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ぬくみ 要約 あらすじ  本文 解説 漢字 学習の手引き ノート

 

『ぬくみ』は、高校現代文の教科書で学ぶ評論です。ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張などが分かりにくい部分もあります。

そこで今回は、『ぬくみ』のあらすじや要約、学習の手引き、テスト対策などを解説しました。

『ぬくみ』のあらすじ

 

あらすじ

①誰かと「つながっていたい」と思う人たちが、私たちの前には広がっている。いつ頃からか、十代のひとたちが「キレる」という言葉を口にし始めた。このように、人は「つながっていたい」という想いが一方にあり、他方では「切れる」という行動がある。「つながっていたい」とは、自分と相手が互いに思いやる関係の切望である。そのため、他人から無視され「自分の存在」が誰からも望まれていないと感じるとき、人は「寂しい」と思うのである。

②近代の都市生活は、「封建的」構成要素から個人を切り離して「自由な個人」によって構成する社会を目指した。だが、「封建的」構成要素がなくなったことにより「中間世界」が消失し、「個人」はじかに「社会」というものに接続するようになった。その結果、人は「自分の存在」を親密な個人的関係に求めるようになった。

③現代の大規模にシステム化された社会では、「資格・条件」が個人に求められる。それは、社会にとって個人の「要・不要」をつきつけられることでもある。現代の子どもたちは、大人からその「条件」を繰り返しつきつけられるがゆえに、自分を自分として肯定してくれるつながりを求めるようになった。子どもたちの「つながっていたい」という気持ちの裏には、こうした他者との遮断の認識が深くあることを見逃してはならない。

④「相互性」とは、自分が想われる側、認められる側であると同時に、時には自分が想う側・認める側に回らなければならないことである。それが、「ささえあい」というものである。他人に関心を持って「他者への想像力」を働かせるという姿勢・配慮が大切なのである。

『ぬくみ』の要約解説

 

要約現代人は他者と「つながっていたい」と想いが強くある。その原因は社会の仕組みの中で「自分の存在」を見い出せないこと、そしてシステム化した社会が求める「資格・条件」に「自分の存在」を見いだせないことである。「つながっていたい」という気持ちの裏には、他者との遮断の認識が深くある。他人に関心をもってほしいと思うだけでなく、他人に関心をもとうとする相互性、すなわち他者への想像力を持つことが大事なのである。(199文字)
読解のポイント

  • 現代における自己と他者、そして自己と社会の関係性について考察する。
  • 近代化で自由になった個人になった人々が、「つながり」を求める現象の背景を理解する。
  • 「相互性」と「他者への想像力」の関係性を捉える。

『ぬくみ』の意味調べノート

 

【隠喩(いんゆ)】⇒「~のようだ」等の語を使わずに、直接その言葉を使って他を例える技法。「暗喩」とも言う。

【拘泥(こうでい)】⇒こだわること。必要以上に気にすること。

【思いをはせる】⇒遠く離れた相手のことに思いを致す。

【貶す(けなす)】⇒ことさらに悪い点を取り上げて非難する。

【他者の意識の宛て先(たしゃのいしきのあてさき)】⇒他者の意識が向いている方角。

【老幼(ろうよう)】⇒老人と幼児。

【唐突に(とうとつに)】⇒何の前ぶれもなく、突然に物事が始まるさま。だしぬけに。

【くびき】⇒車のながえ(馬車・牛車などの前に長く出た二本の棒)の先につける横木。牛馬の首にかけて車を引かせた。この事から、比喩的に自由を束縛することを意味するが、ここでは、個人を規定する社会の制度・風習を指す。

【封建的(ほうけんてき)】⇒個人の自由・権利よりも人間の上下関係を重視するさま。

【理念(りねん)】⇒ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。

【核家族(かくかぞく)】⇒夫婦あるいは夫婦と未婚の子どもから成る小家族。

【漂流(ひょうりゅう)】⇒あてもなく、さすらい歩くこと。

【スローガン】⇒団体や運動の主義・主張を、わかりやすく要約した文章。標語。

【緻密(ちみつ)】⇒細かいところまで注意が行き届いていて、手落ちのないこと。

【緊密(きんみつ)】⇒物事の関係が密接なありさま。

【親密(しんみつ)】⇒互いの交際の深いこと。きわめて仲のよいこと。

【あまねく】⇒すみずみまで広く行き渡るさま。「あまねく静かに浸透してきている」で、「広範囲にわたってじわじわと社会の中に現象化してきている」という意味。

【疼き(うずき)】⇒ずきずきと痛むこと。「ひりひりとした疼き」で、「身体的な痛みではなく魂の痛み」を表している。

【ツール】⇒道具。

【烙印を押される(らくいんをおされる)】⇒消し去ることのできない汚名を受ける。「烙印」とは「火で焼き、物に押しつけてしるしをつける金属製の印。または、それによってつけられたしるし」を表す。

【募る(つのる)】⇒ますます激しくなる。こうじる。

【恒常的に(こうじょうてきに)】⇒日常的に。常日頃から。いつも変わらずに。

【鬱屈(うっくつ)】⇒気持ちが晴れず、ふさぎこむこと。

【渇く(かわく)】⇒心から強く欲しがる。満たされぬ気持ちがいらだたしいほど高まる。

【克服(こくふく)】⇒努力して困難にうちかつこと。

【肯定(こうてい)】⇒認めること。価値があると判断すること。

【文脈(ぶんみゃく)】⇒一般に、筋道や脈絡のこと。また、ある事柄の背景や周辺の状況のこと。

【相互性(そうごせい)】⇒双方が互いに同じような働きかけをすること。本文では、他者から自分が想われることを願うだけではなく、自分が他者を思いやることをいう。

【道理(どうり)】⇒本来そうあるべき物事の筋道。

『ぬくみ』のテスト対策問題

 

問題0

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①情報をシャダンする。

②勝敗にコウデイする。

トウトツな発言をする。

④彼とはシンミツな間柄だ。

⑤思いがツノる。

⑥弱点をコクフクする。

解答①遮断 ②拘泥 ③唐突 ④親密 ⑤募 ⑥克服
問題1「苛立ちの隠喩」が「身体から切り離された」とはどういうことか?
解答例苛立ちの表現として、「腹が立つ」「アタマにくる」「むかつく」などの体の一部を用いて身体からわき上がる感情を表したものが、<身体の部分>ではなく自分と社会、または自分と他者との<関係性>が「キレる」という表現で表されるようになったということ。
補足「隠喩」とは「~のようだ」「~のごとし」などのような、表現上比喩であることを示す語を用いずに、直接その言葉を使って例える技法のこと。本文の「腹が立つ」「アタマにくる」の「腹」「アタマ」は「心の中」を意味し、「むかつく」は「(胸が)むかむかする」で「胸」が「心」を意味している。筆者はこれらの隠喩を取り上げて、これまでの「身体に関わる隠喩」には、「心の動き」すなわち自分の内部からふつふつとふき上がる感情と密接な関係があったと指摘している。
問題2「自分がここにいるという感覚」は何によって満たされるか?
解答例他者の意識の宛て先として自分を感じること。
問題3「彼/彼女が帰属する社会的なコンテクスト」とはどういうことか?
解答例身分や家業、血縁や地縁といった親族関係、または階級、性、民族のような個人を拘束していた近代化以前の封建的な社会的文脈。
問題4「『資格』が問われる社会」とはどのようなものか?
解答例システム化された社会の構成員となるために、行動の能力が条件として求められ、条件を満たせなければ「不要」の烙印を押されてしまう社会。
問題5「近代の都市生活というのは寂しいものだ」とあるが、なぜ近代の都市生活は寂しいものなのか?
解答例「近代化」により旧来の身分や階級などの社会的コンテクストが消失し、個人は選択の自由を得た。一方で、自分がだれであるかを自分で証明しなければならなくなった個人は、血縁や地縁から切り離された寂しさを抱えるようになった。その結果、システム化し組織化された社会の中の役割でしか個人として必要とされず、親密な個人的関係に「自分の存在」の承認を求めるようになったため。
問題6「現代の都市生活者‥‥疼きとなって現象している」とはどういうことか?
解答例現代の都市生活者は、社会の中で自分の存在を見い出すことができなくなり、その思いはじわじわと心の底に広がっていき、「寂しさ」を抱えている。そのため、「寂しさ」から逃れたいという心の痛みが誰かと「つながっていたい」という行動になって現れている、ということ。
問題7「こうした他者との遮断の認識」とあるが、どういうことか?
解答例資格や条件を満たしていないと、「あなたの存在は必要ない」と烙印を押される経験を繰り返す中で芽生えた、ありのままの自分を受け入れてもらえない、自分を自分として「このままで」は受け入れてもらえない、という他者から遮断された不安な思いのこと。

まとめ

 

以上、今回は『ぬくみ』について解説しました。この評論は定期テストなどにもよく出題されます。ぜひ正しい読解をして頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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