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大目に見る 意味 例文 類義語 英語 敬語 ビジネス

 

「大目に見る」という慣用句があります。

日常生活での会話、ビジネスシーンなど様々な場面で使われているものです。ただ、この慣用句は誤用されたり使い方を間違えて覚えている人が多いようです。

そこで本記事では、「大目に見る」の意味や語源、短文、敬語表現などをなるべく簡単に解説しました。

大目に見るの意味・読み方

 

最初に、この言葉の意味を辞書で引いてみます。

【大目に見る(おおめにみる)】

人の過失や悪いところなどを厳しくとがめず寛大に扱う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

大目に見る」は、「おおめにみる」と読みます。意味は「人の過失や悪い点を厳しくとがめず、寛大に扱うこと」です。

過失(かしつ)」とは「不注意などによって起こしたミス」、「寛大(かんだい)」とは「心が広く、むやみやたらに相手を責めないさま」を表します。

例えば、あなたが新入社員だとして、仕事で大きなミスをしてしまったとしましょう。しかし、まだ入社1年目ということで、上司からは何も責められることもなく優しくフォローされました。

このような時に、「上司は部下のミスを大目に見た。」などのように言うわけです。つまり、「大目に見る」とは簡単に言うと相手のミスや欠点などを許す行為を表すことになります。

大目に見るの語源・由来

 

「大目に見る」の語源は諸説ありますが、一般には次の三つの内のどれかだと言われています。

 

①大きな目で見ることから。

②篩(ふるい)の目から。

③年貢を納めていた時の単位から。

 

一つ目は、「大きな目で見ること」から来たという説です。

通常の目ではなく、サイズの大きな目だと物事の細かい部分までは見ることはできません。そのため、人間のちょっとしたミスや誤りなどをいちいち細かくチェックできないという特徴があります。この事から、「相手を寛大に扱う」という意味になったというものです。

二つ目は、「篩(ふるい)の目」から来たという説です。

「篩」とは「円形の枠の下に網を張った道具」のことを指します。篩に砂糖や小麦粉などの粒状の物を入れて振ることにより、網目を通る細かいものとそうでないものを分けることができます。

そして、この篩の目が大きいと、大抵の物質は通り抜けてしまいます。この事から、「小さな問題をいちいち指摘せずに見逃す」という意味に転じたというものです。

最後の三つ目は、「年貢を納めていた時の単位」から来たという説です。

「目」というのはその昔、量り売りをしていた頃の200匁(もんめ)を一斤(きん)とする呼び名でした。昔は年貢を納める際、大目(1斤=200匁)で計算するようにと言われていたのです。

通常の尺貫法だと1斤=160匁(600g)で計算します。ところが、農業が不作だった時、1斤=200匁もの量を納めるのが難しく、1斤=160匁が精一杯の村がありました。

これを見た代官が、1斤=160匁にも関わらず、1斤=200匁と同じ計算で許可したという逸話があります。この事から、現在の「大目に見る」という意味につながったという説です。

以上、三つの説を紹介しました。どれももっともらしい説ですが、今の所どれが正しい由来かというのははっきりしていません。

多めに見るは誤用か?

 

「大目に見る」と似たような表現で、「多めに見る」があります。

結論から言いますと、「多めに見る」は「大目に見る」の誤記です。このような慣用句はありませんので、注意してください。

ただ、「多目に見る」という言葉自体が存在しないというわけではありません。例えば、物の数を予想した数よりも多く見積もるような時に、「多目に見る」と言ったりはします。

【例】

  • 多目に見ても、この絵には100匹も犬はいないだろう。
  • 多目に見て、飲み物の数は10本はあるのではないか。
  • 何人来るか分からないので、多目に見て注文しておこう。

その他、数を数えるだけでなく、分量を見積もるようなときにも使いますが、実際にはそこまで用例は多くはありません。

大目に見るの類義語

大目に見る 類義語 言い換え 対義語

 

続いて、「大目に見る」の類義語を紹介します。

 

  • 目をつぶる
  • 見逃す
  • 見過ごす
  • 黙認する
  • 咎(とが)めない
  • 不問にする
  • 見て見ぬふりをする
  • 見なかったことにする
  • 水に流す
  • 容赦する
  • 穏便に済ます
  • 優しくする
  • 包み込む

 

「大目に見る」を言い換えた表現はいくつかあります。この中だと「目をつぶる」「見逃す」「見過ごす」などは比較的近い意味だと言えるでしょう。

他には、「相手に厳しくしない」という意味から派生して、「優しくする」「包み込む」などの語も広い意味で類義語に含まれます。いずれも良い意味として使われるのが類義語の特徴だと言えます。

なお、全く同じ意味の言葉、すなわち「同義語」と呼ばれるものはありません。

「目をつぶる」「見逃す」なども相手の過失を見て見ぬ振りをすることを表しますが、「寛大な心で~」という意味までは含まれていません。ここが「大目に見る」とのわずかな違いだと言えます。

大目に見るの対義語

 

逆に、「対義語」としては以下の言葉が挙げられます。

 

  • 批判する
  • 非難する
  • 指摘する
  • 糾弾する
  • 物を申す
  • 説教する
  • あげつらう
  • ダメ出しする

 

こちらは「相手のミスや欠点などを責める行為」を意味する言葉です。人に対して心広く寛大な対応をするのが、「大目に見る」という言葉でした。

したがって、反対語の場合は人に対して細かいことを指摘したり、ミスしたら厳しく非難したりするような行為を表したものとなります。

その他、慣用句だと「目くじらを立てる」「重箱の隅をつつく」なども対義語に含まれます。

大目に見るの英語訳

 

「大目に見る」は、英語だと次のように言います。

 

overlook

go easy on~

 

「overlook」は、「(過ち、欠点などを)見逃す」という意味があります。単語の原義としては「上から見ること」なので、「見下ろす・見渡す・見晴らす」などの訳もありますが、ここでは「見逃す」という行為を意味しています。

また、「go easy on~」は熟語で、「~に手加減する」「~をほどほどにする」などの意味です。「手加減をする」ということは、言い換えれば、寛大に接することでもあるので「大目に見る」と訳すことができます。

「on」の後は、「him・her・them」など大目に見る対象を表す単語が来ます。

例文だと、それぞれ以下のような言い方です。

This is his first mistake so I decided to overlook it.(今回のミスは彼にとって1回目なので、大目に見ることにした。)

We’ll go easy on him. It’s his first day.(大目に見てあげましょう。今日は彼にとっての初日です。)

大目に見るの使い方・例文

 

最後に、「大目に見る」の使い方を例文で紹介しておきます。

 

  1. 上司は寛大な心を持っており、部下のミスでも大目に見ることが多い。
  2. 入団1年目の選手ということで、多少の失敗は大目に見るつもりだ。
  3. あいつには悪気はなかった。だから今回だけは大目に見て許してほしい。
  4. 初めての駐車違反だったが、警察官は大目には見てくれなかったようだ。
  5. 今回だけは大目に見るけれども、次からはちゃんと仕事をするように。
  6. 入社してからもう5年目。さすがに大目に見るようなことはしないよ。

 

「大目に見る」は様々な場面で使われますが、一般にはビジネスで使われることが多い表現だと言えます。

ビジネスでは、上司が部下の失敗に対して「広い心を持って許してあげる」といった意味合いで用いられます。その場合は、何度も失敗をしているような部下に対して、「次はもう大目に見るようなことはしない」といった使い方もします。

また、「大目に見る」を敬語として使う場合は、「大目に見て下さい」とは言いません。敬語だと、「ご容赦ください」と言い換えるのが一般的です。

「ご容赦ください」とは、簡単に言うと「許してください」といった意味を持つ敬語表現です。自分が失敗したことに対して、相手の許しを請うと同時に謝罪の意味も込められた表現です。

「大目に見て下さい」は上から目線で失礼な言い方なので、目上の人にはくれぐれも使わないように注意してください。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

大目に見る」=人の過失や悪い点を厳しくとがめず、寛大に扱うこと

語源・由来」=「大きな目」「篩の目」「年貢の単位」のいずれか。

類義語」=「見逃す・見過ごす・目をつぶる・黙認する・咎めない」など。

対義語」=「批判する・非難する・指摘する・糾弾する・ダメ出しする」など。

英語訳」=「overlook」「go easy on~」

「大目に見る」という慣用句は、その人の寛大さを表した言葉です。しかし、あまりに何度も大目に見ることは自分にとっても相手にとっても良くないことです。そのこともできれば頭に入れておくとよいでしょう。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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