この記事の読了目安: 74

おじいさんのランプ 評論 要約 語句・漢字ノート 学習の手引き わかりやすく

 

『おじいさんのランプ』は、高校現代文の教科書で学ぶ評論です。宇野常寛という作者によって書かれたもので、定期テストの問題などにも出題されています。

ただ、筆者の主張や言いたいことがなどが分かりにくい作品でもあります。そこで今回は、『おじいさんのランプ』のあらすじや200字要約、学習の手引き、意味調べなどを簡単に解説しました。

『おじいさんのランプ』のあらすじ

 

あらすじ

現在のメディア環境は大きく変化しつつある。その中で、新美南吉の童話『おじいさんのランプ』の中で描いた、言葉を通して知を共有する文化は変わることがない、という確信を僕は支持したい。おじいさんは、文明開化の象徴であったランプを売る商売を廃業したが、こうした知性こそ時代を切り開き、本当の意味で文化を守り育てていくのである。

ここ十年余りの情報化の進行は、人間と言葉との関係を大きく書き換えている。有史以来、人間がここまで日常的に書き言葉でコミュニケーションを取っている時代はない。携帯のメールなどで連絡を取り合い、ブログやSNSなどに日々の雑感を記していることを考えてみても、現代における情報化の進行は人類の文化そのものを大きく変化させようとしている。僕たちは言葉というものとの関わり方自体をいやおうなく問い直す時代に生きていると考えた方がいい。今までは、本の中の書き言葉を摂取し、それを積み上げることが教養を得ることであり、成長だと考えられてきた。しかし、今の僕たちは既に、言葉や教養、知識体系などさまざまな情報ネットワークに接続されているため、個々の情報をどこで区切るかの方が問題になっている。つまり、これまでの人間と情報の関係がほぼ逆転していることになるのである。

『おじいさんのランプ』の主人公が始めた本屋はまだ残っているのだろうか。八十歳くらいになったおじいさんの孫が、ネット書店の倉庫に火を付けに行ったりしていないか心配だ。そんな時に限って、カーナビが故障してしまうのだろう。彼は買ってきた紙の地図を暗い車内で広げ、老眼を酷使しながら必死に探し、こうつぶやく。「紙のような古いものはいざという時に役に立たない。」と

『おじいさんのランプ』の要約解説

 

要約ここ十年余りの情報化の進行は人間と言葉との関係を大きく書き換えている。僕たちは言葉というものとの関わり方自体をいやおうなく問い直す時代に生きている。今までは、本の中の書き言葉を摂取し、積み上げることが教養を得る事であり、成長だと考えられてきたが、現代では個々の情報をどこで区切るかの方が問題になっている。本当の意味で文化を守り育てるのは、時代に柔軟に対応していくことのできる知性なのである。(195文字)
ポイント 本文は、行空きによって三つの段落により構成されています。第一段落では「おじいさんの知性」、第二段落では「人間と言葉との関係の本質的変化」、第三段落では「紙の本の未来」について書かれています 第一段落で書かれている「知性」のあり方こそが、筆者の一番言いたいことだと言えます。つまり、本当の意味で文化を守り育てるのは、ランプ屋を廃業したおじいさんのように、時代に柔軟に・迅速に対応していく知性である、というものです。 基本は第一段落に結論が述べられているため、第二段落で挙げられたSNSなどの身近な具体例を参考にして、筆者の「知性」に対する考え方を捉えるのが読解のポイントとなります。

『おじいさんのランプ』の語句・漢字ノート

 

【メディア】⇒媒体。手段。特に、新聞・雑誌・テレビなどの媒体。

【淘汰(とうた)】⇒不必要なもの、不適当なものを除き去ること。

【冷淡(れいたん)】⇒物事に熱心でないこと。興味や関心を示さないこと。

【本質的(ほんしつてき)】⇒物事の根本的な性質にかかわるさま。

【隠蔽(いんぺい)】⇒人、事物、事柄などの所在や真相を意図的に覆い隠すこと。

【童話(どうわ)】⇒こどものために作られた話。

【普及(ふきゅう)】⇒行き渡らせること。

【存亡の危機(そんぼうのきき)】⇒存在するか消滅するかという差し迫った危機的な状況。

【逆恨み(さかうらみ)】⇒他者の言動を曲解して、勝手に恨むこと。

【独りごちる(ひとりごちる)】⇒ひとりごとを言う。

【廃業(はいぎょう)】⇒それまでの商売をやめること。

【白眉(はくび)】⇒多数あるもののうち、最もすぐれているものや人のたとえ。

【エピローグ】⇒詩歌・小説・戯曲などで、結びの部分。終章。

【時は下り(ときはくだり)】⇒時間が経過し。

【害悪(がいあく)】⇒害となる悪いこと。

【需要(じゅよう)】⇒もとめること。いりよう。

【象徴(しょうちょう)】⇒抽象的な思想・観念・事物などを、具体的な事物によって理解しやすい形で表すこと。また、その表現に用いられたもの。シンボル。

【技術革新(ぎじゅつかくしん)】⇒生産技術が画期的に革新されること。

【合理性(ごうりせい)】⇒道理にかなった性質。

【散文(さんぶん)】⇒韻律や定型にとらわれない通常の文章。⇔韻文。

【原型(げんけい)】⇒もとの型。

【制作コスト】⇒ものを作るのに必要な費用。

【慣習(かんしゅう)】⇒ある社会で古くから受け継がれてきている生活上のならわし。しきたり。

【ひいては】⇒ある事にとどまらず、さらに進んで。

【活字離れ(かつじばなれ)】⇒人々が本を読まなくなった傾向を言う言葉。

【デジタル化】⇒ITの進化により様々な情報がつながることで、競争優位性の高い新たなサービスを実現すること。

【有史以来(ゆうしいらい)】⇒人類が文名を持って生活を始めてから。

【雑感(ざっかん)】⇒雑多な感想。まとまりのない思いついたままの感想。とりとめのない感想。

【いやおうなく】⇒有無を言わせず。承知も不承知もなく。

【布教(ふきょう)】⇒ある宗教を一般に広めること。

【共同体(きょうどうたい)】⇒家族や村落など、血縁や地縁に基づいて自然的に発生した閉鎖的な社会関係、または社会集団。

【必然的(ひつぜんてき)】⇒必ずそうなるさま。

【更新(こうしん)】⇒すっかり新しく改めること。

【趣味人(しゅみじん)】⇒趣味を生きがいとする人。

【骨董品(こっとうひん)】⇒古美術品や古道具類などで価値があるもの。ここでは、古いだけで役に立たなくなったもの、の意味も含まれている。

【膨大(ぼうだい)】⇒きわめて数量の多いさま。

【集積(しゅうせき)】⇒集めて積み上げること。

【所与(しょよ)】⇒与えられているもの。

【パッケージング】⇒包装、荷造り。または、そのやり方のこと。

【摂取(せっしゅ)】⇒自分のものとして取り入れること。

【思い余る(おもいあまる)】⇒ひどく思い悩んで、どうにも考えが決まらなくなる。

【酷使(こくし)】⇒こき使うこと。手加減をせずに厳しく使うこと。

『おじいさんのランプ』のテスト問題対策

 

問題0

次の傍線部の仮名を漢字で書きなさい。

アットウ的な速さ。

ジュヨウがなくなる。

③文明開化のショウチョウ

④記録をコウシンする。

ボウダイな情報。

キョクタンな意見。

ショヨの条件。

⑧体をコクシする。

解答①圧倒 ②需要 ③象徴 ④更新 ⑤膨大 ⑥極端 ⑦所与 ⑧酷使
問題1「『いい話』に、心のどこかで冷淡になってしまう」とあるが、それはなぜか?
解答例その話の何割かは確実に、現実から目を背けるために発信されたものであり、別の次元では害悪としてしか機能しないものだと考えているから。
問題2この現実から目を背けるためにささやかれている、とあるが、「この現実」どはどういう現実か?
解答例新美が想像したよりも、人間と知との関係が圧倒的に速く、決定的に変化しているという現実。
問題3「本当の意味で文化を守り育てるのはこうした知性にほかならない」とは、どのようなことか?
解答例文化を本質的に守り育てていくのは、言葉を通して知を共有する文化は変わることがないという確信を持ち、新しい時代に柔軟・迅速に対応していくことができる知性であるということ。
問題4「これが意味するところは何かというと、前述の日本語の形式は~」とあるが、「これ」とは何を指すか?
解答例日本語の本と散文の形式の基準となっているのは、出版社の制作コストや書店での陳列ルールの慣習であるということ。
問題5「もっと本質的な変化」とは、どのような変化か?
解答例人類の文化そのものの変化や人間と言葉との関わり自体の変化。
問題6この一点をもってしても、現代における情報化の進行は~とあるが、「この一点」とは何を指すか?
解答例現代ほど、人間が日常的に書き言葉でコミュニケーションを取っている時代はないということ。
問題7「これまでの人間と情報の関係がほぼ逆転している」とは、どのようなことか?
解答例これまでは人間が中心となり情報を収集・蓄積していたが、現在はむしろ情報が中心となってしまい、人間はそれを選別するだけというように逆転したということ。

まとめ

 

以上、今回は宇野常寛『おじいさんのランプ』について解説しました。本作は教科書の評論文としてよく取り上げられています。ぜひ学校の授業や定期テストの参考としてもらえればと思います。

The following two tabs change content below.

国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

最新記事 by 国語力アップ.com管理人 (全て見る)