「体の一部」を使った慣用句というのは色々ありますよね。
特に、「目」を使った表現は
よく使われていると思います。
「目が離せない」
「目からうろこが落ちる」
ところが、「目くじら」という言葉は
なかなか聞かないのではないでしょうか。
そこで今回は、
「目くじらを立てる」の意味・由来・使い方
などを詳しく解説しました。
さっそく、確認していきましょう。
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目くじらを立てるの意味
まずは、この言葉の意味です。
【目くじらを立てる(めくじらをたてる)】
⇒目をつりあげて人のあらさがしをする。他人の欠点を取り立てて非難する。目角 (めかど) を立てる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「目くじらを立てる」とは、簡単に言うと、
「他人の欠点を取り立てて、責めること」という意味です。
例えば、以下のように使います。
父は母の作った料理にすぐ目くじらを立てる。見苦しいからやめてほしいよ。
この場合は、
「父が母の料理の欠点を責める」ということですね。
具体的には、
- 「味が少し薄い」
- 「見た目があまり良くない」
- 「栄養バランスが悪い」
といったことを細かく指摘するような感じです。
このように、「目くじらを立てる」は、
相手の細かい欠点をネチネチ指摘するような時
に使う言葉だと思ってください。
ポイントは、
普通の欠点ではなく細かい欠点という所ですね。
「目くじらを立てる」は、
目に見えるような大きな欠点に対しては使いません。
普通の人なら許せる程度の細かい欠点に対して使うのです。
したがって、この慣用句は
多くの場合否定的な使い方をします。
もしも「目くじらを立てる人」などと言われたら、
周りから疎まれている存在だと考えて問題ありません。
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目くじらを立てるの語源・由来
ところで、「目くじらを立てる」の
語源はどこから来ているのでしょうか?
現在では、
「くじら」=「海の生き物」
という認識が一般的ですよね。
しかし、この場合の「くじら」は
生き物とは一切関係ありません。
元々、「くじら」という言葉は、
「物の両端・端っこ」などの意味を持つ語
として古くから使われていました。
つまり、「目くじら」を直訳すると
「目の両端・端っこ」となるわけです。
この「目の両端部分を立てる」というのは、
人が怒った時にする表情です。
現在でも、「目を釣り上げて怒る」などの
言い方をする場合がありますよね?
転じて、
「怒る」⇒「人を責める」⇒「短所をとやかく言う」
という意味に変化していったわけです。
ちなみに、
「目くじらを立てる」にはもう一つ語源があります。
それは、「目尻(めじり)が変化したもの」という説です。
「目尻」とは、
「耳側に近い方の、目の端部分」を指します。
この「目尻」が変化して、
「目じり」⇒「目くじり」⇒「目くじら」
になったとも言われているのです。
いずれにせよ、「目くじらを立てる」は、
「目の両端を鋭く釣り上げた様子からできた言葉」
だと考えてください。
決して、漢字で「目鯨」などと書かないようにしましょう。
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目くじらを立てるの類語
続いて、「目くじらを立てる」の
「類語」を紹介します。
【揚げ足を取る(あげあしをとる)】
⇒人のミスや失敗を取り上げて、責めること。
【けちをつける】
⇒人の欠点を批判すること。
【目に角を立てる(めにかどをたてる)】
⇒ひどく怒って、にらみつけること。
【目口を立てる(めくちをたてる)】
⇒「目くじらを立てる」とほぼ同じ意味。
【苦言を呈する(くげんをていする)】
⇒相手の欠点などを注意すること。
以上、5つの類語を紹介しました。
意味としては、
「相手のミスを批判する・責める」
といったものが多いですね。
「似た意味のことわざ」としては「目に角を立てる」「目口を立てる」、
「同義語」だと「粗探しをする・ケチをつける」などが当てはまるでしょう。
また、先ほど説明した通り、
「目くじら」は元々は「怒った表情」からできた言葉でした。
したがって、
「怒る・興奮する」などの語も
広い意味で考えると類語と考えていいです。
目くじらを立てるの英語訳
続いて、英語訳です。
「目くじらを立てる」は英語だと次のような言い方をします。
①「get angry over small things(小さなことで怒る)」
②「find fault with trivial matters(ささいなことで欠点を探す)」
①は直訳すると「小さいことで怒る」という意味です。
「get angry」で「怒った様子」を表すことができます。
そして、②の「find fault」は「欠点を探す」、
「trivial」は「ささいな」「matters」は「問題」を表します。
以上の事から、
「ささいな欠点を見つけ出す」と訳せるわけです。
例文だと、それぞれ以下のように言います。
You should not get angry over small things.(ささいなことで目くじらを立てないほうがいいよ。)
Don’t find fault with trivial matters.(目くじらを立てるようなことはやめてくれ。)
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目くじらを立てるの使い方・例文
最後に、「目くじらをたてる」の使い方を
例文で確認しておきましょう。
- 彼は部下の欠点にすぐ目くじらを立てる小さい男だ。
- そんな細かいことで目くじらを立てるなんて情けない。
- 目くじらを立てて、常に彼女の粗探しをしているようだ。
- いちいち目くじらを立てるのは、器が小さい証拠だよ。
- 目くじらを立てて非難されそうなので、しっかり準備しよう。
- 彼らは、こんなことで目くじらを立てるのですか?
- もしもの話だから、目くじらを立てずに聞いてほしい。
見て分かるように、実際の使い方としては、
ほぼ否定的なニュアンスで使いますね。
「目くじらを立てる人」というのは、
基本的に細かくて神経質な性格だと考えた方がいいです。
もちろん、細かな指摘をすることで、
時には仕事の成果が向上するようなことがあります。
しかし、世間一般的には、
人の粗探しをするような人が好まれるわけがありません。
相手からしたら、
「なんでこんなささいなことを指摘するんだろう?」
「そこまでいちいち批判しなくてもいいんじゃ・・・」
このように悪いイメージで受け止められるのが、
「目くじらを立てる」という言葉だと思ってください。
【目を使った他の慣用句↓】
まとめ
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
「目くじらを立てる」=他人の欠点を取り立てて、責めること。
「語源・由来」=目くじら(目の両端)を釣り上げるのは「怒った表情」だから。
「類語」=「揚げ足を取る・けちをつける・目に角を立てる・目口を立てる・苦言を呈する」など。
「英語」=「get angry over small things」「find fault with trivial matters」
ということでしたね。
相手を批判するのは、
お互いにとって気持ちよくありません。
できることなら目くじらを立てずに
人と接することが大事だと言えますね。
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国語力アップ.com管理人
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