形容詞 形容動詞 違い 見分け方 簡単に 問題は

「形容詞」と「形容動詞」は、どちらも文法を学ぶ上でとても重要です。特に受験国語の勉強内容としては必須だと思います。

ただ、この二つの使い分けが分かりにくいと感じる人は多いと思われます。そこで今回は、「形容詞」と「形容動詞」の違いや見分け方、活用などをわかりやすく解説しました。

形容詞・形容動詞とは?

 

最初に、おおまかな意味から説明していきます。

形容詞」と「形容動詞」は、どちらも「人や物事の性質・状態を表す単語」です。

簡単な例を出しましょう。

  • 「動詞」⇒花が咲く
  • 「形容詞」⇒花が美しい
  • 「形容動詞」⇒花がきれいだ
  • 「形容動詞」⇒花がきれいです

上の例だと、動詞「咲く」は花の動作を表しています。

一方で、形容詞「美しい」や形容動詞「きれいだ」「きれいです」は、花の性質や状態を表しています。

つまり、「形容詞」や「形容動詞」は「どうするか」ではなく「どんなであるか」を表した単語ということになります。

では、おおまかな意味が分かったところで、両者の共通点を確認していきます。

以下の4つが、「形容詞」と「形容動詞」の共通点です。

  1. 性質・状態を表す。
  2. 自立語で活用する。
  3. 単独で述語や修飾語になれる。
  4. 主語になることもある。

「自立語」や「活用」「修飾語」などの意味は、以下の記事を参照してください。

まず、「形容詞」と「形容動詞」はどちらも自立語なため、それだけで「述語」や「修飾語」になることができます。

  • 空が美しい。(述語)
  • 父はまじめだ。(述語)
  • 激しい雨が降る。(修飾語)
  • にぎやかな町に来る。(修飾語)

また、「主語」になれるのも特徴です。

  • やさしいのが、彼の良さだ。
  • 親切なのが、彼女の良さだ。

そして、どちらも活用があるのが特徴です。ただ、この活用の仕方はそれぞれ異なるので注意が必要です。

形容詞と形容動詞の活用

 

ではそれぞれの活用についてです。ここからの説明は、「形容詞」と「形容動詞」の違いも入ってきます。

まず、「形容詞」は、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の5つに活用し、命令形には活用しません。

そして、「活用の種類」は「かろ・かっ・く・い・い・けれ」の1種類です。

【形容詞の活用の種類】

未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
(例)美しい-かろ-かっ
-く
-い-い-けれ×
主な後ろの語
ない
とき
こと
×

「形容詞」は活用の種類が1種類しかありません。したがって、「かろ・かっ・く・い・い・けれ」を丸暗記してしまうのが一番よいでしょう。

「活用の種類って何?」という人は、以下の記事を参照して下さい。

続いて、「形容動詞」です。「形容動詞」は「」で終わる場合、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の5つに活用し、命令形には活用しません。

【形容動詞の活用の種類】

「だ」で終わる場合未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
(例)きれいだーだろーだっ
ーで
ーに
ーだーなーなら×
主な後ろの語
ない
とき
こと
×

「活用の種類」は、「だろ・(だっ・で・に)・だ・な・なら」がまず1つ挙げられます。

ただし、「です」で終わる場合は、未然形・連用形・終止形・連体形の4つに活用し、仮定形・命令形には活用しません。

「です」で終わる場合未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
きれいですーでしょーでしーですーです××
主な後ろの語ので
のに
××

この場合の活用の種類は、「でしょ・でし・です・です」となります。

この事から、「形容動詞」の活用の種類は2種類である事が分かるかと思います。つまり、「だ」で終わる場合と「です」で終わる場合の二種類ということです。

「形容動詞」の場合も次のように丸暗記してしまうのがおすすめです。

  • だろ・(だっ・で・に)・だ・な・なら
  • でしょ・でし・です・です

一般的には「だ」で終わる方がよく出題されるため、先に「だ」の方の「活用の種類」を覚えておくのがよいでしょう。

形容詞と形容動詞の見分け方

 

「形容詞」と「形容動詞」の見分け方は非常に簡単です。

「言い切りの形」が、「」で終われば「形容詞」、「」「です」で終われば「形容動詞」と判断するのが最も分かりやすいです。

「言い切りの形」とは「終止形(基本の形)」のことです。例えば、以下のような文があったとしましょう。

  • 体が大きくなる。
  • 体が大きければいい。

この場合、下線部分を言い切りの形にすると、

「大きく」⇒「大き

「大きけれ」⇒「大き

となります。

すると、後ろが「」で終わっているので「形容詞」と判断できるわけです。

同じく、以下の文も「言い切りの形」にしてみます。

  • さわやかな風が吹く。
  • 風がさわやかに吹く。

「さわやかな」⇒「さわやか

「さわやかに」⇒「さわやか

どちらも後ろが、「」で終わっています。もしも後ろを「い」にすると、「さわやかい」となり、おかしな単語になってしまいます。

よって、この場合は「形容動詞」と判断できるわけです。

ここで注意すべきことは、後ろが「だ」だからと言って、必ず「形容動詞」になるとは限らないということです。

例えば、「もうすぐ夏。」のような文があったとします。

上の文は、「夏(名詞)」+「だ(助動詞)」の2つで構成されています。

つまり、「形容動詞」の一部としての「だ」ではなく、助動詞としての「だ」が来る場合もあるということです。

これはよくある引っかけなので、注意する必要があります。

問題で確認

 

では、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。以下に、問題を用意しました。

問題1

①「形容詞」は、人や物事の性質や〔(ア)動作(イ)状態 〕を表す単語である。

②「形容詞」は、言い切りの形が〔(ア)だ(イ)い(ウ)る(エ)す〕で終わる。

③「形容動詞」は、言い切りの形が〔(ア)だ(イ)い(ウ)ん(エ)す〕で終わる。

④「形容詞」の活用形には、〔(ア)未然形(イ)連用形(ウ)仮定形(エ)命令形 〕がない。

解答

①⇒(イ)②⇒(イ)③⇒(ア)④⇒(エ)

「形容詞」は、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の5つに活用するので、命令形には活用しません。

問題2

次のうち、「形容詞」はどれか?

①(ア)走る(イ)楽しい(ウ)静かだ(エ)急に

②(ア)続いている(イ)苦しかったら(ウ)話せば(エ)きれいに使う

③(ア)簡単な問題だ。(イ)素直なひとだ。 (ウ)丈夫に育つ。(エ)暗くて怖い。

解答

①⇒(イ)②⇒(イ)③⇒(エ)

「形容詞」は、言い切りの形が「」で終わるということでした。

それぞれを言い切りの形にすると、以下のようになります。

①(ア)走る(イ)楽し(ウ)静かだ(エ)急だ

②(ア)続く(イ)苦し(ウ)話す(エ)きれいだ

③(ア)簡単だ(イ)素直だ(ウ)丈夫だ(エ)暗

問題3

次のうち、「形容動詞」はどれか?

①(ア)かわいく(イ)固く(ウ)笑う(エ)元気な

②(ア)嫌な人と出会う。(イ)赤い花を見つける。(ウ)小さくまとまる。(エ)長くとどまる。

③(ア)よい天気だ。(イ)つまらなければ、却下だ。(ウ)6時で終了だ。(エ)水がきれいである。

解答

①⇒(エ)②⇒(ア)③⇒(エ)

「形容動詞」は、言い切りの形が「」や「です」で終わります。「言い切りの形」は、以下の通りです。

①(ア)かわいい(イ)固い(ウ)笑う(エ)元気

②(ア)嫌(イ)赤い(ウ)小さい(エ)長い

③(ア)⇒名詞+助動詞(イ)つまらない(ウ)⇒名詞+助動詞(エ)きれい

問題4

次の下線部の「活用形」と「品詞」を答えなさい。

①馬肉は新鮮ならば、生でも食べられる。 

正直な人は、好感度が高い。

③外はもうすっかり明るかった。

好きになれば、結果は出やすい。

解答

①⇒仮定形・形容動詞(新鮮だ)②⇒連体形・形容動詞(正直だ)③⇒連用形・形容詞(明るい)④⇒連用形・形容動詞(好きだ)

「形容詞」は「かろ・かっ・く・い・い・けれ」、「形容動詞」は「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」でした。

①=「なら」②=「な」③=「かっ」④=「に」。後ろの部分を覚えておけばすぐに解ける問題でしょう。

問題5

次の傍線部の空欄を当てはめて、さらに「活用形」も答えなさい。

①山の頂上は穏やか(  )風景だった。 

②絵が美し(  )ば、足を運ぼう。

③家具の位置が少し変(  )た。

④夜遅いので、眠(  )なってきた。

⑤失敗したら、みじめ(  )う。

解答

①⇒な・連体形②⇒けれ・仮定形③⇒だっ・連用形④⇒く・連用形⑤⇒だろ・未然形

※①③⑤は「形容動詞」、②④は「形容詞」となります。

まとめ

 

今回は、「形容詞」と「形容動詞」について解説しました。最後に、両者の違いを改めて確認しておきましょう。

形容詞形容動詞
言い切りの形「い」「だ」「です」
活用形5つ(命令形以外)5つ(命令形以外)
※「です」の時は4つ
活用の種類1種類2種類