総括 統轄 違い 役職 使い方 例文

「総括」と「統括」は、どちらもビジネスにおいてよく使われる言葉です。

「会議を総括する」「組織を統括する」

さらに、「総括アドバイザー」「統括責任者」などのように会社の役職名として使われることもあります。

これらの言葉をどう使い分ければいいのかという疑問があります。そこで今回は、「総括」と「統括」の違いを詳しく解説しました。

総括の意味

 

まずは、「総括」の意味からです。

【総括(そうかつ)】

個々のものを一つにまとめること。全体をとりまとめて締めくくること。

②労働運動や政治運動で、それまでの活動の内容・成果などを評価・反省すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

総括」とは「全体をとりまとめて、しめくくること」を意味します。例えば、以下のような使い方です。

  • 意見を総括する。
  • 会議を総括する。
  • 話し合いを総括する。

つまり、全体の意見や考えをうまくまとめて、結論を出すことを「総括」と言うわけです。

「総括」は、主に会議などをまとめる時に使います。また、会社などの組織内では「総括責任者」「総括マネージャー」などの使われ方もします。この場合は、「それぞれの社員を全体的にうまくまとめる立場の人間」という意味です。

なお、「総括」には「評価する・反省する」という意味もあります。この意味の場合は、労働運動や政治運動など限定的な使い方をするのが特徴です。一般的にはこの意味で使うことはほとんどありません。

統括の意味

 

続いて、「統括」の意味です。

【統括(とうかつ)】

ばらばらのものを一つにまとめること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

統括」とは「ばらばらのものを一つにまとめること」を意味します。こちらも例文を紹介しておきます。

  • 部下を統括する。
  • チームを統括する。
  • 部署を統括する。

「統括」は、主に人や組織などに対して使う言葉です。そして、会社などの組織内では、「統括責任者」「統括マネージャー」などの使い方も同様にします。

いずれの場合も、「上の立場の人が下の立場の人を(支配的に)まとめる」という意味で使うことがほとんどです。「統括」の方が「総括」よりも「ばらばらのものを一気にまとめる」という意味が強くなります。

総括と統括の違い

総括 統括 違い 使い分けは

ここまでの内容を整理すると、

総括」=全体をとりまとめて、しめくくること。

統括」=ばらばらのものを一つにまとめること。

ということでした。

どちらも「まとめる」という点は同じです。しかし、両者はそのまとめ方に違いがあります。

まず、「総括」の方は「うまく調整してまとめる」という意味でした。したがって、意見や考えなどを中立的な目線でまとめる場合に総括を使うのです。

一方で、「統括」の方は「支配的にまとめる」という意味でした。よって、こちらは上の立場の人間が自分の支配下の人間や組織を支配的・序列的にまとめるような場合に使うのです。

なお、このような違いが生じるのは両者の語源が異なるためです。

「総括」の「」は、「総合」「総量」「総力」などと同じ漢字です。そのため、「」の本来の意味としては「(単に)まとめること・合わせること」という意味になります。

一方で、「統括」の「」は、「統一」「統治」「統制」などと同じ漢字です。つまり、「」の方は「支配すること・おさめること」が元々の意味となります。

ここから、両者の意味に違いが出てくるということです。

役職の違い・使い分け

総括 統括 役職 違い

「総括」と「統括」は、企業の役職名としてもよく使われています。

ところが、役職名というのはそれぞれの企業によって異なります。例えば、「総括責任者」と呼ぶ会社もあれば、「統括責任者」と呼ぶ会社もあります。

これらの使い分けについては、明確な使い分けは存在せず、会社の方針によって呼び方が変わるというのが現状のようです。

先ほども説明した通り、「統括」の方は「支配する」というイメージを持っています。したがって、そのような支配的な権力や上下関係を感じさせたくないと考える会社もいます。その場合は、同じ「まとめる」でも、「総括」の方を使う傾向にあります。

一方で、責任者にちゃんとした権力を与え、社員を序列的にまとめたいと考える会社もいます。その場合は、「統括」の方を使う傾向にあるようです。

どちらが正しい、どちらが間違っているという話ではありません。会社の社風や理念によって変わってくるというのが結論となります。

ただし、大半の会社はそこまで深く考えずに、慣習や名残りなどによって役職名をつけていると思われます。そのため、「役職」の使い分けは明確な線引きが存在するわけではないと考えてよいでしょう。

統轄の意味

 

似たような言葉で「統轄(とうかつ)」があります。

【統轄(とうかつ)】

多くの人や機関を一つにまとめて管轄すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

統轄」とは「一つにまとめて管理すること」を意味します。「統轄」の意味は、「統括」とほぼ同じと考えて問題ありません。

辞書の説明の「管轄(かんかつ)」とは、「支配や管理をする」という意味です。つまり、まとめた上で「管理もする」という点が「統括」と若干異なることになります。

基本的には、「統轄」を使う場面は少ないと考えてください。なぜなら、新聞やテレビなどのメディアでは、「とうかつ」は「統括」を使うことで統一しているからです。

戦後の法令用語改正の中でも、「統括」と「統轄」は同じ言葉として「統括」に統一して用いることが決まっています。そのため、迷った場合は「統轄」は使わずに「統括」を使うようにしましょう。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【総括の使い方】

  1. 皆の話を総括すると、今回の意見には反対となった。
  2. キャプテンとして、チーム全体を総括する役目を任された。
  3. 部下の意見を総括し、最終的な案を提出するつもりです。
  4. 彼は出世して、総括責任者という役職名が付くこととなった。
  5. 全体の批評を総括すると、「彼は辞任すべき」という結論になった。

【統括の使い方】

  1. 彼は関東全ての営業所を統括するエリアマネージャーだ。
  2. 監督は選手やコーチなどを統括する責任者だと言える。
  3. プロ野球の試合に関しては、日本野球機構が統括している。
  4. 総理大臣は日本のトップであり、内閣を統括する人物である。
  5. 日本の教育や学習については、文部科学省が統括している。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

総括」=(うまく調整して)全体をとりまとめること。

統括」=(支配的・序列的に)一つにまとめること。

統轄」=多くの人や機関を一つにまとめて管轄すること。「統括」とほぼ同じ意味。

一般的な使い方としては、「総括」は意見や考えをまとめる時に使い、「統括」は人や組織をまとめる時に使うと覚えておきましょう。では、今回は以上となります。