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こころ 問題 読書感想文 教科書 学習の手引き 授業 テスト

 

『こころ』は、夏目漱石による有名な文学作品です。高校国語・現代文の教科書にも載せられています。

ただ、実際に本文を読むと登場人物の心理などが分かりにくい場面もあります。そこで今回は、『こころ』のあらすじやテスト対策、読書感想文などを含め簡単に解説しました。

『こころ』のあらすじを簡単に

 

『こころ』は、上・中・下の三つの部から構成されている小説です。作品全体は、私の手記という形をとっています。

まず、「上 先生と私」では先生と私の出会い及びその後のつきあいが描かれています。続く「中 両親と私」では、大学を卒業後、いったん故郷に帰った私が、故郷の家族と暮らしながら体験した出来事が描かれています。

最後の「下 先生と遺書」では、故郷にいる私宛てに、ある日、先生から届いた長い手紙(遺書)の内容が、先生の言葉のままに紹介されています。一般に高校現代文の教科書では「下 先生と遺書」を中心に抜粋されることが多いです。本記事では、それぞれのあらすじを簡単に紹介していきます。

「上 先生と私」のあらすじ

私が先生と出会ったのは、まだ高等学校の学生だった頃、夏休みを利用して出かけた鎌倉の海岸である。東京に戻った私は、先生の家に出入りするようになり、先生と私のつきあいが始まった。先生は奥さんとひっそりと暮らしていた。

仲のよい夫婦であったが、私には二人の間に何か秘密があるように感じられた。先生は大学を卒業し、教養もあるのに、職には就いていなかった。私は先生に深く傾倒し、先生の人生や思想を知りたいと思ったのだが、なぜか先生は心の奥に過去を秘めて語ろうとしない。

その事に対してわだかまりを感じていた私に、先生は適当な時機が来たら、きっと自分の過去を残らず話そうと約束をした。

「中 両親と私」のあらすじ

 

大学を卒業した私は、故郷へ帰った。私の両親は私の卒業を大変喜び、客を呼んで卒業祝いをしようと計画した。しかし、その日取りのまだ来ない内に、明治天皇の崩御と乃木大将の殉死が報じられ、新聞で日本中に知れ渡った。

その頃から私の父の容体が次第に悪くなり始め、私が東京へ戻ろうとする間際、父は腎臓病のために卒倒し、寝たきりとなる。 その時、私のもとに先生から分厚い手紙が届いた。手紙の終わりのほうには、「この手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもうこの世にはいないでしょう。とくに死んでいるでしょう。」と書かれていた。

手紙は先生の遺書であった。私は生死の境にある父や、枕元に付き添う家族を後に残して、東京行きの汽車に飛び乗り、先生の遺書を読み始めた。

「下 先生と遺書」のあらすじ

 

※ここからの「私」は「先生」を指したものとなる。

私は20歳にならない頃に両親を亡くし、孤児となった、その後、故郷の新潟を離れ、東京の高等学校へ入学した。故郷の家には叔父一家が移り住み、遺産の管理もすべて叔父が引き受けてくれていたのである。

三度目の夏休みに帰京をした時、従妹との結婚を私に強要する叔父が、実は私の財産をごまかしていることを知り、人間不信に陥った。私は残された財産を整理し、父母の墓に別れを告げると、二度と戻らないつもりで故郷を後にした。

上京した私は下宿に移って大学に通うことになるが、その下宿では軍人の未亡人である奥さんと女学校に通っているお嬢さんがいた。私は奥さんやお嬢さんとしだいに打ち解け、親しくなっていくが、そこに一人の男が同居することになった。それがKである。

Kは私が幼い頃からの友人で、真宗の寺の次男として生まれ、その後、医者の家に養子に行くことになった。しかし、Kは医者になるつもりなどなく、養家から絶縁され、実家からも勘当される。しだいに神経衰弱となり、私はKを援助するために引き取ることになったのである。

こうして、私、K、お嬢さん、奥さんの4人での暮らしが始まることになった。しばらく生活していると、Kとお嬢さんが時折二人きりになることが増え、私は内心、穏やかな気分ではなかった。私はKに嫉妬をしていたのである。私は今まで何とも思っていなかったお嬢さんに恋心を抱くようになり、Kに対抗心を抱くようになった。

ある日、正月に奥さんの提案でカルタとりをした。二、三日後、奥さんとお嬢さんの留守中に、Kが二人のことをしきりに質問するので不思議に思い理由を聞くと、Kは重々しい口調でお嬢さんへの恋を私に告白する。私は恐ろしさと苦しさの塊のように固くなり、先を越されたな、と思った。私は自分もお嬢さんに恋しているということをKに告白する機会を失ってしまった。

その後、私とKはこの件に関して話をしようとしなかったが、学校の図書館で偶然出会い、ともに上野公園に行くことになった。私は無防備なKにアドバイスを与えるのではなく、打ち倒そうとした。それは「精神的に向上心のないものはばかだ。」という言葉で、その道のためにはすべてを犠牲にすべきであるというKの考えを利用して、お嬢さんへの恋をあきらめさせようとするものであった。

上野から帰り、私はKを出し抜くために仮病を使って学校を休み、奥さんにお嬢さんと結婚したいと申し込むと、あっけなく承諾された。私はKにこの事を話さなければと思ったが、奥さんからKに話をしたということが知らされた。その時のKの様子を聞いて、私は胸がつまるような苦しさを感じた。

私はKの態度の立派さに、自分は策略で勝っても人間としては負けたと敗北感を味わうことになる。私がどうするか迷っているうちに、Kは私を責める言葉のない簡単な遺書を残して自殺してしまう。私はKの死に暗示された運命の恐ろしさを深く感じ、ただなすすべもなくうろたえるばかりであった。

『こころ』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の漢字および読み方を答えなさい。

カイコンの情。

サイソクを受ける。

ユウジュウな性格。

ショウダクを受ける。

クッタクのない人。

カダンな処置を行う。

挨拶を交わす。

要塞を守る。

滑稽な話。

羞恥心を感じる。

刹那的な喜び

覚醒を促す。

解答①悔恨 ②催促 ③優柔 ④承諾 ⑤屈託 ⑥果断 ⑦あいさつ ⑧ようさい ⑨こっけい ⑩しゅうち ⑪せつな ⑫かくせい
問題2

次の部分の「私」の心理状態は、それぞれどのようなものであったか?

①私の頭は悔恨に揺られてぐらぐらしました。

②「精神的に向上心のないものはばかだ。」

③そうした新しい光で覚悟の二字を眺め返してみた私は、はっと驚きました。

④「おれは策略で勝っても人間としては負けたのだ。」という感じが私の胸に渦巻いて起こりました。

⑤私は、永久に暗い夜が続くのではなかろうかという思いに悩まされました。

解答例

①Kと同様に自分もお嬢さんに恋心を抱いていたので、驚きと恐ろしさでいっぱいでKに自分の気持ちを打ち明けることができず、機会を逸した後で強い後悔にさいなまれている状態。

②Kが以前から信念をもって主張していた言葉を、理想と現実の間でふらふらしているKに対してぶつけることで、彼を打ち倒してお嬢さんに対する恋をあきらめさせようと必死な状態。

③それまでは、Kの覚悟がお嬢さんへの恋を捨てて今まで積み重ねてきた道へ精進する、という意味だと解釈していたが、逆にKが道を捨ててお嬢さんへの恋に突き進むとも解釈できることが分かり、ショックを受けている状態。

④自分はKを出し抜いてお嬢さんとの結婚の約束を結んだ卑劣な人間であるのに対し、Kは私の裏切りを告発せず、二人の結婚を祝福したので、Kの方が人間的にはるかに優れていることが思い知らされ、決定的な敗北感を味わっている状態。

⑤自分がKを自殺に追いやったのだと考えると、あまりの罪の重さに恐れおののくと同時に、自分は死ぬまでこの罪にさいなまれ続けるのではないかと予感している状態。

問題3「覚悟、ー覚悟ならないこともない」と言ったKの言葉を、「私」はどのような意味に解釈したか?また、Kはどのような考えで言ったと考えられるか?
解答例

「私」⇒お嬢さんへの恋をあきらめて、これまでの道を求めて精進していく覚悟。

「K」⇒お嬢さんへの恋を選ぶか、道を求めて精進するかで迷っていたことに何らかの結論を出し、それに向かって進んで行こうと覚悟を決めた考え。(漠然と死を意識している)

学習の手引きKはなぜ自殺したと考えられるか?本文の記述を参考にその理由や原因を考えてみよう。
解答例Kの自殺の原因を明確に限定することは難しいが、まず失恋の衝撃というのが考えられる。Kはお嬢さんに切ない恋心を抱いていたので、そのお嬢さんとの恋が成就しなかったことで絶望的になり自殺を決意してしまったというものである。ただ、それ以前にKは恋を邪道とする自身の道に対する考え方に、自分の心が背いてしまったというのが大きい。つまり、自分の思想と現実の心の動きに矛盾が生じてしまったということだ。それは結果として、私を裏切らせ、Kをさらに孤独にさせてしまった。そして、Kから友情をも奪ってしまった。自殺の原因はこのように、様々な要素が絡み合った結果起こったと考えるのが妥当である。
学習の手引き私はKの自殺をどのように受け止めたか?考えてみよう。
解答例

私はKの自殺に対して強い衝撃を受けた後、遺書に自分を責めるような内容が書かれていないことを確認し、世間体を考えて助かったと感じている。しかし、Kが自殺した原因は自分にもあると認識しており、自分の全生涯が黒い光に照らされるような運命の恐ろしさを感じている。※友人の自殺に衝撃を受けて戸惑うだけでなく、世間体を気にするというエゴが表れている点がポイント。この場面は、私のこの後の人生を暗示しているとも言える。

『こころ』の読書感想文の書き方

 

『こころ』の読書感想文は、どのように書けばよいのでしょうか?

この作品は、『こころ』とあるように、人の心に焦点を当てているのがポイントです。また、物語の結末としてはKと私が最終的に自殺をしてしまったという点も見逃せません。

したがって、感想文を書く際は、人生における友情や恋愛、自殺の是非といった内容を中心にするのが書きやすいと言えます。

感想文の例『こころ』を読んで特に考えさせられたのが、「恋」と「友情」の間で苦しむ人の内面である。「恋」と「友情」、どちらも人生においては重要なものであり、その人の生涯を左右することにもなりかねない。実際に、「私」は「K」と「お嬢さん」、そして自分を含めた三者の中で起こった事柄をずっと引きずり、最終的には自らの人生を終わらせることになってしまった。友を想って無言で恋をあきらめれば、その恋はいつまでも忘れられない執着としてその後の人生に影響を及ぼすだろう。一方で、「私」のように友を出し抜いて恋を成就させれば、その後ろめたさによって心から幸せを感じることはできず、その後の人生は暗いものとなってしまうだろう。こうなると、結局どちらへ進んでも恋と友情に縛られることになってしまう。ただ、解決策がないわけではないとは思う。それは、一言自分の想いを友に告げることだ。もちろん、その時の苦しみも相当なものだと思う。ただ、正直に自分の想いを友人へ告げることで、後の苦しみや辛さはずいぶんと軽くなるはずだ。本作では、「私」は「K」にお嬢さんへの想いを伝えずに「K」を出し抜いたが、この時から「私」の未来は暗くなり、その内面も重苦しくなってしまったのだと思う。加えて、「K」の自殺、最後には「私」の自殺という悲惨な結末になってしまった。ただ、ここで両者が死を選んだことについても考えたい。人が自殺するには様々な理由があるとは思うが、もしも自ら死ぬ勇気があるのなら、苦しみ抜いてでも生き続けていく勇気を持ってほしいと思う。そして、残された人のことを少しでも思うのなら、自殺という選択肢はなくすことができるのではなかろうか。「私」も「お嬢さん」のことを思うのなら、なんとか思いとどめて人生を最後まで歩んでほしかった。この作品を読んだことで、自ら命を絶つ人が一人でも減ってくれる世の中になってくれたらいいと思う。(791文字)

※上記の感想文はあくまで一例です。実際に書く際はコピーするのではなく、自分なりにアレンジして書くようにして下さい。

まとめ

 

以上、本記事では『こころ』のあらすじや感想文、テスト対策などについて解説しました。ぜひ参考にして頂ければと思います。なお、本文中に出てくる重要語句については下記の記事でまとめています。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。