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讃える 称える 違い 使い分け 意味

「たたえる」という動詞は、2つの漢字が使われています。

「相手を称える」「栄誉を讃える

何かの賞状などを渡す時によく使われる両者ですが、どのように使い分ければいいのでしょうか?今回は、「称える」と「讃える」の違いについて解説しました。

讃えると称えるの意味

 

まず、「たたえる」の意味を辞書で引くと次のように書かれています。

【たたえる(称える)】

ほめていう。ほめる。

名付けていう。称する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

【たたえる(称える)】

① (「讃える」とも書く)すぐれているとほめる。

② (ほめて)名をいう。

出典:三省堂 大辞林

上記2つの辞書から引用しました。「たたえる」という言葉は、一般的には「称える」として載っています。

「讃える」の方は、多くの場合補足的に書かれているものがほとんどです。あるいは、そもそも記述されていないというケースもあります。

意味としては、「相手をほめること」を表します。例えば、以下のような使い方です。

彼の栄誉を称える記念碑が建てられた。

このように、相手の功績や業績などをほめる時に「たたえる」を使うことになります。

讃えると称えるの違い

讃える 称える 違い

 

「称える」と「讃える」にはどんな違いがあるのでしょうか?

それぞれの語源を確認しておくと、「讃える」の「」は元々「たすける・すすめる」などの意味でした。転じて、現在では「他人の美徳をほめる」という意味で使われています。

一方で、「称える」の「」は、元々「天秤に持ち上げて、はかる」という意味でした。転じて、現在では「相手をほめる」という意味で使われています。

つまり、元々の語源は異なるものの、意味自体に大きな差はないということです。

では、この2つは一体何が違うのかと言いますと「漢字の種類」です。

「称える」の「」は常用漢字です。一方で、「讃える」の「」は常用漢字には含まれていません。

「常用漢字」とは、「一般人が日常生活において、これくらいは使う」という目安を国が示したものです。一般的には、この常用漢字に従い、政府やマスコミなどは文書を書いています。

これらの事から考えますと、「」の方はそもそも「国が書くことを推奨していない漢字」ということになります。したがって、「讃える」の方は、辞書にも補足的に書かれているものがほとんどなのです。

では、「讃える」ではなく「称える」を使えばいいのか?ということですが、話はそう単純ではありません。「称」という字は常用漢字内ですが、「称える」という読み方は常用漢字表にのっていません。

つまり、「称」自体は「常用漢字内」だけれども、「たたえる」という読み方は「常用漢字外」なのです。これを「表外読み」と言います。

「表外読み(ひょうがいよみ)」とは「常用漢字表にない読み方のこと」です。一般的には、常用漢字に含まれていても表外読みの場合はひらがなで書くのが慣例です。したがって、公文書などではどちらも「たたえる」と書くのがルールとなっています。

讃えると称えるの使い分け

 

以上の事から考えますと、両者の使い分けは

一般的にはどちらも使えるが、新聞・公文書などではひらがなで書く

という結論が出せます。

両者ともに、一般的には使うことができます。

例えば、普段の文章や手紙、小説、Webの文章などでは、どちらも使うことが可能です。ただし、新聞や公文書などでは、漢字ではなくひらがなで書くのが適切となります。

その理由は、先ほども説明したように「称える」は表外読み、「讃える」に関してはそもそも常用漢字外だからです。

なお、共同通信社の「新聞用語集」では、以下のようなルールを決めているようです。

讃える・称える・賛える」⇒「たたえる(褒める)

要するに「たたえる」という漢字は、すべてひらがなで書くか、もしくは「褒める」と書くということです。

読み書きの世界であるメディアは、漢字の混同を嫌う傾向にあります。したがって、まぎらわしい漢字がある場合はこのように統一するわけです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

讃える」=漢字も読み方も常用漢字外。

称える」=「」は常用漢字内だが、「称(たた)える」が表外読み。

使い分け」⇒原則としてひらがなで「たたえる」と書く。もしくは「褒める」と書く。

個人的な文章では、「称える」「讃える」のどちらを使っても問題ありません。もちろん、新聞や公文書などに従い、ひらがなで書いてもよいでしょう。ただ、公的な文書の場合は必ず「たたえる」とひらがなで書くようにしてください。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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