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会社の人事や管理などで、「教育」もしくは「研修」という言葉を使います。一般的には「社員教育」「社員研修」などのように用いることが多いようです。

これらの言葉はどのように使い分ければいいのでしょうか?本記事では、「教育」と「研修」の使い分けを詳しく解説しました。

教育の意味

 

まず、「教育」を辞書で引くと次のように書かれています。

【教育(きょういく)】

ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能の教授、人間性の涵養 (かんよう)などを図り、その人のもつ能力を伸ばそうと試みること。

学校教育によって身につけた成果。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

教育」とは「知識や技能・人間性などを伸ばそうと、相手に働きかけること」を表します。

例えば、「子供の教育」であれば、良い子に育つように礼儀や挨拶を教えたり、国語や算数の知識を教えたりするという意味になります。

また、「新入社員の教育」であれば、基本的な仕事のやり方や手順、ビジネスマナーなどを教えるといった意味になります。

このように、相手に知識や技能、人間性などを教えて良い方向へと導くことを「教育」と言うわけです。

「教育」は、文字通り「てる」と書きます。したがって、誰かを教え育てるような時にこの言葉を使うのです。

研修の意味

 

続いて、「研修」の意味です。

【研修(けんしゅう)】

職務上必要とされる知識や技能を高めるために、ある期間特別に勉強や実習をすること。また、そのために行われる講習。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

研修」とは「一定期間、職務上の知識や技能を高めるために勉強・実習すること」を表します。

例えば、「入社後の研修」であれば「3ヵ月なら3か月」のように一定期間勉強や実習をするという意味です。また、「海外の研修」であれば「半年なら半年」のように期間を定めて海外で講習を受けてくるという意味になります。

このように、仕事のために一定期間勉強や実習をすることを「研修」と言うわけです。

「研修」は、一定期間の仕事限定という点がポイントです。具体的な期間が定まっていないような勉強・実習に関しては「研修」とは呼びません。

「研修」の語源も確認しておくと、漢字だと「研(と)ぎ修(おさ)める」と書きます。「修める」とは「知識などの学問を学ぶ」という意味です。したがって、「研修」は「勉強すること」が本来の意味ということになります。

教育と研修の違い

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ここまでの内容を整理すると、

教育」=知識や技能・人間性などを伸ばそうと、相手に働きかけること。

研修」=一定期間、職務上の知識や技能を高めるために勉強・実習すること。

ということでした。

両者の違いは、二つの点から比較すると分かりやすいでしょう。

一つ目は、「意味の範囲」です。

「教育」は、広い意味を持った言葉です。具体的には、知識や技能はもちろんのこと、しつけや礼儀などの人間性を教える行為も含まれます。また、ビジネス以外にも「学校教育」や「幼児教育」なども含まれます。

さらに、期間が固定されるとも限りません。場合によっては、一生をかけて教え導くようなことも「教育」に含まれることになります。

一方で、「研修」は狭い意味を持った言葉です。

「研修」は、原則としてビジネスでしか使いません。また、すでに説明した通り三か月なら三か月、半年なら半年のように必ず期間が限定されます。そのため、研修が一生続くなんてことはありえません。

そして、二つ目は「主体の違い」です。

「教育」は、教える側に主体がある言葉です。例えば、「先生が教育する」「講師が教育する」のように指導をする側が主体になって使います。

一方で、研修は学ぶ側に主体がある言葉です。例えば「社員が研修を受ける」「社員が研修に参加する」などのように学ぶ側が主体になって用います。

つまり、似たような言葉でも「自分と相手のどちらが行うか?」で異なってくるわけです。

社員教育と社員研修の違い

 

「教育」と「研修」は頭に「社員」が付くと、次のような意味になります。

社員教育」⇒人事部などが継続的に社員を教育すること。

社員研修」⇒新入社員などが一定期間スキルを学ぶこと。

「教育」は、広い意味を持つ言葉ということでした。したがって、当然「仕事」に対しても使うことができます。

この場合は「社員教育」なので「広い意味で社内全体の人材を育てる」という意味になります。具体的には、仕事のスキルや仕事への向き合い方、社会人としての在り方など様々な要素が含まれます。

最近では、コンプライアンスが叫ばれていますが、コンプライアンスの徹底などはまさに「社員教育」と言えるでしょう。

対して、「社員研修」は、原則として新入社員にしか使いません。企業によっては中途採用の社員にも使うことがありますが、基本は新入社員に対して使われます。

そして、学ぶ内容は「仕事の進め方」「業務の手順」など技術的なものが中心となります。もちろん「人としての在り方」なども学びますが、こちらはあくまで補足的なものとして学びます。

最終的に、「社員研修」は一定期間実施した後、各部署に配属されることになります。それ以降、同じ社員にはもう実施しません。一方で、「社員教育」は、配属後も定期的に開催していくこととなります。

よって、両者は次のように定義することも可能となります。

社員研修」=未来の社員を育成すること。社員教育」=現役の社員を教え導くこと。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【教育の使い方】

  1. 学校教育の制度改革を行う。
  2. 日本の義務教育は9年間である。
  3. 教育者として今は反省しています。
  4. 噛みつかないように、犬を教育する。
  5. 教育の専門家として知られる人物。

【研修の使い方】

  1. 彼らは営業の研修を終えてから配属となります。
  2. 弊社では、一か月間のセミナー研修を設けています。
  3. 研修員として、海外へ2年間派遣されることになった。
  4. 来年からアメリカで語学研修を受けるつもりです。
  5. 部長や課長を対象に、マネジメント研修が行われた。

 

補足すると、「マネジメント研修」とは部長や課長などリーダー層の社員を対象とした研修のことです。

「マネジメント」とは「管理」、つまり「部下をうまく管理するためのスキルを学ぶ」という意味です。主に、業績アップや社風改善などを目的として外部の業者に委託して行われることが多いです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

教育」=知識や技能・人間性などを伸ばそうと、相手に働きかけること。

研修」=一定期間、職務上の知識や技能を高めるために勉強・実習すること。

社員教育」=人事部などが継続的に社員を教育すること。

社員研修」⇒新入社員などが一定期間スキルを学ぶこと。

違い」⇒「教育」は教える側が主体で期間を限定しない。「研修」は学ぶ側が主体で期間が限定される。

「教育」は広い意味で相手を教え導くことです。対して、「研修」は教育よりも狭い意味で相手から学ぶことです。ぜひ両者の違いを理解して頂ければと思います。