「尽未来際」という四字熟語があります。見慣れない言葉なので、初めて目にするという人も多いかもしれません。
ただ、昔の小説文などの文学作品においてはよく登場しています。今回は「尽未来際」の意味や由来、対義語、英語訳などを解説しました。
尽未来際の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【尽未来際(じんみらいさい)】
⇒《「じんみらいざい」とも》仏語。未来の果てに至るまで。未来永劫 (えいごう) 。永遠。副詞的にも用いる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「尽未来際」は「じんみらいさい」もしくは「じんみらいざい」と読みます。どちらの読み方でも可能ですが、一般的には「じんみらいさい」と読むことの方が多いようです。
「尽未来際」とは「未来の果てに至るまで・未来永劫・永遠」といった意味を持ちます。副詞的に用いることもあるので、「永遠に・永久に」などの語で言い換えることも可能です。
例えば、今の幸せがずっと長く続くことを願う際に、「尽未来際、幸せが続くように~」などのように用います。また、自分が生涯大切にしたい人やものがあったとしたら、「尽未来際、守るつもりです」などのように用います。
このように、いつまでもずっと続く長い年月を表した四字熟語を「尽未来際」と言うわけです。
尽未来際の語源・由来
「尽未来際」は、仏教の用語からきた四字熟語です。
仏教の経典『心地観経(しんじかんぎょう)』(正式名称:大乗本生心地観経)には次のような記述があります。
また、浄土宗の経典『授菩薩戒儀(じゅぼさつかいぎ)』だと次のような記述もあります。
「尽未来際」は、元々「未来の辺際(へんさい)を尽くす」という意味で「未来際を尽くす」と表現されていました。「辺際」とは「これ以上ない限界・果て」という意味です。
そのため、「尽未来際」をそのまま訳すと「未来の果てや限界まで尽くす(ほどの時間・空間・程度)」という意味になります。転じて、現在では「未来永劫・永遠」などを表す四字熟語として使われているわけです。
語源だけを調べると、「尽未来」もしくは「未来際」だけでも同義なので、意味自体は十分通用します。しかし、「きわ」を意味する「際」を付けることで、「終わりがないほどずっと続く時間」を強調していることになります。
尽未来際の類義語
続いて、「尽未来際」の「類義語」を紹介します。
類義語は「長い年月」や「ずっと続く未来」を表したものとなります。この中でも、「未来永劫」はよく使われる四字熟語です。
「未来永劫」は、「尽未来際」と同じ仏教用語で、古代インドの逸話を由来とする言葉です。「未来永劫続く」「未来永劫にわたって」などのように用い、人や物事がいつまでもずっと続く様子を表す際に使うことができます。
逆に、対義語としては「一瞬」「刹那」などが挙げられます。どちらも「きわめて短い時間」を表した言葉です。
尽未来際の英語訳
「尽未来際」は、英語だと次のように言います。
「forever(永久に・永遠に)」
「eternity(永久・永遠)」
「eternally(永久に・永遠に)」
「permanently」(永久に・いつまでも)
基本的には「永久」や「永遠」を表す単語が「尽未来際」を表す上で適しています。
いずれも副詞として使うのが基本ですが、「eternity」だけは名詞として使います。そのため、名詞として用いる際は「eternity」を使うのがよいでしょう。
例文だと、次のように用います。
I am forever grateful to him.(彼には尽未来際、感謝しています。)
She understood the world of eternity.(彼女は尽未来際の世界を理解した。)
I am eternally happy.(私は永遠に幸せです。)
He will live permanently in the U.S.(彼はアメリカにずっと住むつもりです。)
尽未来際の使い方・例文
最後に、「尽未来際」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 尽未来際、彼らの幸せな生活が続くようにと願っています。
- 結婚する際に妻と交わした約束は、尽未来際守るつもりでいます。
- 尽未来際、世界中すべての人が幸せになれるようにとお祈りしてきました。
- この地には、はるか太古から現在まで尽未来際、神が宿るとされている。
- 今の不自然なほどの好調が、尽未来際続くとは誰も思ってはいないだろう。
- 環境破壊が進んでいる今、尽未来際、自然を守ることは徹底しなければならない。
「尽未来際」は、「果てしない未来・尽きることのない未来」を表した四字熟語です。元は仏教用語でしたが、現在では様々な場面で使われています。
実際の使い方としては、後ろに「続く」「守る」といった語が付くことが多いです。人の幸せが続くことを願ったり、自然を守ることを誓ったりするような場面で使うのが適しています。
単に「永久に」「永遠に」などと言うよりも、「尽未来際」を使う方が厳かな印象を与えることができるでしょう。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「尽未来際(じんみらいさい)」=未来の果てに至るまで・未来永劫・永遠。
「語源・由来」=仏教用語で「未来際を尽くす(未来の辺際を尽くす)こと」から。
「類義語」=「未来永劫・未来永久・子々孫々・来来世世」
「英語訳」=「forever」「eternity」「eternally」「permanently」
「尽未来際」は非常に古い由来を持つ四字熟語ですが、今もなお使われています。意味を理解したからには、ぜひ普段の文章で使用して頂ければと思います。