形容詞の「かたい」を漢字で書く場合、
いくつかの表記が存在します。
「固い」「硬い」「堅い」
どれも普段からよく目にする漢字ですね。
特に身近な食べ物に関しては、
どれを使うべきか迷う人も多いかと思われます。
そこで今回はこの「かたい」の意味や
使い分けについて詳しく解説しました。
さっそく、見ていきましょう。
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固いの意味と反対語
まずは、「固い」の意味からです。
「固い」は「固体・固形」などの熟語があるように、
「全体が強くて形が変わらない」という意味があります。
主に、固いことにより形が変わらなかったり、
モノとモノが容易に離れなかったりするような時に使います。
【例】⇒地盤が固い。固い結び。
反対語は「緩い(ゆるい)」です。
また、比喩的に用いる場合は、
「固い握手」「固い友情」「固い結束」「財布のひもが固い」
などのように使うこともあります。
「頭が固い」などと言うのも、
固くて融通が利かない様子からきているものです。
硬いの意味と反対語
次に、「硬い」の意味です。
「硬い」は「硬直・硬化」などの熟語があるように、
「力を加えても形が変わらない」という意味があります。
したがって、何らかの力や動作を加えても、
簡単には形状が変わらないような時に使います。
【例】⇒硬い石。硬いボール。硬い鉛筆。硬い髪。
その他、比喩的に用いる場合は、
「表情が硬い」「態度が硬い」「硬い文章」
などのように使うこともあります。
なお、「硬い」の反対語は
「軟らかい(やわらかい)」と言います。
堅いの意味と反対語
続いて、「堅い」の意味です。
「堅い」は「堅陣・堅固・堅氷」などの熟語があるように、
「中が詰まっていて砕けにくい」という意味があります。
【例】⇒堅い材木。堅い炭。堅いパン。堅焼き。
その他、比喩的に用いる場合は、
「口が堅い」「義理堅い」「手堅い商売」「底堅い動き」
などのように使います。
「堅い」の反対語は「もろい」と言い、
漢字だと「脆い」と表記します。
まじめすぎて融通が利かない人を「堅物」と言うのも、
「脆い所がない様子」と考えれば分かりやすいでしょう。
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固い・硬い・堅いの違い
以上の事から考えると、
「かたい」の違いは次のように定義することができます。
「固い」=全体が強くて形が変わらない。⇔「緩い」
「硬い」=力を加えても形が変わらない。⇔「軟らかい」
「堅い」=中が詰まっていて砕けにくい。⇔「脆い」
「固い」は、全体が強くて形が変わらない状態を意味します。
言い換えれば、
「一定の形ができており固まっている状態」ということです。
したがって、簡単には変わったり離れたりしない物質に対して使うのです。
物質以外の場合も「頑固な人、融通が利かない人」
などを対象とするのも同じ理由からです。
また、「硬い」については、
「力を加えても」という行為が前提として付け加えられるのがポイントです。
例えば、石やボールなどであれば、
投げたり転がしたり押したりしても形が変わるということはありません。
このように、物理的な力が加えられたとしても、
そう簡単には形や状態が変わらないような時に「硬い」を使うのです。
表情や態度などに対して使う場合も、
何らかの外部の影響を受けない様子から派生したものだからだと言えます。
そして、「堅い」については、
「中が詰まっている」という点がポイントです。
例えば、材木であったら中に木の繊維質がぎっしりと詰まっていますし、パンであれば中にしっかりと生地が練りこまれています。
このように、同じ物質としてかたい場合でも、
材質としての堅さを表すような時に「堅い」を使うのです。
「性格が堅い」「口が堅い」などの表現も、
しっかりとした材質の安定感があるという意味から来たものです。
一般的には、「固い」は「緩い」の
反対語といった趣で広く一般に使われます。
また、「硬い」は、「軟らかい」の反対語として、
物の性質や状態・人の態度などに使われることが多いです。
「堅い」に関しては「脆い」の反対語といった趣で、
人や物の性質に使われることが多いです。
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固い・硬い・堅いの使い方・例文
では、「固い・硬い・堅い」の使い方を
実際の例文で確認しておきましょう。
【固いの使い方】
- 新年の初めに、今年1年の固い決意を表明した。
- 両国の首脳は、初対面ながら固い握手を交わした。
- キリスト教は一つの神様を固く信じている宗教である。
- マニュアル通りにしか仕事ができないのは、頭が固いと言われる。
- 彼らは長く共に過ごしてきたチームなので、固い絆で結ばれていた。
- 財布のひもが固い奴と言われたが、不景気なので仕方ないだろう。
【硬いの使い方】
- 硬式野球は軟式野球よりも硬いボールを使用している。
- ラーメンは柔らかい麺よりも硬い麺の方が好みである。
- 鉛筆やシャーペンの芯は、2BよりもHBの方が硬い。
- 緊張していたのか、その男はいつもより硬い表情をしていた。
- たまの飲み会なのでそんなに硬い話はよしてくれ。
- 硬い文章は分かりにくいが、ビジネスなどではよく使われる。
【堅いの使い方】
- 欅の木は、他の木に比べて堅いと言われている。
- これだけ猛勉強したのだから、合格するのは堅いだろう。
- 守りの堅い鉄壁の守備陣を中心としたチームを作り上げる。
- あなたは口の堅い人なので、今回に限っては秘密を話そうと思う。
- この古本は価値があるので、売りに出せば1万円越えは堅い。
- 公務員や弁護士、銀行員などは、お堅い職業だと言われる。
なお、「やわらかい」については下記の記事で詳しく解説していますので、こちらも目を通しておくと理解がより深まるのでおすすめです。
関連:>>柔らかいと軟らかいの違いとは?意味や使い分けを解説
まとめ
以上、内容を簡単にまとめると、
「固い」=全体が強くて形が変わらない。「緩い」の対義語で広く一般に使われる。
「硬い」=力を加えても形が変わらない。「軟らかい」の対義語で主に物の性質や人の態度に使う。
「堅い」=中が詰まっていて砕けにくい。「脆い」の対義語で主に人や物の性質に使う。
ということでした。
一般には「固い」がよく用いられますが、
どれも普段の文章で使われる場合があります。
元からある熟語や反対語などと合わせて
違いを頭の中で整理しておきましょう。
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国語力アップ.com管理人
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