「本年」と「今年」には、
明確な違いがあるのでしょうか?
「本年も宜しくお願い致します。」
「今年も末永くお願い致します。」
どちらも年賀状や仕事のメールなどで
よくみる表記だと思います。
さらに、後ろに「度」がついて、
「本年度」と言う場合もあるようです。
今回はこれらの言葉の使い分けについて詳しく解説しました。
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本年と今年の意味
まず、それぞれの意味を調べると、
次のように書かれています。
【本年(ほんねん)】
⇒ことし。当年。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
【今年(ことし)】
⇒現在を含んでいる年。この年。こんねん。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
上記のように、「本年」と「今年」は、
同じような意味として載っています。
どちらも、
「その年の1月1日~12月31日までの間」という意味が共通しています。
したがって、
「辞書としての意味はほぼ変わらない」ということになります。
ただし、日本語というのは複雑な言語なため、
一般的には使い分けがされているようです。
「辞書に書かれていることが全てではない」ということですね。
では、一体どう使い分ければよいのか詳しく見ていきましょう。
本年と今年の使い分け
結論から言いますと、
「本年」⇒丁寧でかしこまった場面で使う。
「今年」⇒格式張らずに接する場面で使う。
と考えてください。
「丁寧でかしこまった」とは、
具体的にどのような場面でしょうか?
例えば、以下のようなケースです。
- 会社の上司に年賀状を送る。
- 目上の人に年賀状を送る。
- 取引先の人に年賀状を送る。
このような場合は、上司や目上の人・相手先を敬い、
丁寧に接しなければいけません。
特にビジネスにおける取引先などは、
今後の仕事を円滑に進めるためにも礼儀やマナーが重要です。
よって、
この場合は「本年」を使うわけです。
一方で、「格式張らずに接する場面」とは
以下のようなケースです。
- 学生がクラスの同級生に年賀状を送る。
- 社会人が自分の親しい友人に年賀状を送る。
- 長年付き合っている友人に年賀状を送る。
言い換えれば、
「個人的な付き合いをしている相手」ということですね。
プライベートの友人は、相手を敬うというよりも、
親しみやすさを感じさせることの方が大事です。
したがって、
この場合は「今年」を使うわけです。
まとめると、
「本年」=上司や目上、取引先などに使う。
「今年」=学生同士・友達相手などに使う。
となります。
もちろん、
学生や友達同士で「本年」を使っても
決して間違いというわけではありません。
「年賀状」というのは、
言い回しが失礼にならないように気をつけるものなので、
相手を敬う分には特に問題ないです。
ただし、逆の場合は
失礼になるので注意が必要です。
上司や目上の人に対しては、
必ず「本年」を使うようにしましょう。
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本年度と今年度の違い
「本年」と「今年」に似た言葉で、
「本年度」と「今年度」があります。
これら4つはどんな違いがあるのでしょうか?
簡単に言うと、「期間」が違います。
「本年」と「今年」は、
その年の1月1日~12月31日を指します。
一方で、「本年度」と「今年度」は、
その年の4月1日~翌年の3月31日を指すのです。
「年度」というのは、元々
国や企業が仕事を区切る期間として設定しました。
そのため、国の予算などは
4月1日から翌年の3月31日で区切っているのです。
考えて見れば、学校や大学の年度というのも
4月1日から新学期が始まりますよね。
その理由は年度で区切っているからです。
ここで気を付けることは、
1月1日~3月31日の3か月の間に「本年度」という言葉が登場した場合です。
この場合は、
前年のことを指しているので注意が必要です。
つまり、2020年2月1日に「本年度」と書いたら、
2019年4月1日~2020年3月30日のことを指すということです。
そのため、年賀状などには
決して「本年度」と書いてはいけません。
もしも「本年度も宜しくお願い致します」と書いたら、
「その年の3月31日までお願いします」というよく分からない内容になってしまいます。
「本年度」や「今年度」は年賀状ではなく、
「企業の決算報告などに使う言葉」と覚えておきましょう。
なお、「本年度」と「今年度」には
意味自体の差はほとんどありません。
どちらかというと「本年度」の方が改まった場面で使いますが、
「今年度」も決算報告など同様の場面で使われています。
よって、後ろに度が付いた場合は、
特に違いや使い分けを気にする必要はないと言えるでしょう。
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使い方・例文
では最後に、それぞれの使い方を
例文で確認しておきます。
【本年の使い方】
- 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
- 本年は〇〇大統領の記念すべき10周年の年です。
- 本年も社員一同、より一層の努力をする所存です。
- 本年から正式な大会を開催する予定でございます。
- おかげさまで本年度の総入場者数は10万人を超えました。
【今年の使い方】
- 今年もどうぞよろしくお願い致します。
- 今年は時間を作ってぜひともお会いしたいものです。
- 去年は参議院の選挙、今年は衆議院の選挙があった。
- 今年は全国各地で猛暑日を記録している模様です。
- 今年度の決算が出そろったので、会社が発表した。
補足すると、「去年」と「昨年」も
正式には使い分ける言葉です。
前の年を表す際は、
「去年」よりも「昨年」の方が丁寧な表現となります。
目上の人や取引先などに年賀状を渡す時は、
通常、「去年」は使いません。
この場合は、
「昨年は大変お世話になりました。」などと書きます。
(正)⇒「昨年は大変お世話になりました。」
(誤)⇒「去年は大変お世話になりました。」
「本年」と「昨年」は、
同じセットとして使う言葉だと考えて下さい。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「本年」⇒丁寧でかしこまった場面で使う。(上司や目上の人など)
「今年」⇒格式張らずに接する場面で使う。(友人同士など)
「本年度・今年度」=その年の4月1日~翌年の3月31日までの間。
ということでした。
年末年始は、これらの言葉がよく使われます。
ぜひしっかりと使い分けをできるようにしておきましょう。
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国語力アップ.com管理人
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