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教科書 市民のイメージ 要旨 要約 あらすじ テスト

 

『市民のイメージ』は、国語現代文の教科書で学ぶ評論文です。ただ、実際に本文を読むと筆者の主張などが分かりにくいと感じる人も多いと思われます。

そこで今回は、『市民のイメージ』の要旨やあらすじ、学習の手引きなどをなるべく分かりやすく解説しました。

『市民のイメージ』のあらすじ

 

あらすじ

複数の人々を総称する言い方には、時代によって「国民」や「臣民」、「人民」「民衆」など様々なものがあった。「市民」「市民グループ」「市民の会」といった言い方がごく普通に使われ出したのは、1980年代頃からのようである。「市民」という言い方はきわめて理念的な言葉であり、政府権力や大企業の管理・宣伝のままに付和雷同するのではなく、自分の意見をもって自分たちの生活を作り守る、狭い血縁地縁の利害と興味を超えて広い社会に関心を持つというイメージを孕んでいる。

筆者は、自分が「市民」であるという思いが頼りないものであることを思い知る機会があった。それは、陪審員審理の現場を扱ったアメリカのドキュメント番組で、アリゾナ州での三つの裁判における陪審員たちの審理の公開記録映像を見たときのことである。陪審員候補者40数人の中から絞られた12人ほどの人々が会議室で話し合い、討論して最後に評決するのだが、話し合いはあくまで証拠に基づいて論理的に進められ、決して安易に和合しない。審議は長い時には三日連続にもなり、再審議になる場合もある。それでも過度に感情的になる人もなく、普通の市民として審議を進めていた。

普通のアメリカ人は、なんて立派なんだと思っていたが、しだいに筆者は、この人たちは自分たちの審議と評決によって”市民になる”のだと思うようになった。この審議と評決の場は、人間どうしが公正な「社会」を作り出し支え続けていけるのかどうか、自分たちひとりひとりが動物ではなく「人間」であり、「市民」でありうるかどうかが試される場である。ひとりの被告の運命が自分の意見表明にかかっている極限の場では、普通の人間が「市民」に変貌するのである。アメリカの陪審制度には、社会の全員に「市民」であるとはどういうことかを体験させ、教育する大胆なシステムという一面があることがわかった。

我々の日常生活では、自分を殺すか、控えめに自分を露出することが多い。だが具体的な証拠と冷静な論理によって、”筋が通ること”で成り立ち支えられている「市民社会」という、より上位レベルの現実がある。それはより普遍的に開かれた現実であり、人類にとって新しい経験である。我々は「市民」に生まれるのではなく「市民」になるのである。

『市民のイメージ』の要約

 

要約

「市民」という言葉は、自分の意見を持って自分たちの生活を作り守る、狭い血縁地縁の利害と興味を超えて広い社会に関心を持つというイメージを孕んでいる。アメリカの陪審制度には、社会の全員に「市民」であるとはどういうことかを体験させ教育する大胆なシステムという一面があることが分かった。我々は「市民」に生まれるのではなく、「市民社会」という普遍的に開かれた現実において「市民」になるのである。(192文字)

『市民のイメージ』の学習の手引き・テスト対策

問題0農漁村にも「市民」はいるし、都市住民の全てが「市民」ではないと言えるのなぜか?
解答例自分の意見をもって自分たちの生活を作り守る、あるいは狭い血縁地縁の利害と興味を超えて広い社会に関心を持っているのが「市民」であるならば、どこに住んでいるかではなく、考え方や生き方の問題であるから。
問題1筆者がテレビで見たアメリカの陪審制度はどういうものであったか?
解答例・陪審員候補40数人が裁判所に集まる。・検事側と弁護人側が、候補者を12人ほどに絞る。・会議室で話し合い討論して、最後に評決する。・討議は堅苦しくないが、あくまで証拠に戻づいて論理的に進められる。・ひとりひとりが納得するまで決して妥協せず、審議は長引き、再審議にもなる。・過度に感情的になる人は見られず、告発に対する「合理的な疑念」を探しあう。
問題2「普通の人間が『市民』に変貌する」(15・13)とはどういうことか?
解答例ひとりの被告の運命が自分の意見表明にかかっている陪審員審理の場では、人間どうしが公正な「社会」を作り出し支え続けていけるのかどうか、自分たちひとりひとりが動物ではなく「人間」、奴隷ではなく「市民」でありうるかどうかが試されるということ。
問題3筆者の考える「市民社会」(16・10)とはどういうものか?
解答例地縁血縁共同体のように、理屈よりも気持ちが優先するのではなく、論理が優先されるが、自分のことだけを考えるのではなく、誰にとっても納得できる普遍性があることを目指すような社会。
言葉と表現本文における「市民社会」は、現代においてどのような意味を持つか?
考え方

本文の最後に「閉じた地縁血縁共同体の情念の濃密さに比べれば、一見抽象的、虚構的にさえ感じられるかもしれないが、それはより普遍的に開かれた現実であり、人類にとって新しい経験である。我々は「市民」に生まれるのではなく、「市民」になるのだ。」とある。

実際に日本でも2009年から裁判員制度が始まっており、本文で述べられているような「市民社会」の考え方は少しずつ私たちの生き方を変えていくと考えられる。「地縁血縁共同体」から都市型社会への移行と、主張や嗜好を通じてつながるネット社会が広がっている現代では欠くことのできない考え方でもあるだろう。

言葉と表現「国民」や「臣民」など「民」のつく言葉をあげ、それぞれの言葉の意味を調べなさい。
解答例

【人民(じんみん)】⇒国家や社会を構成している人々。

【公民(こうみん)】⇒国や地方公共団体の政治に参加する権利と義務を持つ者。

【平民(へいみん)】⇒普通の人々。明治2年から昭和22年まで続いた身分制度で、華族や士族の下の身分。

【住民(じゅうみん)】⇒その土地に住んでいる人々。ある一定の地域内に居住している人。

【農民(のうみん)】⇒農業を職業とする人々。

【臣民(しんみん)】⇒君主国において、君主の支配の対象となる人々。明治憲法下において、天皇・皇公族以外の者。

【国民(こくみん)】⇒その国の国籍を持ち、その国を構成する人々。

【良民(りょうみん)】⇒善良な人民。まじめな国民。

【牧民(ぼくみん)】⇒人民を治めること。牧民間の略。

【移民(いみん)】⇒他の国に移り住む人々。

【庶民(しょみん)】⇒世間一般の人々。

まとめ

 

以上、今回は『市民のイメージ』の要約やあらすじ、学習の手引きなどを解説しました。ぜひ定期テストなどの対策としてもらえればと思います。なお、本文に出てくる重要語彙については以下の記事で解説しています。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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