ビジネスやスポーツによく使われる四字熟語があります。
「万里一空の精神」
「万里一空の心境」
一般的には、このように言いますね。
実は「万里一空」を「座右の銘」と
している有名人は意外と多いのです。
スポーツ選手だと、元ジャイアンツの
桑田真澄さんなどが有名ですね。
この記事では、
「万里一空」の意味や使い方・由来・類語
などを解説していきたいと思います。
では、さっそく見ていきましょう。
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万里一空の意味・読み方
まずは、基本的な意味と読み方です。
【万里一空(ばんりいっくう)】
⇒どこまでも同じ一つの目標を見据え、たゆまず努力を続けるという心構え。
出典:実用日本語表現辞典
「万里一空」とは、
「目標を見失わずに、たゆまず努力を続ける心」という意味です。
例えば、以下のように使います。
万里一空の精神で、東大合格を目指す覚悟です。
この場合は、
「東大合格という目標を見失わず、何が何でも努力し続ける」
ということですね。
具体的には、
- 1日12時間以上勉強する
- ゲームなどの娯楽を断つ
- 他の大学には目もくれない
といったイメージです。
「万里一空」とはこのように、
目標に対してまっすぐ突き進むことを宣言するような時
に使う言葉だと思ってください。
言い換えれば、
「本人の決意表明を表した言葉」とも言えるでしょう。
万里一空の語源・由来
「万里一空」は、
「万里」と「一空」が合わさってできた言葉です。
まず、「万里」とは
「世界」という意味だと思ってください。
古代中国において、「里」は
約300歩ほどの距離を表す単位として使われていました。
ここから、
「万里」⇒「途方もない距離」⇒「大きく広がる世界」
という意味に派生していったわけです。
そして、
「一空」とは「一つ空の下」を意味します。
これは文字通りなので分かりやすいですね。
以上、両者を合わせると
「万里一空」は「世界の全ては一つ空の下にある」という
非常に大きな見方を表した言葉ということが分かるかと思います。
では、この言葉はいつ登場したかというと、
宮本武蔵の『五輪書(ごりんのしょ)』が最初だと言われています。
「五輪書」の一節に、次のような記述があります。
「山水三千世界を万里一空に入れ、満天地ともまとめる」
簡単に訳すと、
「世界はどこまで行っても同じ空の一つであり、
全てのものは同じ世界にある。」
となります。
ものすごく広大な考え方ですね。
このように世界を大きくとらえることができれば、
冷静な気持ちで物事にのぞめるでしょう。
つまり、「万里一空」の元々の使い方は、
「動揺せずに冷静に考える」という心の持ち様を表していたわけですね。
ここから転じて、
「一つの目標を見失わずに努力する」
という現在の意味で使うようになったのです。
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万里一空の類語
続いて、「万里一空」の
「類語」を紹介します。
【雲外蒼天(うんがいそうてん)】
⇒努力して試練を乗り越えれば、きれいな青空が望めること。
「雲」を「人生の障害」
「青空」を「目標」に例えた四字熟語。
【勇往邁進(ゆうおうまいしん)】
⇒目的・目標に向かって、ひたすら努力すること。
「勇往」は「勇気を出して、行く」
「邁進」は「元気よく、前進する」という意味。
【一路邁進(いちろまいしん)】
⇒目的を達成するために、ひたすら進むこと。
「一路」とは、「一つの道」という意味。
【一心不乱(いっしんふらん)】
⇒一つの事に心を集中して、打ち込むさま。
4つ類語を紹介しました。
共通しているのは、
「目的や目標に対して努力する」ということですね。
「何かに対してひたむきに努力する様子」であれば、
基本的に「類語」と呼べます。
四字熟語以外だと、
「懸命に・一途に・ひたすらに」
などの言葉が分かりやすいのではないでしょうか。
万里一空の英語訳
続いて、「英語訳」です。
「万里一空」は、「英語」だと次のような言い方があります。
①「exist under the sky」
②「promote towards one goal」
①の「exist」は「存在する」、
「under the sky」は「空の下」と言う意味です。
合わせることで、
「一つ空の下に存在する」と訳すことができます。
また、②の「promote」は「促進する・努める」、
「towards」は「~に向かって」「goal」は「目標」という意味です。
よって、「一つの目標に向かって努力する」と訳すことができます。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
The world is exist under the sky.(世界は一つ空の下に存在する。)
I will promote towards my goal.(私は目標に向かって努めるつもりです。)
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万里一空の使い方・例文
では、最後に「万里一空」の使い方を
例文で確認しておきましょう。
- 万里一空の精神で、日々努力していくつもりです。
- 万里一空の心境で、毎日勉強を続けます。
- 彼女は座右の銘として、万里一空をかかげている。
- 万里一空の精神を持ち、御社で頑張るつもりです。
- 彼は、万里一空の境地とはほど遠い意志の弱さだ。
- 今年の抱負として、万里一空を掲げました。
「万里一空」は、その人の決意を表明した言葉です。
なので、受験やビジネスなど
何かに挑戦するような場面としては
最適な四字熟語と言えるでしょう。
また、新年の抱負やスローガンなどを
発表する時にも使える言葉ですね。
ちなみに、後ろにつく言葉は
「万里一空の精神」「万里一空の境地」などが多いです。
※「境地(きょうち)」とは、
「ある段階に達した時の心の状態」だと思ってください。
まとめ
以上、内容を簡単にまとめると、
「万里一空」=目標を見失わずに、たゆまず努力を続ける心。
「語源・由来」=「世界の全ては一つ空の下にある」という大きな見方から。(宮本武蔵の『五輪書』)
「類語」=「雲外蒼天・勇往邁進・一路邁進・一心不乱」など。
「英語」=「exist under the sky」「promote towards one goal」
ということでした。
長い人生で目標を定めることはたくさんあると思います。
そんな時は、「万里一空」の精神で
挑んでみてはいかがでしょうか?
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国語力アップ.com管理人
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