会社の人事や管理などで、
2つの言葉を使うと思います。
「社員教育」「社員研修」
一見すると、
どちらも同じような意味に見えますね。
ところが、実際には
両者は明確な違いがあります。
この記事では、
「教育」と「研修」の違い・使い分け
を詳しく解説していきたいと思います。
さっそく、確認していきましょう。
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教育の意味
まず、「教育」の意味を調べると
次のように書かれています。
【教育(きょういく)】
①ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能の教授、人間性の涵養 (かんよう)などを図り、その人のもつ能力を伸ばそうと試みること。
②学校教育によって身につけた成果。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「教育」とは、
「知識や技能・人間性などを伸ばそうと、相手に働きかけること」を意味します。
例えば、以下のような使い方です。
- 5歳の子供を教育する。
- 新入社員を教育する。
5歳の子供であれば、良い子に育つように
「ひらがなの知識」「礼儀・挨拶」など
あらゆる面を教える必要がありますよね。
また、新入社員であれば、
基本的な仕事の手順・やり方などを教える必要があるでしょう。
このように、
「相手を良い方向へと導くこと」を
「教育」と言うわけです。
「教育」は、文字通り「教え育てる」と書きます。
したがって、
誰かを教え育てるような時にこの言葉を使うのです。
研修の意味
続いて、「研修」の意味です。
【研修(けんしゅう)】
⇒職務上必要とされる知識や技能を高めるために、ある期間特別に勉強や実習をすること。また、そのために行われる講習。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「研修」とは、
「一定期間、職務上の知識や技能を高めるために勉強・実習すること」を意味します。
使い方としては、以下の通りです。
- 入社後の研修を受ける。
- 海外研修に出向く。
「研修」は、
「一定期間の仕事限定」という点がポイントです。
例えば、「入社後の研修」であれば、
「半年なら半年」「3ヵ月なら3か月」のように期間が決められています。
同じく、「海外の研修」も期間が決められています。
このように、
「仕事のために、一定期間勉強や実習をすること」を
「研修」と言うわけです。
こちらも語源を確認しておくと、
「研修」は「研(と)ぎ修(おさ)める」と書きます。
「修める」とは、
「知識などの学問を学ぶ」という意味です。
したがって、「研修」=「勉強すること」が
本来の意味ということになります。
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教育と研修の違い
内容を整理すると、
「教育」=知識や技能・人間性などを伸ばそうと、相手に働きかけること。
「研修」=一定期間、職務上の知識や技能を高めるために勉強・実習すること。
ということでした。
両者の違いは、
2つの観点から比較すると分かりやすいでしょう。
1つ目は、
「意味の範囲」です。
「教育」は、広い意味を持った言葉です。
具体的には、知識や技能はもちろんのこと、
しつけや礼儀などの人間性を教える行為も含まれます。
また、ビジネス以外にも
「学校教育」や「幼児教育」なども含まれます。
さらに、期間が固定されるとも限りません。
場合によっては、一生教え導くようなことも
「教育」に含まれるのです。
一方で、「研修」は狭い意味を持った言葉です。
「研修」は、原則として
ビジネスでしか使いません。
また、先ほども説明した通り必ず期間が限定されます。
そのため、「研修が一生続く」
なんてことはありえないわけですね。
そして、2つ目は
「主体の違い」です。
「教育」は、
「教える側に主体がある言葉」です。
【例】
- 先生が教育する。
- 講師が教育する。
いずれも指導をする側が、主体になっていますよね。
一方で、研修は
「学ぶ側に主体がある言葉」です。
【例】
- 社員が研修を受ける。
- 社員が研修に参加する。
こちらは、
学ぶ側が主体になっています。
つまり、似たような言葉でも
「自分と相手のどちらが行うか?」で異なってくるわけですね。
まとめると、
「教育」=広い意味で使う。教える側が主体。
「研修」=狭い意味で使う。学ぶ側が主体。
となります。
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社員教育と社員研修の違い
では、両者の違いを踏まえた上で、
ビジネスでよく使う2つの言葉を押さえておきましょう。
「社員教育」⇒人事部などが、継続的に社員を教育する。
「社員研修」⇒新入社員などが、一定期間スキルを学ぶ。
「教育」は、「広い意味を持つ言葉」ということでした。
したがって、
当然「仕事」に対しても使えます。
この場合は、「社員教育」なので
「広い意味で社内全体の人材を育てる」という意味だと思ってください。
具体的には、「仕事のスキル」や
「仕事への向き合い方」「社会人としての在り方」など様々な要素が含まれます。
最近では、「コンプライアンス」が叫ばれていますが、
「コンプライアンスの徹底」などはまさに「社員教育」と言えるでしょう。
対して、「社員研修」は、
原則として新入社員にしか使いません。
企業によっては中途採用の社員にも使うことがありますが、
基本は「新入社員」に対して使うと考えて下さい。
そして、学ぶ内容は
「仕事の進め方」「業務の手順」など技術的なものが中心となります。
もちろん「人としての在り方」なども学びますが、
こちらはあくまで補足的に学びます。
最終的に、「社員研修」は一定期間実施した後、
各部署に配属されることになります。
それ以降、同じ社員にはもう実施しません。
一方で、「社員教育」は、
配属後も定期的に開催していくこととなります。
よって、両者の言葉のイメージとしては、
次のように定義できることが分かるかと思います。
「社員研修」=未来の社員を育成すること。
「社員教育」=現役の社員を教え導くこと。
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使い方・例文
では、最後にそれぞれの使い方を
例文で確認しておきましょう。
【教育の使い方】
- 学校教育の制度改革をする。
- 日本の義務教育は9年間である。
- 教育者として、反省してください。
- 噛みつかないように、犬を教育する。
- 教育の専門家として知られる人物。
【研修の使い方】
- 営業の研修を終えてから、配属となります。
- 弊社では、一か月間のセミナー研修を設けています。
- 研修員として、海外へ2年間派遣される。
- アメリカで、語学研修を受けることになった。
- 部長を対象に、マネジメント研修が行われた。
補足すると、「マネジメント研修」とは、
部長や課長などリーダー層の社員を対象とした研修のことです。
「マネジメント」=「管理」
つまり、
「部下をうまく管理するためのスキルを学ぶ」
ということですね。
主に、業績アップ・社風改善などを目的として、
外部の業者に委託して行われることが多いです。
まとめ
では、今回の内容をまとめておきましょう。
「教育」=知識・技能・人間性などを、広い意味で教えること。
「教える側」が主体で、期間を固定しない。
「研修」=仕事の知識・技能などを、狭い意味で学ぶこと。
「学ぶ側」が主体で、期間限定。
ポイントは、
「意味の範囲」と「主体の違い」
この2点ということでしたね。
では、今回は以上となります。
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国語力アップ.com管理人
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