「機能」と「性能」
どちらもスマホやパソコンなどの
機械に対して使うと思います。
さらに、似たような言葉で
「仕様」や「品質」もあります。
これらの言葉は、
一体どのように使い分ければいいのでしょうか?
さっそく、確認していきましょう。
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機能の意味
まず、「機能」の意味を調べると
次のように書かれています。
【機能(きのう)】
⇒ある物が本来備えている働き。全体を構成する個々の部分が果たしている固有の役割。また、そうした働きをなすこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「機能」とは、
「全体の中で担っている固有の役割のこと」だと思ってください。
主な使い方は、以下の通りです。
- 冷蔵庫の機能が多い。
- 肝臓の機能が衰える。
「機能」は、
「全体の中での役割」という点がポイントです。
例えば、「冷蔵庫」であれば様々な役割がありますよね。
- 「冷却」
- 「製氷」
- 「チルド」
- 「収納」
これら一つ一つの役割のことを、
「機能」と呼ぶわけです。
「肝臓」にしても一緒です。
一言で「肝臓」と言っても、
「代謝」「解毒」「胆汁の生成」など
およそ10種類以上の役割があります。
その中で「解毒作用」などが衰えた場合に、
「肝臓の機能が衰えた」と言うわけです。
つまり、よく言われる「機能が多い」とは、
「全体の中で担っている役割が多い」ということですね。
性能の意味
続いて、「性能」の意味です。
【性能(せいのう)】
⇒機械や道具の性質と能力。また、機械などが仕事をなしうる能力。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「性能」とは、
「機械や道具が持っている性質・能力のこと」を言います。
例えば、以下のような使い方です。
- 性能のいいナイフ。
- 性能のいいパソコン。
「性能」は、
機械や道具にしか用いないのが特徴です。
また、全体の中の役割というよりも
そのもの自体が持つ性質や能力を指します。
「パソコン」⇒高CPU・大容量2TBなど。
「ナイフ」⇒軽い・切れやすいなど。
また、「性能」は
具体的に数値化できることが多いと考えてください。
なぜなら、機械の能力などは
客観的に数値化したほうが分かりやすいからです。
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機能と性能の違い
ここまでの内容を整理すると、
「機能」=全体の中で担っている固有の役割。
「性能」=機械や道具が持っている性質・能力。
ということでした。
両者の違いを簡単に言うと、
「機能は役割を指し、性能は能力を指す」
となります。
ここで、両者を簡単に比較できるように
以下の表をご覧ください。
機能 | 性能 | |
---|---|---|
冷蔵庫 | 冷却・製氷・ チルド・収納 | 消費電力260kw/年・ -10℃まで冷凍 |
スマホ | メール・通話・ SNS・写真撮影 | バッテリー8時間継続・ 処理速度10GHZ |
ナイフ | 切る・さばく・ むく・削る | 軽い・握りやすい・ 切れやすい |
肝臓 | 代謝・解毒・ 胆汁の生成 | なし |
組織 | トップ・部下・ 中間管理職など。 | なし |
まず、「機能」は
人間・動物・集団・器官など幅広い物に使います。
そして、「全体」という大きな枠組みの中に
入っている一つの役割を指します。
したがって、それぞれの機能は
相互に関連し合って全体を構成するのです。
一方で、「性能」の方は、
機械や道具にしか使いません。
また、全体とは関係なくそれ自体の性質や能力を指します。
よって、こちらは
単体の性質などを数値化できるものが多いのです。
まとめると、以下のようになります。
「機能」=相互に関連し、機械・人間・組織・器官など広く使う。
「性能」=それ自体を数値化できるものが多く、機械や道具にしか使わない。
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仕様の意味
続いて、似た言葉の
「仕様」の意味も確認しておきましょう。
【仕様(しよう)】
⇒機械類や建築物などの構造や内容。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「仕様」とは、
「機械や建物の構造・内容」という意味です。
簡単に言うと、
「完成図」ということですね。
よく使われる「仕様書」などは、
製品の機能・性能などが詳しく書かれています。
厳密にはそれら以外にも価格やサイズ・操作方法など幅広い情報が記入されていますが、基本的には「仕様書」=「体系的に内容をまとめたもの」だと思ってください。
つまり、「仕様」という大きな項目の中に
「機能」や「性能」が入っているということになります。
例えるなら、「スポーツ」という項目の中に、
「野球」や「サッカー」などが入っているイメージです。
このように考えると分かりやすいでしょう。
品質の意味
そして、品質の意味です。
【品質(ひんしつ)】
⇒品物の質。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「品質」とは、文字通り「品物の質」のことを意味します。
「品質」は、主に機械などの製品に対して使いますが、
最大の特徴は「基準があいまい」という点です。
ある人にとっては高品質かもしれないし、
また別の人にとっては低品質かもしれません。
なぜかと言うと、「品質」という言葉自体に
具体的な数値・データなどが含まれていないからです。
「品質の良さ」は、数値やデータというよりも
その人の感じ方・感触・使い勝手などによって評価されます。
したがって、
もしも仮に性能をクリアしている製品であっても
その人が高品質と感じるかどうかは別問題なのです。
このように、明確な基準点がなく、
生産者というよりも消費者の目線に立った言葉が
「品質」だと思ってください。
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使い方・例文
では、最後にそれぞれの使い方を
実際の例文で確認しておきましょう。
【機能の使い方】
- この洗濯機は乾燥機能が付いているので便利だ。
- 胃腸の機能が衰えてきたので、食生活を改めよう。
- 言葉の機能は、話す・聞く・読むなどたくさんある。
- 会社は各部署が機能的に結びついて成り立っている。
【性能の使い方】
- 性能の良いカメラなので綺麗な写真がとれる。
- リッター40キロという性能の良い車に乗る。
- 最新のパソコンは3秒で起動できるほど性能が良い。
- 飛行性能にすぐれたロケットを開発する。
【仕様の使い方】
- 製品の仕様書を作ってください。
- 仕様書と異なっているので修正しよう。
- 特別仕様の車を特別に発注した。
- モーターは標準仕様のものにした。
【品質の使い方】
- 品質の高い木造住宅として知られている。
- 弊社の工場では、念入りな品質検査をしています。
- 本製品の品質を保証するものではありません。
- 品質が低いと顧客からクレームがあった。
補足すると、「機能」は、
「機能的」という言い方になると
「有機的」と同じ意味になります。
「有機的」の意味は、
以下の記事を参照してください。
まとめ
以上、今回のまとめです。
「機能」=全体の中で担っている固有の役割。
「性能」=機械や道具が持っている性質・能力。
「仕様」=機械や建物の構造・内容。
「品質」=品物の質。(基準が曖昧で数値化できない)
それぞれの違いは、
「機能」=相互に関連し、幅広い対象に使える。
「性能」=数値化できることが多く、機械や道具にしか使わない。
「仕様」=「仕様」の中に「機能」や「性能」が入る。
「品質」=その人の感じ方・感触・使い勝手により決まる。
ということでした。
では、今回は以上です。
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国語力アップ.com管理人
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