粉骨砕身 意味 使い方 由来 類語 例文

「粉骨砕身」という四字熟語をご存知でしょうか?中国の故事にありそうな言葉ですが、私たちの生活やビジネスでもよく使われています。

特に会社員の人が転職する際には便利な言葉です。そのため、言葉遊びにならないように正しい使い方を覚えるべきだと言えます。

本記事では、「粉骨砕身」の意味や由来、例文・類義語などを詳しく解説しました。

粉骨砕身の意味・読み方

 

最初に、基本的な意味と読み方を紹介します。

【粉骨砕身(ふんこつさいしん)】

力の限り努力すること。一生懸命働くこと。

出典:三省堂 大辞林

粉骨砕身」は、「ふんこつさいしん」と読みます。意味は「力の限り努力すること・一生懸命働くこと」です。

主にビジネスシーンで使われることが多く、会社に対して自身が決意表明をするような際に使われます。

例えば、あなたが会社の面接を受けていたとして、「絶対に御社で働きたい」という意思を相手に伝えたいとします。この場合、「頑張ります」「やる気はあります」などの言い方だとどこか物足りません。

そこで例えば、「粉骨砕身して、御社のために尽くすつもりです」などと言います。このように言うことで、「会社の利益や発展のために全力で頑張ること」を力強く相手へ伝えられるということです。

「粉骨砕身」は、基本的に何かのために力の限り努力するような場合に使います。ビジネスに限らず、受験や資格取得などの勉学に対しても使うことができる四字熟語です。

なお、「粉骨砕身」を「粉骨砕心」「粉骨細心」などと書くのは誤りです。

「砕心」⇒× 「細心」⇒× 砕身」⇒

これはよくある書き間違いなので気をつけてください。

粉骨砕身の語源・由来

 

「粉骨砕身」は、「粉骨」と「砕身」から成る四字熟語です。

まず、「粉骨」とは文字通り「骨を粉にすること」を表します。そして、「砕身」とは「身を砕(くだ)く」と書くので、「肉体を砕くこと」を表します。

つまり、「肉体を砕くだけでなく、骨まで粉にしてしまうほど頑張る」ということです。実際に肉体や骨を粉にしてしまうということではなく、それくらい必死を尽くして頑張るという意味を表したものとなります。

「粉骨砕身」は、中国の「禅林類纂(ぜんりんるいさん)」という書物が由来です。「禅林類纂」の一節に、次のような記述があります。

粉骨砕身するも、此(こ)の徳に報い難し」

簡単に訳すと、「たとえ骨を削り身を砕くほど頑張っても、仏のありがたい恩に報いるのは難しい」となります。

「仏」とは「仏様」を指し、「徳」とは「人の役に立つこと」を意味します。要するに、「人のために努力して頑張ることは、それだけ難しくて尊い」と言っているわけです。

元々、「粉骨砕身」は仏教の用語でした。仏教では、世のため人のために頑張ることが美徳とされています。「人のために尽くせば、幸せにあの世へ行ける」という考えは誰もが聞いたことがあるかと思います。

自分のためではなく、他人のために努力する

ここから派生して、現在では「仕事や義務に対して頑張る」という意味で使われているのです。

粉骨砕身の類義語

粉骨砕身 類義語 言い換え 対義語

続いて、「粉骨砕身」の「類義語」を紹介します。

砕骨粉身(さいこつふんしん)】⇒骨を砕いて身を粉にするほど頑張ること。※「砕」と「粉」を入れ替えた四字熟語。(同義語)
全身全霊(ぜんしんぜんれい)】⇒その人の体力と精神力のすべて。「全身」は「肉体の全て」、「全霊」は「精神の全て」という意味。
彫心鏤骨(ちょうしんるこつ)】⇒心に彫りつけ、骨に刻み込むほど頑張ること。
刻苦精励(こっくせいれい)】⇒自らを苦しめるほど、努力して励むこと。
粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)】⇒細かな努力を積み重ねて努力すること。※「粒々」とは農民が苦労して育てた作物のこと。
尽力する(じんりょくする)】⇒目的を達成するために、力を尽くすこと。
精進する(しょうじんする】⇒一生懸命努力すること。一つの事に集中して励むこと。
身を粉にする(みをこにする)】⇒「労力を惜しまず必死に仕事をする」という意味の慣用句。※身を「こな」にしてではなく、身を「こ」にしてと読む。

以上が主な類語となります。基本的には「努力する・頑張る」といった意味の言葉が多いです。この中でも「全身全霊」はよく使われる四字熟語なので覚えておいた方がよいでしょう。

「粉骨砕身」と「全身全霊」は同じような意味ですが、「頑張る」という意味が含まれるかどうかがわずかな違いだと言えます。

「粉骨砕身」は「頑張る」という意味も含んだ言葉です。一方で、「全身全霊」は「頑張る」という意味までは含まれていません。したがって、例えば「全身全霊で頑張る」とは言いますが、「粉骨砕身で頑張る」は重複表現なので誤りということになります。

粉骨砕身の対義語

 

逆に、「対義語」としては次の2つが挙げられます。

遊惰放逸(ゆうだほういつ)】⇒仕事もせず、ぶらぶらしていること。
放縦懶惰(ほうしょうらんだ)】⇒勝手気ままにふるまい、仕事もせず遊びふけること。

こちらは主に「仕事をしてなかったり遊んでいたり」といった意味の四字熟語です。反対語なので、「仕事を頑張らない様子」を表した言葉となります。

粉骨砕身の英語訳

 

「粉骨砕身」は、「英語」だと次の3つの言い方があります。

  • do one’s best」(最善を尽くす)
  • do the best I can 」(できる限りのことをやる)
  • devote myself to~」(~へ身を捧げる)

「best」には、「最善・最良」などの意味があります。したがって、「自分のできることをやる」「相手へ全てを捧げる」といった訳になります。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

I will do my best.(私は最善を尽くすつもりです。)

I will do the best that I possibly can do.(できる限りのことをやるつもりです。)

She will devote herself to you.(彼女はあなたへ全てを捧げるつもりです。)

粉骨砕身の使い方・例文

 

最後に、「粉骨砕身」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 粉骨砕身の気持ちで、御社に貢献するつもりでいます。
  2. 会社再建のために、来年は粉骨砕身の覚悟で働くつもりです。
  3. 彼の粉骨砕身の働きぶりが、ついに上司から認められたようだ。
  4. 医者や政治家などの職業は、粉骨砕身の精神が必要である。
  5. 今回の企画は、粉骨砕身の覚悟で望むつもりでいます。
  6. 新しい気持ち、新しい思いで粉骨砕身する覚悟でいます。

 

「粉骨砕身」は、すでに説明したようにビジネスで使うことが多い四字熟語だと言えます。ビジネスでは、当然のごとく与えられた仕事や職務について責任が発生します。

そんな時に「全力を尽くす」「必死で取り組む」といった意味で「粉骨砕身」を使えば、相手に対して「やる気や覚悟がある人」という印象を与えることができます。そのため、この四字熟語は企業の面接などで使う言葉としては非常に便利なのです。

これから就職や転職を控えている人は、ぜひ「粉骨砕身」を使うことを検討してみてください。ただ、「粉骨砕身」はその人の覚悟を表した言葉でもあるので、安易な場面では使わないということも同時に頭に入れておく必要があります。

本記事のまとめ

 

以上、本記事のまとめです。

「粉骨砕身」=力の限り努力すること。一生懸命働くこと。

語源」=「にし、く」ほど頑張ることから。

由来」=「人のために努力して頑張ることは、難しくて尊いこと」から。

類義語」=「砕骨粉身・全身全霊・彫心鏤骨・刻苦精励・粒粒辛苦」

対義語」=「放縦懶惰・遊惰放逸」

英語訳」=「do one’s best」「do the best I can 」「devote myself to~」

「粉骨砕身」は非常に良い意味として使える四字熟語です。しかし、大事なのは言葉だけでなくどのように行動に移せるかでしょう。実際に行動へ移すことも考えた上で「粉骨砕身」を使うのが本来のあり方だと言えます。