今回は
「張る」と「貼る」
の違いを解説していきます。
「はる」という言葉は2通りの漢字が使われていますね。
「ポスターを貼る」
「テントを張る」
上記の「はる」は、
一体どのように使い分ければいいのでしょうか?
さっそく、確認していきましょう。
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張るの意味
まずは、「張る」の意味からです。
【張る】
①広がりのびる。
②のばし広げる。
③一面におおう。
④いっぱいにする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「張る」には多くの意味がありますが、
一般的には上記4つの意味として使われることがほとんどです。
それぞれの使い方は以下のようになります。
- 根を張る。
- テントを張る。
- 池に水が張る。
- バケツに水を張る。
「張る」という言葉は、
「引っ張って伸ばすイメージ」だと思ってください。
つまり、
何かを引っ張ったり広げたりするような感じですね。
「張る」は、テントや糸など
「張力」のかかる物に対して使うことが多いです。
また、建築関係としては
以下のような使い方もします。
- タイルを張る。
- フローリングを張り替える。
こちらも床一面に建材が広がるようなイメージですね。
貼るの意味
続いて、「貼る」です。
「貼る」の意味は、
単体では辞書にはのっていません。
その理由は、
「貼る」は常用漢字ではないからです。
「常用漢字」とは、
「一般人が日常生活において、これくらいは使う」
という目安を国が示したものです。
この中に「貼る」は含まれていません。
したがって、多くの辞書では、
「貼る」は「張る」の中に補足的に書かれています。
以下、「張る」の項目からの引用です。
(「貼る」とも書く)のりなどでくっつける。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「貼る」の使い方は、以下の通りです。
- 切手を貼る。
- シールを貼る。
- ポスターを貼る。
「貼る」の方は、
「何かをぺたっとくっつけるイメージ」で考えてください。
つまり、
何かを「糊(のり)」などで引っ付けるような時に
「貼る」を使うわけです。
また、「貼る」も、
建築用語として使われています。
例えば、以下のような使い方です。
- 壁紙を貼る。
- クロスを貼る。
こちらものりなどの接着剤を
使用して施工する場合に使います。
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張ると貼るの違い
ここまでの内容を整理すると、
「張る」=引っ張ったり広げたりする。
「貼る」=のりなどで引っ付ける。(常用漢字外)
ということでした。
両者の違いを2つの点から比較したいと思います。
1つ目は、
「常用漢字かどうか」です。
「張る」は「常用漢字」です。
したがって、テレビや新聞などのメディアは、
「張る」または「はる」を使うことで統一しています。
一方で、「貼る」は常用漢字ではありません。
そのため、
「貼る」は読み書きの世界では基本的に使わないのです。
2つ目は、
「建築業界での使い方」です。
「建築業界」では、
「張る」と「貼る」はどちらも使われています。
その理由は、「読み書き」の世界ではなく、
「建物を建てる」世界だからですね。
「建築業界」では、一般的に
以下のように使い分けされているようです。
「張る」⇒「のり」を使わないで施工する場合。
「貼る」⇒「のり」を使って施工する場合。
「張る」の場合は、
施工時に「のり」を使いません。
具体的には、釘やモルタルを使った
タイル・外壁などの施工を指します。
対して、「貼る」の場合は
施工時に「のり」を使います。
こちらは、接着剤を使った
クロスや壁紙の施工を指します。
簡単に言えば、
【のりで接着するときは「貼る」、それ以外は「張る」】
と覚えてもよいでしょう。
以上、まとめると、
「張る」⇒常用漢字。施工時に「のり」を使わない。
「貼る」⇒常用漢字外。施工時に「のり」を使う。
となります。
ちなみに、
必ずしも上記のような使い分けが
されているわけではないようです。
正式なルールではなく、
あくまで「建築業界の慣習的なもの」
と考えたほうがよいでしょう。
一般的には、不動産・リフォーム業界なども
建築業界に合わせて上記の使い分けを行っている場合が多いです。
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使い方・例文
では、最後にそれぞれの使い方を
改めて確認しておきましょう。
【張るの使い方】
- 寒くなって来たのでお風呂に水を張る。
- 壁一面に張られた鏡に自分の姿が映った。
- 部屋中に緊張の糸が張りつめていた。
- 外壁屋がサイディングを張る作業に入った。
- ついにタイルを張る作業を完成させた。
【貼るの使い方】
- クロスの貼替え費用を見積もってもらう。
- 履歴書に自分の証明写真を貼る。
- ポスターを部屋中の壁に貼る。
- 忘れないようにパソコンに付箋を貼る。
- 200円分の切手を封筒に貼る。
一般的な読み書きの場合は、
「貼る」はひらがなで書くという選択肢もあります。
つまり、
「貼る」⇒「はる」ということです。
もちろん、「貼る」と書いても
決して間違いではありません。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「張る」=引っ張ったり広げたりする。(常用漢字)
「貼る」=のりなどで引っ付ける。(常用漢字外)
ということでした。
建築業界の場合は、
【のりでくっつける時は「貼る」、それ以外は「張る」】
と覚えておきましょう。
では、今回は以上となります。
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国語力アップ.com管理人
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