この記事の読了時間: 710

永劫回帰 意味とは 簡単に わかりやすく

 

ニーチェの「永劫回帰」という言葉があります。

ニーチェと言えば、哲学者というイメージですね。

ただ、哲学と聞くと何となく
難しく感じる人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、「永劫回帰」という四字熟語を
誰にでも理解できるように分かりやすく解説しました。

さっそく、確認していきましょう。

永劫回帰の意味

 

まず、この言葉の意味を辞書で引くと、
次のように書かれています。

【永劫回帰(えいごうかいき)】

宇宙は永遠に循環運動を繰り返すものであるから、人間は今の一瞬一瞬を大切に生きるべきであるとする思想。生の絶対的肯定を説くニーチェ哲学の根本思想。▽ドイツ語ewigewiederkunftの訳語。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

永劫回帰」とは、簡単に言うと
宇宙の全て(世の中のすべて)は、同じことの繰り返しである
という考え方のことです。

後に詳しく説明しますが、多くは肯定的な意味で使うと考えて下さい。

 

永劫回帰で最も分かりやすい例が、「目標設定」です。

私たちは、何かを達成するために必ず目標を設定しますよね。

  • 大学に合格する
  • 月収100万円を達成する
  • 理想の結婚をする

 

この場合、「目標を達成できたパターン」と
「できなかったパターン」に分かれます。

月収100万円を例に出すと、次のような感じです。

月収100万円を目標にする⇒必死に頑張る⇒達成できた。

月収100万円を目標にする⇒必死に頑張る⇒達成できなかった。

 

この場合、「永劫回帰」は①と②のどちらも
同じことの繰り返しであるである
と言っているのです。

まず、②の方は分かりやすいですよね。

月収100万円を達成できなかったので、
それを達成するためにはまた同じ努力を繰り返さないといけません。

いつまでもいつまでも目標を達成するまでは同じことの繰り返しです。

 

一方で、①の方も月収100万円を達成できたとしても、
また次の違う目標が発生することになります。

例えば、「次は月収200万円を目指す」⇒「次は月収500万」⇒「次は月収1000万」のようにです。

つまり、何かができるようになったら、
さらに上のレベルを目指したくなるのが人間
なのです。

言い換えれば、
目標(欲望)は消えない」ということですね。

これをニーチェは、
「同じことの繰り返しである」と言ったのです。

永劫回帰はニヒリズムが由来

永劫回帰 ニヒリズム 由来 語源

 

でも、こんな考え方をしていたら
人生がとてもつまらなく感じませんか?

なぜなら、
「頑張っても頑張らなくても同じことの繰り返し」
ということになってしまうからです。

時間自体は進んでいるのに、やっていることの本質は変わらない

こう考えると、とても憂うつな気持ちになりますね。

 

実際に、この「永劫回帰」は
「ニヒリズム」というネガティブな考え方が元になっています。

ニヒリズム」とは、
真理や価値を否定する考え方のこと」です。

つまり、ニーチェは次のような流れで
「永劫回帰」に至ったわけです。

①「人生に真理や価値などない」⇒②「努力しても意味はない」⇒③「同じことの繰り返しである」

 

この結論を出してしまった時に、
ニーチェは大きな苦悩に陥ることになります。

なぜなら、
自分で自分の事を否定することになってしまったからです。

この考え方ならば、ニーチェはそもそも哲学などを
他の人に説く意味がないですからね。

 

しかし、ここからがニーチェのすごい所です。

ニーチェは、
「ニヒリズム」⇒「永劫回帰」という一連の流れを
克服することになります。

それが、
超人思想(ちょうじんしそう)」と呼ばれるものです。

超人思想」とは簡単に言うと、
自分の影響力を大きくしていけばいい」とする考え方のことです。

ニーチェは、人生に真理や価値・目的などを見出さなくてもいい、
単に「自分自身が意志を持ち、影響力を広げていけば良い」と主張しました。

これが現在、「永劫回帰」が
肯定的な意味として使われる所以なのです。

永劫回帰と輪廻転生の違い

永劫回帰 輪廻転生 違い

 

ところで、「永劫回帰」と間違えやすい言葉で、
輪廻転生(りんねてんせい)」があります。

まず、「輪廻転生」とは、
死んでもまた別のものに生まれ変わること」を意味する言葉です。

簡単に言うと、「生まれ変わり」のことですね。

 

私たちは死んだら「無」になると考えている人もいますが、
世界(特に仏教の世界)ではそうではありません。

仏教では、死んだらまた別の人間や動物に生まれ変わり、
それを繰り返すこと(輪廻)で、生物は生き死にを繰り返していると考えているのです。

よく「前世の記憶を話す人」などの話を聞きますが、
まさにあれは輪廻転生を表したものと言えますね。

 

では、「輪廻転生」と「永劫回帰」の違いはどこにあるかと言うと、
ループ(生き死にの繰り返し)を肯定的にとらえるかどうか?」です。

 

「輪廻転生」は、ループを否定的にとらえます。

なぜなら、輪廻転生の最終目標は
ループから抜け出して悩みや苦しみから解放されることだからです。

これを「解脱(げだつ)」と呼びます。

 

一方で、「永劫回帰」は
ループそのものを肯定的にとらえます。

「永劫回帰」では、
今この生が何度来ても構わない、それで良いのだと強く肯定するのです。

その理由は、肯定することにより、
自分自身の影響力が広げられると考えているからですね。

「人生は無限ループである、だったらそれでいいではないか?」

こう強く受け入れる考え方が「永劫回帰」なのです。

永劫回帰の類語

 

「永劫回帰」の類語としては、
以下のような四字熟語が挙げられます。

【未来永劫(みらいえいごう)】

無限に続く長い年月のこと。

【未来永久(みらいえいきゅう)】

長い年月にわたるさま。いつまでも。

【子々孫々(ししそんそん)】

子孫の続く限り。代々。

【万劫末代(まんごうまつだい)】

長い長い後の世。

基本的には、「永遠に月日が続く
という意味の言葉が類語となりますね。

ただし、「輪廻転生」と同様に
どれも全く同じ意味というわけではありません。

例えば、最初の「未来永劫」などは元々は仏教用語でした。

なので、西洋が語源の「永劫回帰」とは微妙に異なると考えて下さい。

永劫回帰の英語訳

 

続いて、英語訳です。

「永劫回帰」は「英語」だと2つの言い方があります。

 

eternal recurrence

eternal return

 

「eternal」は「永遠の」という意味です。

永遠の愛を誓うための
「エターナルリング」なんて指輪もありますよね。

「recurrence」は「循環」、つまり「ぐるぐる回ること」を意味します。

そして、「return」は「戻ること」という意味です。

 

例文だと、それぞれ以下のような言い方です。

History repeats due to the eternal recurrence of human life.
(人生は永劫回帰であるから、歴史は繰り返す。)

The life is eternal return.(人生は永劫回帰である。)

永劫回帰の使い方・例文

 

では、最後に「永劫回帰」の使い方を
実際の例文で確認しておきましょう。

 

  1. ニーチェは永劫回帰により、自らの思想を超越した。
  2. 生きることを肯定した言葉、それが永劫回帰である。
  3. ニヒリズム的な思想を超越し、超人思想になったのが永劫回帰だ。
  4. 人生は永劫回帰なのだから、毎日を充実させるように頑張ろう。
  5. ニーチェは、歴史には終わりも始まりもないという永劫回帰説を主張していた。
  6. 永劫回帰は、近代哲学を批判するポスト・モダンの哲学者達に大きな影響を与えた。

 

「永劫回帰」を使う例文としては、
基本は哲学に関連する場合がほとんどですね。

ニーチェやニヒリズム、ポストモダンなど
哲学的な要素が含まれる場合に使われます。

関連:>>ポストモダンとは?意味や建築もわかりやすく解説

なので、哲学をテーマにした現代文などでは
比較的よく登場する四字熟語といってよいでしょう。

 

逆に言えば、
日常的な文章で使うことはほとんどありません。

もしも日常的な文章で使う場合は、例文4.のように
毎日をポジティブに生きる」「一瞬一瞬を大事にする
といった良い意味で使うようにしましょう。

ちなみに、「永劫回帰」は「永劫回帰する」のように
動詞としては使うことはできないので注意して下さい。

関連:>>ニヒリズム(虚無主義)とは?意味をわかりやすく解説

まとめ

 

以上、今回の内容をまとめると、

永劫回帰」=宇宙の全て(世の中のすべて)は、同じことの繰り返しである、という考え方。

由来」=「ニヒリズム」を元に生まれ、「超人思想」によって現在の肯定的な意味になった。

輪廻転生との違い」=「永劫回帰」はループを肯定的に捉えるが、「輪廻転生」はループを否定的に捉える。

類語」=「未来永劫・未来永久・子々孫々・万劫末代」

英語」=「eternal recurrence」「eternal return」

ということでした。

 

「永劫回帰」はドイツの哲学者ニーチェが作った言葉です。

一見難しそうにも見えますが、詳しい意味を調べてみると、
「人生をポジティブに生きていこう」とする前向きな言葉でした。

あなたも今の生き方について考え直してみてはいかがでしょうか?

The following two tabs change content below.

国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・日本語能力検定1級など。

最新記事 by 国語力アップ.com管理人 (全て見る)