中学国語の文法で「副詞」について学びます。この「副詞」ですが、種類が多いため分かりにくいと感じる人も多いと思われます。
そこで今回は、「副詞」の意味や覚え方、見分け方などをなるべく簡単に解説しました。
副詞の意味
「副詞」とは「他の語を修飾する語」のことを表します。「修飾」とは簡単に言うと「詳しく説明すること」です。
分かりやすい例を出しましょう。
- 勉強がやっと終わる。
- 家からかなり遠い。
- ずいぶん寒い日だ。
上の赤字の部分は、それぞれ後ろの語を詳しく説明しています。
- 「やっと」⇒「終わる」
- 「かなり」⇒「遠い」
- 「ずいぶん」⇒「寒い」
このように、他の語を修飾(詳しく説明)する語のことを「副詞」と言うのです。
「副」という字は、「副将」「副業」などがあるように「中心を助ける」という意味があります。つまり、「メインに対する補助的な役割」ということです。
したがって、もしも「副詞」がなくても文としては一応成立します。ところが、単に「勉強が終わる」などの言い方だと何となく味気ない言い方になってしまいます。
そこで例文のように、「やっと終わる」と言うことで、「勉強がすごく大変だったこと」を相手に伝えることができるのです。
このように、「副詞」の本来の目的は「文に対して補助的な役割を付け加えること」だと考えて下さい。
副詞の種類
「副詞」は、全部で3つの種類に分かれます。
①「状態の副詞」
「状態の副詞」⇒主に動詞を修飾し、どのような状態・様子かを表す。
【例】
- 相手にはっきり言う。
- 準備してすぐに動く。
「状態の副詞」は、後ろに動詞が来るのが特徴だと言えます。「状態」とは「どんな・どのような」という意味で考えればよいです。
ここで気をつけるのは、「擬態語(ぎたいご)」や「擬声語(ぎせいご)」も状態の副詞に含まれるということです。
「擬態語」とは「そよそよ・ゆらゆら・のろのろ」など、物事の様子を感覚的に表した語です。また、「擬声語」とは「カーカー・ワンワン・ギシギシ」など、物や生き物の音声を表した語です。
このように、「状態の副詞」の中には、ものの声や音をまねたりその様子を言い表したりする語も含まれることになります。
②「程度の副詞」
「程度の副詞」⇒主に用言を修飾し、物事の程度を表す。
※「用言」とは「動詞・形容詞・形容動詞」のことを指す。
【例】
- 君よりずっと高い身長です。(形容詞を修飾)
- かなり静かな性格だ。(形容動詞を修飾)
- 今朝はすごく冷える。(動詞を修飾)
「程度の副詞」は、物事がどれくらいかという程度を表します。
主に用言を修飾しますが、場合によっては「名詞」や「副詞」「連体詞」を修飾することもあります。
- ずいぶん昔、見たことがある。(名詞を修飾)
- かなり大きな家だ。(連体詞を修飾)
③「呼応の副詞」
「呼応(こおう)の副詞」⇒下に受ける言葉が決まった言い方になる。
「呼応」とは「呼びかけに対して応じる」、すなわち「一定の決まったパターンになる」という意味です。
「呼応の副詞」は、次の5つがよく使われます。
【疑問の表現】
- なぜ決定したのか。
- どうして頭がいいのか。
「なぜ」「どうして」の後は、「か」という語が来ることが決まっています。
【否定の表現】
- ちっとも先が見えない。
- まったくうれしくない。
「ちっとも」や「まったく」の後は、「否定」の「ない」がくることが決まっています。
【仮定の表現】
- もし雨ならば中止です。
- もし失敗したら負けだ。
「もし」の後は、「ば」や「たら」などがきます。
【推量の表現】
- たぶんできるだろう。
- おそらく勝つだろう。
「たぶん」や「おそらく」は、語尾に「~だろう」がきます。
【比喩(ひゆ)の表現】
- まるで天使のようだ。
- ちょうどりんごのようだ。
「まるで」の後は、語尾に「~ようだ」が来ます。
このように、特定の決まった言い方を要求する語を「呼応の副詞」と言うわけです。
別の言い方だと、「陳述(ちんじゅつ)の副詞」もしくは「叙述(じょじゅつ)の副詞」とも言います。
副詞の覚え方
「副詞」の主な特徴として、次の4つが挙げられます。
- 自立語で活用しない。
- 主に連用修飾語になる。
- 名詞や他の副詞を修飾することもある。
- ひらがなが多い。
「自立語」とは「それだけで意味が分かる語」を指し、「活用」とは「単語の後ろが変化すること」を表します。
また、「連用修飾語」とは「用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する語」を指します。
「副詞」の覚え方としては、②の「主に連用修飾語になる」という特徴が一番分かりやすいです。
よって、まず用言を先に探すことが「副詞」を見つけ出す近道となります。
例えば、以下のような文があったとします。
- みんなが教室でずっと話す。
- 今年の冬はだいぶ暖かい。
この場合、「話す(動詞)」と「暖かい(形容詞)」が「用言」です。
したがって、「この2つの語を詳しく説明しているものが副詞では?」とある程度予想することができます。
すると、直前にある「ずっと」と「だいぶ」はどちらもひらがなです。また、両方とも活用しません。よって、「ずっと」と「だいぶ」が「副詞」と分かるわけです。
このように逆算の思考で「用言」を見つけ出せれば、どれが「副詞」かはすぐに分かるでしょう。
ただし、場合によっては「副詞」は「名詞」や「他の副詞」を修飾することもあります。
例えば、以下の文は名詞を修飾した「副詞」が含まれています。
- それは、つい最近のことです。
- もっとこちらへ来てください。
この場合、「つい」という副詞が後ろの「最近」という名詞を修飾しています。同じく、「もっと」という副詞が後ろの「こちら」という名詞を修飾しています。
副詞は主に単独で連用修飾語になりますが、「程度の副詞」は単独で体言を修飾したり(連体修飾語になったり)、他の副詞を修飾したりします。
修飾する体言分節は、「場所・方向・数量・時間」などを表す場合が多いです。上の例文の「つい」は「時間」、「もっと」は「方向」を表したものです。
名詞や他の副詞を修飾するというのは、「程度の副詞」だけの特徴です。「状態の副詞」や「呼応の副詞」に含まれる特徴ではありません。
練習問題
では、今までの内容を理解できたか問題で確認しておきましょう。
①「副詞」は、主に【(ア)体言(イ)用言】を修飾する。
②「副詞」は、【(ア)自立語(イ)付属語】で、【(ア)活用する(イ)活用しない。】
③「副詞」は物事の【(ア)名前(イ)状態】や【(ウ)動作(エ)程度】を表す。
①⇒(イ)②⇒(ア)・(イ)③⇒(イ)・(エ)
①次の下線部の内、「副詞」はどれか?
(ア)きれいな景色が広がる
(イ)息子が元気に走る。
(ウ)彼は昔よりも若くなった。
(エ)青空に山々がくっきり見える。
②次の傍線部の内、副詞でないものはどれか?
(ア)ずいぶん古い建物だね。
(イ)まるで雪のような肌だ。
(ウ)もっと彼の話を聞きなさい。
(エ)だから僕は言ったんだ。
①⇒(エ)(程度の副詞)
(エ)は「活用しない」のがポイントです。他の選択肢は「きれいだ」「元気だ」「若い」などのように活用することができます。
②⇒(エ)
(ア)=「程度の副詞」(イ)=「呼応の副詞」(ウ)=「程度の副詞」(エ)=「接続詞」
次の下線部の「副詞」の種類を答えなさい。
①じっくりと課題に取り組む。
②やや遅れる。
③おそらく彼は遅れるだろう。
④もっと右に寄りなさい。
⑤犬がワンワン吠える。
⑥決して自分が悪いと思わない。
⑦これはかなり昔の話です。
①⇒状態の副詞 ②⇒程度の副詞 ③⇒呼応の副詞 ④⇒程度の副詞 ⑤⇒状態の副詞 ⑥⇒呼応の副詞 ⑦⇒程度の副詞
⑤は「擬声語」を表す「状態の副詞」です。⑥の「決して」は後に「~ない」が来るので「呼応の副詞(否定)」です。
次の文中から副詞を抜き出して、その種類も答えなさい。
①なぜうまく行かないのか。
②生き残ったのは、わずか2人だった。
③ゆらゆら旗が動いていた。
④彼はいっそう重大な危機に直面した。
⑤後ろのランナーをかなり引き離す。
⑥いきなり誰かに話しかけられた。
⑦今度の誕生会はぜひおいでください。
①「なぜ」 =「呼応の副詞」
②「わずか」 =「程度の副詞」
③「ゆらゆら」=「状態の副詞」
④「いっそう」=「程度の副詞」
⑤「かなり」 =「程度の副詞」
⑥「いきなり」=「状態の副詞」
⑦「ぜひ」 =「呼応の副詞」
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「副詞」=他の語を修飾する語。
【種類】⇒①「状態の副詞」=主に動詞を修飾し、どのような状態かを表す。②「程度の副詞」=主に用言を修飾し、物事の程度を表す。③「呼応の副詞」=下に受ける言葉が決まった言い方になる。
【特徴】⇒①自立語で活用しない。②主に連用修飾語になる。③名詞や他の副詞を修飾することもある。④ひらがなが多い。
「副詞」は主に単独で「連用修飾語」になります。しかし、「程度の副詞」に関しては単独で「連体修飾語」になったり、他の副詞を修飾したりします。この事もできれば頭にいれておきましょう。