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ひよこの眼  教科書 現代文 感想 語句 漢字 ノート

 

『ひよこの眼』は、高校国語・現代文の教科書に載せられている小説文です。学校の授業などにおいても学びます。

ただ、実際に本文を読むと話の流れや登場人物の心理などが分かりにくいと感じる人も多いと思われます。そこで今回は、『ひよこの眼』のあらすじやテスト対策、語句・漢字の読み方などを解説しました。

『ひよこの眼』のあらすじ

 

本文は6つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①中学三年生だった私は、転校生としてやって来た相沢幹生の何を見ているか解らない目に懐かしさを感じた。彼の超然とした雰囲気は、他の女子生徒には大人っぽいと受け止められていた。だが、私は彼の瞳に懐かしさを感じたことが不思議でならなかった。

②その日以来、私は彼の瞳の懐かしさの理由が解らず、彼を見詰め続けるようになった。心の中のもどかしさを取り去りたかったからである。そんな私を見て、クラスの皆は私が幹生のことを好きなのではと噂するようになる。私には不本意な噂であったが、私は自分があまりにも無防備であったことに舌打ちをしたい気分だった。

③ある日、クラスの中から秋の学園祭の実行委員を決める際に、私と幹生が選ばれてしまう。それは他の生徒による私たちへのからかいの気持ちから出たものだったが、幹生は動じることなく私に直接話しかけ、一緒に帰ろうと誘ってきた。しばらく無言で歩き、私は幹生にあの時の目について話したが、お互いの真意は解らなかった。私には彼が普通の年齢の人間が許容できる大きさ以上に、何かを背負っている人に見えた。

④私が幹生に遠慮なく友人として接するうちに、彼も上の空の様子が影を潜め、お互いに好きだと告白することになった。私はあの時の目のことは解らないままだが、幹生と体を寄せ合い、手を握り合い、彼の将来に対する気持ちも前向きになり、幸せな気分になった。

⑤私が家に帰ると、妹がうさぎを飼いたいとだだをこねていた。そのことがきっかけで、以前飼っていたひよこが死んだときの目と、幹生の目が同じだったことに私は気付いた。自分はその目に潜んでいた諦観に引かれていたのだ。恐ろしい予感を抱きながら、私は次の日に学校へ行ったが、彼は学校に来なかった。噂によると、父親が病気を苦に自殺をはかり、彼はその道連れにされたらしい。予感は的中してしまい、幹生には二度と会えなかった。私は悔しくて泣き続けた。

⑥それから何度か街の雑踏や電車の中で偶然ひよこの眼に出会うことがあった。そんな時、私は片手を握りしめながらこう尋ねてみたい衝動に駆られる。あなたは死というものを見詰めているのではありませんか、と。

『ひよこの眼』の語句・漢字ノート

 

【端を発する(たんをはっする)】⇒(それがきっかけになって)物事が始まる。

【咄嗟に(とっさに)】⇒その瞬間に。

【せつない】⇒胸がしめつけられるようでつらい。

【霧のように胸を覆い(きりのようにむねをおおい)】⇒最初の疑問が晴れないつらさが広がっているさま。

【教壇(きょうだん)】⇒教室で授業をするときに教師の立つ壇。

【動じない(どうじない)】⇒落ち着いている。

【上の空(うわのそら)】⇒他の事に心が奪われて、そのことに注意が向かないこと。

【咳払い(せきばらい)】⇒存在を示そうと、わざと咳をすること。また、その咳。

【怪訝(けげん)】⇒不思議で納得がいかないさま。

【超然(ちょうぜん)】⇒物事にこだわらず、平然としているさま。「超然とした雰囲気」で、ここでは「皆が気にすることを気にしていない様子」を表す。

【目配せ(めくばせ)】⇒目を動かして、意思を伝えたり合図をしたりすること。

【ひょうひょうとした】⇒周囲を気にせず、自分のペースで動いている様子。「超然とした雰囲気」と共通する。

【遭遇(そうぐう)】⇒不意に出あうこと。偶然にめぐりあうこと。

【つたない記憶(きおく)】⇒下手な記憶。あるかないかの(評価に足りない)記憶。

【もどかしく】⇒思うようにならなくていらいらして。「もどかしい」とは「思うようにならずいらいらする。じれったい。」などの意味。

【歯噛み(はがみ)】⇒悔しくて、歯をかみしめること。

【呆然(ぼうぜん)】⇒あっけにとられているさま。

【心を引かれる(こころをひかれる)】⇒好意を寄せる。思いを寄せる。

【不本意(ふほんい)】⇒自分の本当の望みとは違っていること。

【冷や汗をかく(ひやあせをかく)】⇒はらはらする。ひやひやする。

【平静を装う(へいせいをよそおう)】⇒内心は動揺しているものの、それを外面に出さないように普段どおり落ち着いた振りをする。

【無防備(むぼうび)】⇒攻撃を防ぐ準備がないこと。

【憮然(ぶぜん)】⇒失望してぼんやりするさま。失望や不満でむなしくやりきれない思いでいるさま。

【感嘆(かんたん)】⇒感心してほめたたえること。

【どぎまぎ】⇒うろたえあわてるさま。

【困惑(こんわく)】⇒どうしたらよいかわからず、困ること。

【口をつぐむ(くちをつぐむ)】⇒口を閉じてものを言わない。 黙る。

【些細(ささい)】⇒とるに足らない。わずかなさま。

【心を砕く(こころをくだく)】⇒あれこれと心配すること。

【不意(ふい)】⇒思いがけないこと。突然であること。

【許容(きょよう)】⇒許すこと。大目にみること。

【周知(しゅうち)】⇒広く知れわたっていること。

【影を潜める(かげをひそめる)】⇒表に出なくなる。見られなくなる。

【呑気(のんき)】⇒性格や気分がのんびりとしていること。

【やるせない】⇒心のやりどころがない。思いを晴らす方法がない。

【気のおけない(きのおけない)】⇒遠慮や気兼ねをする必要がないこと。

【術(すべ)】⇒手段。方法。

【夕暮れ(ゆうぐれ)】⇒日の暮れるころ。

【とがめる】⇒過ちや欠点などを取り上げて責める。非難する。

【諦観(ていかん)】⇒あきらめて、こだわりの気持ちを捨てること。

【知る由もなかった(しるよしもなかった)】⇒知る方法もなかった。「由」は、ここでは「手段・方法」の意。

【大事を取る(だいじをとる)】⇒慎重に物事を運ぶ。軽々しく物事を行わない。

【まことしやかに】⇒いかにも本当のことらしく。

【黙祷(もくとう)】⇒黙って心の中で祈りを捧げること。

【雑踏(ざっとう)】⇒多人数でこみあうこと。ひとごみ。

【衝動に駆られる(しょうどうにかられる)】⇒急(せ)きたてられるような衝動を覚えること。

『ひよこの眼』の本文&テーマ解説

 

この小説の主題は、「死の不条理」と「自分勝手な幼い愛情」にあります。そこには、「~からの克服」「~からの成長」といった要素はありません。あるのは「諦観」のみです。

まず主人公である私(亜紀)は、転校生である相沢幹生を見て懐かしい感情がわいてきます。冒頭ではこの理由は触れられていませんが、最終的に、かつて子どもたちの自分勝手な愛情によって死なせてしまった「ひよこの目」に似ていたからだということが分かります。

また、幹生がいつも一心に見詰めていたのは、彼が「死」を予感していたからであることも分かります。彼が亡くなる前に、私は「幹生が私たちの年齢の人間が許容できる大きさ以上に何かを背負っているように感じた」と言っています。

この「何か」というのは、子どもの力ではどうしようもできない大人の世界の現実的な苦悩を表しています。具体的には、親の病気や借金といった子供ではどうにも解決できない問題です。

このような私が序盤に抱いていた「謎」が、終盤になるにつれ解けていき、私は幹生が諦観を持って死を予期していることに対して、それを見詰めている以外何もできなかったということに気付きます。

しかも、なまじ幼い自分勝手な恋に溺れてしまったために、見つめることから目を逸らそうとさえしてしまったという伏線もあります。

「私」は結局、幹生に対して何もしてやれることができませんでした。これは、「私」が「まだ幼いから」という理由だけではありません。

子供であろうと大人であろうと、「どうすることもできなかった」というのが「死の不条理」です。

本文中にも、「私は、この年齢にして、人間の思うとおりにいかないことがあるのを知ってしまい、すっかり気落ちしていた。そう思ったら、悔しくて泣けてきた。」とあります。

これは、子どもだから何もできなかったというだけではなく、世界には思い通りにいかないこと、どうにもならないことがあるということを示唆しています。

本作のような「病気や借金を苦に親子が心中してしまう」といった分かりやすい悲劇で迎える死だけではなく、順風満帆と見えた人生の中にも、死というのは突然訪れます。

人間は、それを選ぶことも拒否することもできない、という諦観が根底にあることを、この小説は教えてくれるということです。

『ひよこの眼』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①突然の事態にコンランする。

タンニンの先生と連絡をとる。

カッコウ良く見える服装。

④彼はテイカンの境地に達した。

⑤一斉にハクシュが起こった。

フイをつかれた表情を見せる。

ザットウの中にまぎれこむ。

解答①混乱 ②担任 ③格好 ④諦観 ⑤拍手 ⑥不意 ⑦雑踏
問題2

次の慣用句の意味を簡単に答えなさい。

①怪訝な ②心を砕く ③やるせない ④気のおけない ⑤まことしやかに

解答例①不思議で納得がいかないさま。②あれこれと心配する。③心のやりどころがない。④遠慮をする必要がない。 ⑤いかにも本当のことらしく。
問題3

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)私が転校生としてやってきた幹生を見詰めるのは、妙に超然とした雰囲気を持っていた彼に対する好奇心からである。

(イ)私は幹生の口をつくんだ様子を見て、私などには及びもつかないことを隠し持っているように見えて、不意に悲しくなった。

(ウ)私が「幹生の瞳」に出会った時、私の記憶が疼いたのは、あの時の「ひよこの目」と同じ目をしていたからである。

(エ)私はこの年齢にして、人間の思う通りにいかないことがあることを知ってしまい、すっかり気落ちすることとなった。

解答(ア)私が彼を見詰めるのは好奇心からではなかった。と本文中にある。

まとめ

 

以上、今回は『ひよこの眼』のあらすじや語句の説明、テスト対策などを解説しました。この小説は定期テストなどにもよく出題されます。ぜひノート代わりにして見直して頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。