独立独歩 意味 使い方 語源 由来 類語 言い換え 英語

「独立独歩」という四字熟語をご存知でしょうか?

主に「独立独歩な人」「独立独歩の精神」などのように用います。ただ、この言葉は一体どういう意味でどんな人に使うのかといった疑問があります。

そこで本記事では、「独立独歩」の意味や語源、類語・反対語などを含め詳しく解説しました。

独立独歩の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【独立独歩(どくりつどっぽ)】

他人にたよらず、自分の信じるところに従って行動すること。他に並ぶもののないこと。

出典:小学館 大辞泉

独立独歩」は「どくりつどっぽ」と読みます。「独歩」は「どくほ」と読みがちですが、正しい読み方は、「どっぽ」です。「どくりつどくほ」とは読まないので注意してください。

意味としては、「他人に頼らずに、自分の信じる所に従って行動すること」です。

例えば、会社員が自らの意思で会社を辞め、起業をすることにしたとします。起業をするには、当然周りの力に頼らずに自分の信念に基づいて行動しなければいけません。

このような人は、他人に頼らずに自分の信じた考えによって行動しています。よって、「独立独歩の精神がある」などと言うわけです。

つまり、「独立独歩」とは自分だけの考えに基づき、自力で行動する精神を表す四字熟語ということになります。言い換えれば、「周りの人に頼らない」ということです。

独立独歩の語源・由来

 

「独立独歩」は、「独立」と「独歩」の二語から成ります。

まず、「独立」は「独(ひと)りでつ」と書くので「他のものから離れて別になっていること」を表す言葉です。

そして「独歩」は「(ひと)りでく」と書くので、「独りだけ他の人よりも前を歩く様子」を意味します。転じて、「独歩」は「他より優れていること」という意味で使うこともあります。

以上、両者を合わせることで「他人に頼らず、自分を信じて行動する」という意味になるわけです。

なお、「独歩」の方は中国の書物の中から取られた言葉です。宋代の禅僧である「無門慧開」(むもんえいかい)は、『無門関』(むもんせき)の中で次のように述べています。

「大道無門、千差路(みち)有り。此の関を透得(とうとく)せば、乾坤(けんこん)に独歩せん。」

これは「悟りに到る道には出入り口はなく、人それぞれ多くの道がある。努力して難所を超えれば、何にも縛られずにこの世界で自由に歩くことができる。」という意味の文です。

難しい言葉が続きますが、要するに「自分だけの道を探し、苦労を乗り越えれば、自分のペースで自由に歩くことができる」という内容です。

これが「独歩」の正式な「由来」となります。意外かもしれませんが、「独立独歩」は中国の禅宗の考えから来た言葉ということです。

独立独歩の類義語

独立独歩 類語 対義語

続いて、「独立独歩」の「類義語」を紹介します。

独立独行(どくりつどっこう)】⇒他人に頼らず、自分の信念で行動すること。「独行」とは「1人で行動すること」という意味。
自主独往(じしゅどくおう)】⇒他からの干渉に左右されず、自分の信ずる道を行くこと。「自主」は「他人の干渉を受けず、自分の判断で行動すること」、「独往」は「自分の信じる道を一筋に進むこと」。
独立不羈(どくりつふき)】⇒何の制約も受けず、自分の考えに従って物事を行うこと。「不羈(ふき)」は「自由奔放で束縛されない様子」を表す。
赤手空拳(せきしゅくうけん)】⇒何の武器も持たずに立ち向かうこと。助けを何も借りずに独力で物事を行うこと。「赤手」と「空拳」は、どちらも「手に何も持たない様子・素手」という意味。

以上、4つの言い換えを紹介しました。基本的には、「誰にも頼らず、自力で行動する」という意味の言葉が類義語となります。

中でも「独立独行」はほぼ同じ意味なので、「独立独歩」の「同義語」と言ってもよいでしょう。

独立独歩の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。

付和雷同(ふわらいどう)】⇒自分にしっかりした考えがなく、他人の意見にすぐ同調すること。「付和」と「雷同」はどちらも「自分の意見がなく、すぐに他の人に従うこと」を表す。
唯々諾々(いいだくだく)】⇒物事のよしあしにかかわらず、人の言葉に「はいはい」と何でも従うさま。「唯」は「はい」という「返事」や「応答」、「諾」は「かしこまりました」という「引き受け」の意味を表す。

「対義語」は他人の意見にすぐ同調したり従ったりする様子を表した言葉となります。自分の意見を持たない人は、他の人から独立できていません。そのため、「独立独歩」の反対語はとても消極的なイメージを表したものとなります。

独立独歩の英語訳

 

「独立独歩」は、「英語」だと次のように言います。

self-reliance(独立独歩)」

「self」は「自分自身・自己」、「reliance」は「信頼・よりどころ」という意味です。両者を合わせることで、「自分自身をよりどころにする」⇒「独立独歩」と訳すことができます。

「self」の後ろには、「-」(ハイフン)を付けるようにします。そうすることで、「self-reliance」が「一つの言葉」だということが分かりやすくなります。

例文だと、次のような言い方です。

My goal is develop a spirit of self-reliance.(私の目標は独立独歩の精神を育てることです。)

独立独歩の使い方・例文

 

最後に、「独立独歩」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. すぐれた芸術家というのは、独立独歩の人が多いと言われている。
  2. 高校を卒業してからは、独立独歩の精神で生きていくつもりです。
  3. 我が社では、創業以来ずっと「独立独歩の精神」を重んじています。
  4. 私の座右の銘は「独立独歩」です。自分の力だけを信じて生きています。
  5. これからも独立独歩の心構えで、自分の人生を歩むようにしてください。
  6. 個性的で独立独歩なのはいいけども、集団生活の中では協調性も大事にすべきだ。
  7. 彼は他人を気にせず生きる独立独歩な人だが、たまには周りの事も考えた方がいい。

 

「独立独歩」は「他人に頼らず、自分の信じた道を行く様子」を表した四字熟語です。したがって、基本的には相手を褒めたり自己をアピールしたりするような良い意味として使います。

ただし、場合によっては否定的な使い方をすることもあります。上の例文だと最後の6と7です。この場合は、「他人の意見を受け入れない」「相手を全く信用しない」といったネガティブな印象を与える使い方です。

「独立独歩」は「自分だけを信じる」という意味の言葉なので、程度が過ぎるとこのようにネガティブな使い方をすることもあるということです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

独立独歩」=他人に頼らずに、自分の信じる所に従って行動すること。

語源・由来」=他のものから離れて独りで歩く様子。中国の本『無門関』の言葉が元。

類義語」=「独立独行・自主独往・独立不羈・赤手空拳」

対義語」=「付和雷同・唯々諾々」

英語訳」=「self-reliance」

人には様々な生き方がありますが、「独立独歩」は自分の信念に基づいて行動する生き方です。誰の影響も受けず、一人で自分の道を突き進むような時にぜひ使ってみて下さい。