「状況」と「状態」
どちらも普段からよく使われている言葉です。
「現場の状況」「彼の状態」
この2つの違いが気になる人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
「状況」と「状態」の使い分けについて詳しく解説しました。
さっそく、確認していきましょう。
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状況の意味
まずは、「状況」の意味からです。
【状況(じょうきょう)】
⇒移り変わる物事の、その時々のありさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「状況」とは、
「その時々の物事の様子」という意味です。
「状況」は、
「物事」に対して使うのが特徴です。
例えば、以下のような使い方をします。
犯行現場の状況を伝える。
この場合は、
「犯罪が起きた現場の様子を伝える」ということですね。
具体的には、
- 事件発生から2時間経過した。
- パトカーは5台ほど止まっている。
- 通行止めのテープが引かれている。
- 周辺住民は、まだ不安な気持ちでいる。
といったことです。
このように、「状況」は
その時々の物事の様子や雰囲気などを伝える時に使うのです。
したがって、その様子は
周りや周辺などを含めた広い範囲のものとなります。
状態の意味
続いて、「状態」の意味です。
【状態(じょうたい)】
⇒人や物事の、ある時点でのありさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「状態」とは、
「ある時点での人やモノの様子」という意味です。
「状態」は「人」や「モノ」に対して使うのが特徴です。
例えば、以下のような使い方をします。
- 彼女の健康の状態は良い。
- パソコンの状態が悪い。
- 彼の精神状態は心配だ。
「状態」を使う時は、
「対象そのものの様子」を表す時に使われます。
つまり、
彼であれば「彼の状態のみ」ということですね。
この時に、彼の友達や親など、
周りの様子は含まれないという点が大事なポイントです。
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状況と状態の違い
ここまでの内容を整理すると、
「状況」=その時々の物事の様子。
「状態」=ある時点での人やモノの様子。
ということでした。
両者は、2つの点から比較すると分かりやすいです。
一つ目は、
「周囲の様子を含めるかどうか」です。
「状況」は「物事」に対して使います。
したがって、「事件」や「事故」など
周囲の様子も含めた出来事に使うのが一般的です。
一方で、「状態」の方は
「人」や「モノ」自体に対して使います。
よって、こちらは周りの様子というよりも、
対象そのものの様子に使うのです。
2つ目は、
「時間的な違い」です。
「状況」は、その時々の様子を表した言葉です。
そのため、「過去はAだったけど現在はB」のように
時間的な経過も含めた様子を表します。
対して、「状態」の方は、
ある時点での様子を表した言葉です。
つまり、こちらは「現在の状態はA」のように、
時間的に固定した様子を表した言葉なのです。
以上、まとめると、
「状況」=物事に使う。(時間の経過や周りも含めた様子)
「状態」=人やモノに使う。(対象を固定的に見た様子)
となります。
要するに、
「状況」の方が空間的に広い概念ということですね。
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情況の意味・使い分け
似たような言葉で、
「情況(じょうきょう)」もあります。
「情況」とは、どんな意味なのでしょうか?
結論から言うと、
【意味としては「状況」と同じ】です。
多くの辞書で調べても、
「状況」と「情況」は一つの項目として載っています。
つまり、
ほとんど意味に違いはないということです。
ただし、ごく一部の辞書では、
「状況」=外からみたありさま。
「情況」=物事の動きゆく様子。
と両方記述しているものもあります。
しかし、
実際の所「状況」と「情況」を区別して使うケースはほとんどありません。
昭和29年の「法令用語改正要領」でも、
「状況」と「情況」は統一して、「状況」を用いる。
ということが決まっています。
したがって、私たち一般人としては
「状況」のみを覚えておけば問題ないと言えるでしょう。
使い方・例文
では、最後にそれぞれの使い方を
例文で確認しておきます。
【状況の使い方】
- 事故現場の状況をリポーターが詳しく伝える。
- 野球は状況に応じて守備位置を変える必要がある。
- 教室に入ると、いつもと状況が違うことに気づいた。
- 今までの状況が好転し、良い運がまわってきたようだ。
- 初戦でいきなり負けたため、危機的な状況に追い込まれた。
【状態の使い方】
- この車はとても状態が良いので、高く売れるだろう。
- 今の彼の精神状態は最悪に近いと言える。
- 現在の関東地方は大気の状態が非常に不安定だ。
- 普段と同じ自然な状態で試験に臨むようにしよう。
- 最近調子がいいのは常に身体の状態を把握しているからだ。
まとめ
以上、今回の内容をまとめると、
「状況」=時間の経過や周りも含めた様子。(物事に使う)
「状態」=対象を固定的に見た様子。(人やモノに使う)
ということでした。
どちらもよく使われている言葉なので、
この機会に違いを覚えて頂ければと思います。
では今回は以上です。
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国語力アップ.com管理人
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