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「より」と「から」 使い分け 違い 公用文 使い方 意味

 

より」と「から

どちらも普段の文章でよく使われている言葉ですね。

「東京より大阪へ」「今日から明日まで」

さらに、両者は公用文としても使われているようです。

ただ、この2つの違いを
完全に理解している人はごく少数かと思われます。

そこで今回は「より」と「から」の
使い分けについて詳しく解説しました。

さっそく、確認していきましょう。

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「より」の意味

 

まずは、「より」からです。

「より」には、
時間・空間の起点・出発点」などの意味があります。

 

例えば、以下のような使い方です。

  • より息子へ。
  • 日本よりアメリカまで。
  • より徒歩5分の物件。
  • 特価1000円より
  • 会議は12時より

いずれの場合も時間や空間の起点を
表していることが分かるかと思います。

 

また、「より」には「比較」を表す意味があるのも特徴です。

  • 夏は春より暑い。
  • よりパンが好物だ。
  • 去年より体調が良い。
  • AよりBの方が簡単だ。
  • 彼は彼女より背が高い。

この場合は、前に来る名詞と
後に来る名詞を比較するような時に使います。

「から」の意味

 

次に、「から」の意味です。

「から」にも同じく、
時間・空間の起点・出発点」を表す意味があります。

  • 埼玉から千葉まで。
  • 午後2時から始まる。
  • 恐怖から解放される。
  • 右側から左側へ移動する。
  • 上司から説明があった。

この意味の場合は、「より」とほぼ同じだと考えて下さい。

 

ただし、「から」には「比較」の意味はありません

ここが一番の重要なポイントだと言えます。

「から」は、
物事を比較するような使い方はできないのです。

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「より」と「から」の違い

 

ここまでの内容を整理すると、

より」=「時間・空間の起点・出発点」「比較

から」=「時間・空間の起点・出発点

ということでした。

 

つまり両者の違いを簡潔に言うと、
比較の意味でも使えるかどうか」ということになります。

「より」は「比較」の意味で使えますが、
「から」は「比較」の意味では使えません。

 

これは両者を例文で比較してみれば一目瞭然でしょう。

「正」⇒「肉より魚の方が好きだ。」

「誤」⇒「肉から魚の方が好きだ。」

「正」⇒「りんごよりみかんの方が小さい。」

「誤」⇒「りんごからみかんの方が小さい。」

「正」⇒「昨日よりも今日の方が調子がいい。」

「誤」⇒「昨日からも今日の方が調子がいい。」

 

後者の文はいずれも違和感があることが分かるかと思います。

一見、似たような使い方ができそうですが、
「から」を比較の意味として使うと文の意味が全く通じなくなってしまうのです。

 

また、「時間・空間の起点・出発点」の意味で使う場合も、
両者は微妙に使い分けがされているようです。

まず、「より」の方は「文語的な口調」、
すなわち「書き言葉」として使われることが多いです。

特に、重々しい様子や堅苦しいイメージを伝える時、
格調を高くしたい時
などによく使われる傾向にあります。

【例】

  • 「総務よりお知らせ致します。」
  • 「本日よりご予約を受付いたします。」
  • 「心よりお悔やみ申し上げます。」

 

対して、「から」の方は「口語的な口調」、
すなわち「話し言葉」として使われることが多いです。

別の言い方をするならば、
平易で柔らかいイメージを伝えるような場合です。

【例】

  • 「あなたは彼から離れた方がいいよ。」
  • 「彼女からプレゼントをもらいました。」
  • 「幼い頃から野球をしているようです。」

 

実際の話し言葉としては、ほとんど「から」の方が用いられており、
「より」を用いるケースは限定的です。

現在のように「より」が改まった文章の中によく見られるのは、
古くからの文語調が残っているためだと言われています。

元々、平安時代までは「から」はほとんど用いられていなく、
和歌では「より」が用いられていました。

ところが、室町時代以降、「から」が多用されるようになり、
「より」は文章上に残るようになったということです。

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公用文・公文書での使い分け

「より」と「から」  公用文 公文書 漢字 人

「より」と「から」の使い分けは、
公用文」に関しては以下のように定義されています。

時および場所の起点を示すには、「から」を用いて、「より」は用いない。

「より」は、比較を示す場合にだけ用いる。

出典:「公用文作成の要領:昭和27」

つまり、「より」は比較を示す時のみ使い、
「より」と「から」のどちらも使うことができる場合は「から」を用いる。ということになります。

 

例えば、以下のような2つの文があったとしましょう。

①日頃よりいつもお世話になっています。

②日頃からいつもお世話になっています。

 

この場合、公文書に関しては②の方を原則として使うということです。

理由についてですが、「より」を使うと
比較の意味と誤用してしまう人が一定数いるからだと思われます。

 

例を挙げますと、

①「A社からとても高価な商品が届いた。」

②「A社よりとても高価な商品が届いた。」

という2つの文があったとします。

この場合、①の方は意味を誤用する可能性はまずありません。

しかし、②の方は「A社よりも高価な商品(A社ではない別の商品)」
という意味で読むことも可能です。

そのため、誤用する可能性のある「より」はなるべく使わないということです。

この事につきましては、昭和21年の次官会議申合せ「官庁用語を平易にする標準」の中で、「まぎらわしい助詞の用法」として同様の内容が述べられています。

以下、引用部分です。

時及び所について起点を示すには、「から」を用いて、「より」をなるべく用いない。

出典:【官庁用語を平易にする標準・「まぎらわしい助詞の用法」】

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「より」と「から」の使い方・例文

 

では、最後に両者の使い方を例文で確認しておきます。

 

【「より」の使い方】

  1. 新幹線は電車より速い乗り物だ。
  2. エベレストは富士山より高い山である。
  3. 今回、〇〇様より貴重なお手紙を頂きました。
  4. 本日の正午より会議を開催する予定でいます。
  5. ご結婚おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

 

【「から」の使い方】

  1. から風が入っていたようだ。
  2. しっかりと休んでから仕事を始めよう。
  3. 疲れから体調を崩すことはよくある。
  4. このお店は午後6時から入店可能らしい。
  5. 幼なじみの友人から久々に連絡が来た。

まとめ

 

以上、内容を簡単にまとめると、

より」=「時間・空間の起点・出発点」「比較

から」=「時間・空間の起点・出発点

違い」=「より」は「比較」の意味で使えるが、「から」は使えない。

【公文書】時および場所の起点を示す時は「から」を用い、「より」は用いない。「より」は比較を示す場合にだけ用いる。

ということでした。

 

実際の使い方としては、「から」を用いることの方が多いです。

ただし、結婚式や式典などのフォーマルな場では
口語だとしても「より」を使う傾向にあります。

状況に応じて上手く使い分けるようにしてください。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・日本語能力検定1級など。

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