会社のイベントには、
「飲み会」「忘年会」など様々なものがあります。
特に1月という季節になると、
多くの企業が集まり「賀詞こうかん会」が開かれます。
この「賀詞こうかん会」ですが、
どうやら2つの漢字が使われているようです。
「賀詞交換会」「賀詞交歓会」
一体どちらを使うのが正しいのでしょうか?
本記事では、
「賀詞交換会」と「賀詞交歓会」の
違いや使い分けについて詳しく解説しました。
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交換と交歓の違い
まず最初に、
「交換」と「交歓」の意味を辞書で引いてみます。
【交換(こうかん)】
⇒取りかえること。また、互いにやり取りすること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
【交歓(こうかん)】
⇒ともに打ち解けて楽しむこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「交換」とは、
「取りかえる。互いにやり取りする」という意味です。
例えば、以下のように使います。
- 持ち物を交換する。
- 連絡先を交換する。
- 意見を交換する。
つまり、
「互いに持っているものを取りかえる」ということです。
「交換」の方は、普段から
よく使われているので大丈夫でしょう。
一方で、「交歓」とは
「互いに打ち解けて楽しむ」という意味です。
この場合は、以下のように使います。
- 昔の友達と交歓する。
- 相手の選手と交歓する。
- 卒業生の交歓会を開く。
「交歓」の方は簡単に言うと、
「互いに仲良く楽しむ」という意味だと考えて下さい。
どちらも「こうかん」と読むことができる漢字ですが、
実際には両者は全く意味が異なります。
これらの違いを踏まえた上で、両者の使い分けを見ていきます。
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賀詞交換会と賀詞交歓会の違い
では、「賀詞交換会」と「賀詞交歓会」は
どう使い分ければいいのでしょうか?
結論から言いますと、
「賀詞交換会が正しく、賀詞交歓会は誤り。」
だと考えてください。
言い換えれば、「賀詞交換会の方のみを用いる」ということです。
順を追って見ていきましょう。
まず、「賀詞(がし)」とは、
簡単に言うと「お祝いの言葉」という意味です。
例えば、お互いの社員同士が
- 「新年明けましておめでとうございます。」
- 「お陰様で良き新年を迎えることができました。」
- 「今年もどうぞよろしくお願いします。」
などのように交わすお祝いの言葉を「賀詞」と言うわけです。
年賀状に書く「新春」「謹賀新年」などの言葉も
「賀詞」に含まれると考えて構いません。
ここで改めて両者の言葉を比較してみると、
「賀詞交換会」=「お祝いの言葉をとりかわす」
「賀詞交歓会」=「お祝いの言葉を打ち解けて楽しむ」
となります。
見て分かるように、後者の方は明らかに違和感があります。
「言葉」というのは、互いに「とりかわすもの」であり、
「打ち解ける・楽しむ」とは言いません。
これは意味的にも文法的にもおかしな話です。
「相手と打ち解ける」「雰囲気を楽しむ」などは言いますが、
「言葉を打ち解けて楽しむ」とは誰も言いません。
では、なぜ「賀詞交歓会」を
間違って使う人が多いのでしょうか?
これはおそらく、
「新春交歓会」や「新年交歓会」と混同しているからだと思われます。
この場合の「こうかん」は、
互いに打ち解けることが目的なので、
「交歓」と書くのが正しいです。
しかし、「賀詞こうかん会」の場合は、
前に「賀詞(お祝いの言葉)」がついてます。
そのため、
後ろの語句は「交換」でないと意味が通じません。
仮に「交歓会」とするならば、
「賀詞」という単語を持ってくる必要性はないでしょう。
その場合は、実際にはありませんが、
「賀正交歓会」「賀春交歓会」などの表現が正しいはずです。
いずれにせよ、「賀詞」というのは言葉を表すものなので、
相手と交換するのが本来の使い方です。
したがって、
「賀詞交換会」が正しい言葉という結論になるわけです。
現在でもなぜか「賀詞交歓会」の方を
間違って使っている企業がいくつかあります。
言葉本来の意味から考えれば、「交歓」の方は
誤った使い方だということは認識しておいてください。
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賀詞交換会の使い方・例文
「賀詞交換会」という言葉は、
実際にどのような文で使えばよいのでしょうか?
以下に、簡単な例文を用意しました。
- 新年恒例のイベントとして、賀詞交換会を開く予定です。
- 本日は、午後から取引先の会社の賀詞交換会に行ってきました。
- 賀詞交換会に参加して、仕事の人脈を広げるようにしよう。
- 今月の賀詞交換会に会社の代表として出席することになった。
- 賀詞交換会に行くときは、招待状と名刺を持っていくのが一般的だ。
- 賀詞交換会にふさわしい服装・マナーを身につけてください。
「賀詞交換会」という言葉は、
上記のようにビジネスに関する場で使うのが基本です。
特に、新年始めに各企業が開く催し物の一部として、
「賀詞交換会」が開かれることが多いです。
実際の会場では、
お互いの関係者同士が挨拶をしたり名詞交換をしたりします。
初めて会う人もいれば、顔なじみの人、常連の人など様々な人がいるでしょう。
それらの人と、今後の仕事上の付き合いを円滑にするという意味も込めて、食事などもとりながら交流をはかるようなイメージです。
なお、「交換」を使う他の例としては、
他に「年賀交換会」「名刺交換会」などが挙げられます。
「年賀」とは、
「新年を祝う品物やギフト」のことです。
これらの贈り物も
「お互いにとりかわす」という意味で
「交歓」ではなく「交換」を使います。
「名詞交換会」も「名詞を交換すること」が本来の趣旨ですので、
この場合も「交換」を使うことになります。
本記事のまとめ
以上、今回は「賀詞こうかん会」の
違いや使い分けについて解説しました。
内容を簡単にまとめると、下記のようになります。
「賀詞交かん会」=会社の社員同士がお祝いの言葉を取り交わすこと。
「賀詞」とは「お祝いの言葉」を意味する。
「言葉」は「とりかわすもの」なので「賀詞交換会が正しく、賀詞交歓会は誤り」。
この記事をきっかけに、
ぜひ正しい漢字を使っていただければと思います。
では、今回はここまでです。
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国語力アップ.com管理人
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