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精霊 妖精 違い 妖怪 使い分けは

 

映画や小説などには「精霊」もしくは「妖精」が登場します。ただ、両者の違いが分かりにくいと感じる人も多いようです。

そこで今回は、「精霊」と「妖精」の違いについて詳しく解説しました。後半では、「妖怪」についても触れています。

精霊の意味

 

まず、「精霊」の意味を調べると次のように書かれています。

【精霊(せいれい)】

物質的な身体をもたないが、ある種の個性を備えた超自然的存在や力。草木・河川等に宿るとされる。

死者の霊魂。肉体を離れた死者の魂。

出典:三省堂 大辞林

精霊」とは簡単に言うと「魂や霊のこと」を意味します。

精霊は世の中のあらゆるモノに宿ります。そして、原則として姿や形がないのが特徴と言えます。

例えば、風の精霊の「シルフ」、火の精霊の「サラマンダー」、水の精霊の「ウンディーネ」といったものです。

「でも映画では姿や形があるのでは?」と思うかもしれませんが、映画は人々にイメージを伝えなくてはいけません。

そのため、一種のエンターテイメントも込めて、あえて姿や形を表していると考えて下さい。本来の意味としては、目に見えない実体のない存在が「精霊」だと考えましょう。

妖精の意味

 

続いて、「妖精」の意味です。

【妖精(ようせい)】

主として西洋の伝説・物語に出てくる精霊。善良なるもの、悪がしこい小人など、その姿・性格は多様である。フェアリー。

出典:三省堂 大辞林

妖精」とは簡単に言うと「人間の姿をした精霊のこと」意味します。

「妖精」は姿や形があるのが特徴と言えます。例えば、白雪姫に出てくる「小人」、ピーターパンの「ティンカーベル」といったものです。

上記の作品では、妖精自体が意思を持ち、一つの生物として存在しています。そして、人間のように遊びやいたずらを楽しんで行います。

このように、目に見えるような実体のある存在を「妖精」と呼ぶわけです。

精霊と妖精の違い

精霊 妖精 違い 比較

 

ここまでの内容を整理すると、

精霊」=魂や霊。原則として、姿や形がない。

妖精」=人間の姿をした精霊。姿や形がある。

ということでした。

つまり両者の違いを簡潔に言うと、「精霊」という大きな枠の中に「妖精」が含まれることになります。

例えるなら、スポーツという大きな枠に野球が入るようなものです。

実は日本国内では両者は必ずしも明確な区分が存在するわけではありません。

一般的には、「妖精」は「姿・形を持つかわいらしい霊」というイメージで使うことが多いです。対して、「精霊」は「大自然が産み出した驚異の霊」というイメージで使うことが多いです。

なぜこのような違いが生まれるか言いますと、それは言葉の歴史に関係しているためです。

元々、「精霊」は「古代から普遍的に存在する霊」という意味で使われていました。そのため、火や水・風などの自然エネルギーを対象とすることが多いのです。

一方で、「妖精」は西洋で伝説・物語などを作り始めてから一般的に使われるようになりました。そのため、「妖精」の方は人間を対象とすることが多いのです。

当然、作品によってイメージが異なる部分はあります。しかし、言葉本来の歴史から考えれば次のように考えて問題ないことになります。

精霊」=主に自然を対象とし、実体を持たない。

妖精」=主に人間を対象とし、実体を持つ。

妖怪の意味

 

似たような言葉で、「妖怪」があります。

【妖怪(ようかい)】

日常の経験や理解を超えた不思議な存在や現象。山姥・天狗・一つ目小僧・海坊主・河童・雪女など。ばけもの。

出典:三省堂 大辞林

妖怪」とは「人の理解を超えた不思議な存在や現象」を意味します。

分かりやすい例だと、「山姥(やまんば)」や「雪女」などが挙げられるでしょう。

元々、「妖怪」は人間に信仰されていた精霊が神性を失って没落したものだと言われています。したがって、妖怪も精霊の一種ということになります。

ただし、妖怪は私たち人間に悪い影響を及ぼすことの方が多いです。ここが、精霊や妖精との一番の違いだと言えます。

もちろん、漫画やアニメの作風によっては、ゲゲゲの鬼太郎のように良い妖怪も中にはいます。しかし、一般的には恐怖を与えるネガティブな存在が「妖怪」だと認識して問題ありません。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

 

【精霊の使い方】

  1. サラマンダーは四大精霊の内、火を司る存在である。
  2. 水の精霊、ウンディーネを源とする力を呼び出す。
  3. ノームは地の精霊であり、大地の住処を意味する。

【妖精の使い方】

  1. 無邪気でいたずら好きの精霊を、一般に妖精と呼ぶ。
  2. 妖精は主に西洋における物語を中心に登場する。
  3. フェアリーの訳語として「妖精」が付けられた。

【妖怪の使い方】

  1. 河童は日本の妖怪として広く知られている。
  2. 深山に生息する想像上の妖怪を天狗と呼ぶ。
  3. 口裂け女は社会問題にもなった妖怪である。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

精霊」=魂や霊。主に自然を対象とし、実体を持たない。

妖精」=人間の姿をした精霊。主に人間を対象とし、実体を持つ。

妖怪」=人の理解を超えた不思議な存在や現象。悪い影響を及ぼすことが多い。

「精霊」という大枠に、「妖精」や「妖怪」が含まれます。ただ、実際には映画や漫画の作風などにより異なるイメージを与える場合もあります。あくまで言葉の起源や歴史に沿った使い分けだと考えて下さい。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。