今回は
「制作」と「製作」の違いを解説していきます。
「アニメを制作する」「服を製作する」
どちらも似たような漢字なので、非常にややこしいと思います。
この2つの使い分けは、
一体どのように行えばよいのでしょうか?
さっそく、確認していきましょう。
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制作の意味
まずは、「制作」の意味です。
【制作(せいさく)】
⇒芸術作品などを作ること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「制作」とは、
「芸術作品を作ること」を言います。
「芸術作品」とは、
「人が作った創作的なもの」だと思ってください。
例えば、以下のような使い方です。
- 絵画を制作する
- 彫刻を制作する
- 肖像画を制作する
いずれも「芸術的な作品」を
対象としているのが分かるでしょう。
「制作」の語源を確認しておくと、
「制」という字は「制御」「制定」などがあるように
「ととのえる」という意味があります。
すなわち、「制作」の本来の意味は、
「何かをととのえて作り上げる」ということになります。
製作の意味
続いて、「製作」の意味です。
【製作(せいさく)】
①道具や機械などを使って品物を作ること。
②映画・演劇・テレビ番組などを作ること。プロデュース。制作。
③詩文・美術作品などを作ること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「製作」とは「物を作ること」を言います。
この場合の「物」とは、
家具や道具・機械などを指すと考えてください。
例えば、以下のような使い方です。
- 机を製作する
- ナイフを製作する
- 印刷機を製作する
「製作」の語源も確認しておくと、「製」という字は
「製鉄」や「製薬」などがあるように
「こしらえる・完成させる」などの意味があります。
転じて、
「製作」は「何かを設計して物を作る」
という意味になるわけです。
ちなみに、
「製作」は辞書の説明には3つ意味が書かれています。
ただし、
ほとんどの場合は①の意味しか使われません。
②と③については後ほど解説しますが、とりあえず、
①の意味を覚えておけば問題ないと考えてください。
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制作と製作の違い
ここまでの内容を整理すると、
「制作」=芸術作品を作ること。
「製作」=物を作ること。
ということでした。
両者の違いを簡単に言うと、
「作るものの違い」ということになります。
「制作」は、絵画や美術、音楽など
主に芸術的な作品を作る場合に使います。
この中には、
テレビ番組の制作や動画制作、卒業制作なども含まれます。
一方で、
「製作」の方は実用的な物を作る場合に使うのです。
「実用的」とは、「日常生活で役に立つ」という意味ですね。
すでに説明した通り、実用的な物は
机やイス・機械・衣服などが含まれます。
このように、
日常生活で役に立つ物を作る場合は「製作」を使うのです。
整理すると、
「制作」=芸術的な作品に対して使う。
「製作」=実用的な物に対して使う。
となります。
基本的には、
上記のような理解で問題ありません。
ただし、
実際には両者の使い分けは判断に迷う場合もあります。
例えば、以下のような場合はどうでしょうか?
映画のせいさく者に、仕事を依頼する。
普通に考えれば、
「映画」は芸術的な作品なので、
「制作」が正しいでしょう。
実際に、映画の場合は
劇場で放送される作品を作る人や会社を
「制作者」と呼んでいますからね。
しかし、出資や宣伝・資金調達など
映画作りの全工程に関わるような人や会社は、
「製作者」と呼ばれているのです。
これはつまり、
映画の創作としての活動は「制作」を使い、
映画の物としての製造は「製作」を使っているのだと思われます。
このように、「制作」と「製作」は、
線引きするのが難しい場合もあります。
映画に限らず、ゲームやアニメ・テレビなども
「創作物」と「製造物」は使い分けがされています。
これらの業界では、
昔から決まっている使い方も存在するのです。
したがって、
「一概にどちらが正しいとは言えない場合もある」
ということも頭に入れておいてください。
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使い方・例文
では、最後にそれぞれの使い方を
例文で確認しておきましょう。
【制作の使い方】
- アトリエで、絵画の制作を行う。
- ウェブサイトやホームページを制作する。
- 卒業制作として、オリジナルの作詞・作曲を披露した。
- テレビの制作会社で、映像や音声の編集をする。
- アニメや映画を制作する会社へ就職する。
- 簡易的なプログラムを制作する。
【製作の使い方】
- 彼は機械部品を製作する会社に勤めている。
- 小学校の図工の時間で、ハンドメイドを製作した。
- 大型の飛行機を製作するプロジェクトを任された。
- 設計図が完成したので、機械の製作にとりかかる。
- アクセサリーを製作して、プレゼントする。
- 服を制作して、関連会社へ納品する。
補足すると、「ウェブサイト」や「ホームページ」などは
「制作」を使うと考えて下さい。
理由は簡単で、
ウェブサイトは一種のアートと同様だからです。
大まかなテンプレートはあるものの、
全くとして同じようなサイトはありませんよね。
デザインや文字の種類、サイズ、各種画像などは個人によって異なってきます。
なので、「制作」を使うわけです。
これと同じ理由で、
プログラムなどを作る場合も「制作」を使います。
ちなみに、似たような言葉で「作成」がありますが、
「作成」とは「書類や文書などを作り上げること」を意味します。
対象が書類や文書なので、芸術的なものや実用的な物はもちろん含みません。
間違えやすい言葉なので、気を付けて下さい。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「制作」=絵画や彫刻など、芸術作品を作ること。
「製作」=家具や道具・機械など実用的な物を作ること。
ということでした。
「映画」や「アニメ」など境界が曖昧なものは、
どちらを使っても間違いではありません。
それら以外の使い分けは、
「芸術的」か「実用的」かで使い分けるようにしましょう。
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国語力アップ.com管理人
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