
【例】⇒叔父様は、他界されました。
基本的には、身内にも他人にも使うことができます。
ただし、「他界」は仏教用語なため、
仏教以外の宗派(キリスト教など)には使わないのが無難です。
「永眠」
「永眠」は「永遠の眠りにつく」と書きます。
「永眠」は、「他界」と同様に「死」を遠回しにした表現ですが、
「他界」よりも情緒的・文学的な要素が含まれる言葉だと考えてください。
【例】⇒伝説の旅人が、90歳で永眠した。
「永眠」は、元々キリスト教の用語で
特にギリシア正教における「死」を表していました。
しかし、現在ではキリスト教に限らず
死を表す言葉として広く使用されています。
「永眠」も
「身内・他人」の両方に使える言葉となります。
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使い方・例文
では、最後にそれぞれの使い方を
例文で確認しておきましょう。
【逝去の例文】
- 逝去された○○氏を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
- 〇〇様のご逝去に際し、惜別の念を禁じ得ません。
- 〇〇様のご逝去、心からお悔やみを申し上げます。
【死亡の例文】
- 彼は不幸にも爆発事故で死亡した。
- 役所へ死亡届を提出してきました。
- 死亡推定時刻は、14時20分と言われた。
【死去の例文】
- 父は昨年の暮れ、死去いたしました。
- 学者として有名なA氏が、死去しました。
- 友人の父が、昨日死去したと聞きました。
【亡くなるの例文】
- 長年一緒にいた兄が、本日亡くなりました。
- 今日で父が亡くなってからちょうど3年です。
- 身内が亡くなるのは、本当に悲しい気分になります。
【他界の例文】
- 〇月〇日、母は他界しました。
- 本日付で、祖父は他界されました。
- かねてより療養中でしたが、昨日他界されました。
【永眠の例文】
- 父上は昨年1月に永眠しました。
- 彼が永眠してから今年で10年目である。
- 偉大な人が、永眠して帰らぬ人となった。
まとめ
以上、内容を簡単にまとめると
「逝去(せいきょ)」=他人を敬った死。(身内には使わない)
「使い方」=お悔み文では前に「ご」をつける。
「類語」=「死亡・死去・亡くなる・他界・永眠」など。
ということでした。
英語では「死」を意味する単語は、「death」だけです。
しかし、日本語だとこれだけ多くの表現があります。
ぜひ場面・場面によって上手く使い分けてみてください。
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国語力アップ.com管理人
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