「地団駄を踏む」という慣用句があります。「踏む」と聞くと何となく子どもがダダをこねるようなイメージですが、子どもと大人のどちらに使えばよいのか気になる所です。
また、そもそも「地団駄」とは何?と疑問に思う人も多いと思われます。そこで今回は、「地団駄を踏む」の意味や語源、使い方、類義語などを詳しく解説しました。
地団駄を踏むの意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【地団駄を踏む(じだんだをふむ)】
⇒悔しがったり怒ったりして、激しく地を踏む。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「地団駄を踏む」は、「じだんだをふむ」と読みます。意味は「悔しさや怒りで、激しく地面を踏むこと」を表したものです。
例えば、ゲームやスポーツなどの勝負事に負けてしまい、悔しい気持ちになった経験というのは誰しもあります。この時に、負けた事への悔しさや自分への怒りにより、激しく地面を踏んだとすれば、それは「地団駄を踏むこと」だと言えます。
つまり、「地団駄を踏む」とは自分の悔しい感情・怒りの感情を、地面を踏むことで露骨に表した慣用句ということです。
人間は普段の生活で仕事が上手くいかなかったり勉強がはかどらなかったりするとストレスがたまることがあります。そんな時は大声で叫んだり物に八つ当たりしたりしてしまうかもしれません。
もちろん、人によって様々な感情表現の方法があるでしょう。しかし、あくまでこの慣用句は「地面を激しく踏みならすこと」で感情を表に出すわけです。
なお、「地団駄」は「地団太」と簡略的に書く場合もあります。どちらを使っても意味自体はまったく同じと考えてください。
地団駄を踏むの語源・由来
「地団駄を踏む」の「地団駄」は、「じだたら(地蹈鞴)が転じたもの」と言われています。「じだたら」とは「金属の加工や精錬に必要な空気を送り込む送風機」のことです。
送風機というのは、元々、足で踏むことにより風を送るものでした。その時の足で踏みつける動作が、怒ったり悔しがったりする仕草と似ていたのです。ここからだんだんと、「じだたらを踏む」が「じだんだを踏む」に転じたと言われています。
つまり、本来は怒りや悔しさなどの心理の意味は特に含まれていなかったことになります。あくまで、「地団駄を踏む」というのは送風機のペダルを足で踏む動作を表していたのです。
そのため、冒頭で説明した「子供がダダをこねる」というイメージとは異なることが分かるかと思います。なぜなら、「地団駄を踏む」は、一歳や二歳の子供というよりも、元々は成人した大人たちの動作から来ているためです。
補足すると、現在でも似たような言葉で「じんだら」という方言が残っています。使い方としては、「じんだらを踏む」「じんだらをこねる」などと言います。「じんだら」についても同様に、じだたらが変化したものだと考えて問題ありません。
地団駄を踏むの類義語
続いて、「地団駄を踏む」の類義語を紹介します。
類義語は悔しがったり怒ったりする様子を表した言葉となります。
ただ、慣用句やことわざで、足を踏み鳴らす動作をするものはありません。したがって、まったく同じ意味の言葉、すなわち同義語はないと言ってよいでしょう。
一般的な語だと、「激しく悔しがる」「激しく怒る」などの表現が言い換えとしては適しています。
地団駄を踏むの英語訳
「地団駄を踏む」は、英語だと次のように言います。
「stamp one’s feet in frustration」
「stamp one’s feet in anger」
「stamp」は「~を踏みつける」という意味の動詞です。そして、「frustration」は「失敗」、「anger」は「怒り」を表します。
以上の事から、それぞれを直訳すると、「失敗で地面を踏みつける」「怒りで地面を踏みつける」となり、どちらも「地団駄を踏む」と同じ意味になります。
例文だと、以下のような表現です。
She stamped her feet in frustration.(彼女はイライラして地団駄を踏んでいた。)
He stamped his feet in anger.(彼は怒りの余り、地団駄を踏んでいた。)
地団駄を踏むの使い方・例文
最後に、「地団駄を踏む」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 普段は冷静な彼だが、今回は地団駄を踏むほど悔しがっていたようだ。
- 大人なのだから、怒って地団駄を踏むのではなくひとまず冷静になろう。
- 温厚な先生が地団駄を踏みながら、怒りをあらわにした。珍しい光景だよ。
- 地団駄を踏むなんて、よっぽど悔しかったんだろう。君の心中を察するよ。
- 周りに上司や同僚がいたので、叫ぶことも地団駄を踏むこともできなかった。
- 僅差で試合に負けた子どもたちは、悔しさのあまり地団駄を踏んでいた。
「地団駄を踏む」は、上記のように大人に限らず子供や学生など年齢が低い人に対しても使うことができます。
すでに説明したように、元々は「大人がペダルを踏みつける動作」から来ていましたが、現在はそこまで正確な由来は意識されていません。したがって、怒りで地面を踏みつけるような動作をしている人であれば、基本的には誰でも使うことができます。
ただ、いくら悔しい出来事があったとしても、言葉通りに地面を踏みつけるような人は少ないはずです。そのため、実際には小説文など架空のお話の中で使われることの方が多いです。
もしも現実世界で地団駄を踏む人を見たとしたら、それは貴重なシーンと言えるのかもしれません。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「地団駄を踏む」=悔しさや怒りで、激しく地面を踏むこと。
「語源・由来」=じだたら(送風機)を足で踏みつける動作が、怒ったり悔しがったりする仕草と似ていたため。
「類義語」=「悔悟をかみしめる・ほぞを噛む・頭に血がのぼる・怒髪天を衝く」
「英語訳」=「stamp one’s feet in frustration」「stamp one’s feet in anger」
人の感情を伝える時に、単に「怒った」「悔しがった」だと味気ない印象を与えてしまうかもしれません。そんな時は「地団駄を踏む」という慣用句を使ってみてはどうでしょうか?