雲外蒼天 意味 使い方 由来 類語 英語

「雲外蒼天」という四字熟語をご存知でしょうか?

主に「雲外蒼天の極み」「雲外蒼天の気持ち」などのように用いられ、習字や書道の文字として書くことがあります。「旭日昇天」とも似ている言葉ですが、最近では座右の銘として掲げている人もいるようです。

ただ、具体的な使い方やそもそも誰の言葉なのかといった疑問があります。そこで今回は、「雲外蒼天」の意味や語源、類語、英語訳などを詳しく解説しました。

雲外蒼天の意味・読み方

 

最初に、基本的な意味と読み方を紹介します。

【雲外蒼天(うんがいそうてん)】

試練を乗り越えていき、努力して乗り越えれば快い青空が望める、という意。

出典:コトバンク

雲外蒼天」は「うんがいそうてん」と読みます。意味は「試練を乗り越えて努力していけば、快い青空が望めること」を表したものです。

主に困難を乗り越えた先に、明るい未来が待っていることを相手に伝えるような際に使います。

例えば、毎日必死に受験勉強を頑張っている人がいたとします。

ところが、あまりにも勉強がつらすぎたのでその人は途中であきらめそうな気持ちになってしまいました。そこで、何とか彼を説得しようと声をかけることにしたとします。

このような場面で、「雲外蒼天の気持ちで頑張ろう」などと言うわけです。つまり、つらい勉強でも毎日継続していけば「合格」という良い結果が待っているので頑張ろうという意味です。

「雲外蒼天」とは、このように試練や困難を乗り越えた先にある明るい未来を想像させる四字熟語ということになります。

雲外蒼天の由来・語源

 

雲外蒼天」は「雲外に蒼天あり」とも言います。

」というのは「様々な困難や障害」を間接的に表したものです。これは「雨雲」などのどんよりした雲をイメージすれば分かりやすいでしょう。

そして、「蒼天」は「青い空」、すなわち「明るい未来」を指します。つまり、「雲外蒼天」を分かりやすく訳すと「困難や障害の外には、明るい未来がある」という意味になるわけです。

考えてみれば、雨雲自体はどんよりしていても「雲の上」は常に青空が広がっています。たとえ地上に雨が降ろうとこの事実は変わりません。

そのため、「雲外蒼天」の語源を調べると「雲の上は常に明るい」という意味が込められていることが分かるかと思います。

私たちは目先の不幸や困難に直面するとそれが全てのように錯覚してしまいます。しかし、「長い人生」という広い視野で考えれば「天上は常に明るい」という気持ちを持つことも大事なのかもしれません。

なお、「雲外蒼天」という言葉の明確な出典は現在の所ありません。「いつ・誰が作ったか?」ということも分かっていないため、多くの辞書にも載せられていないです。そのため、詳しい由来は不明ということになります。

雲外蒼天の類義語

雲外蒼天 類義語 言い換え 対義語

「雲外蒼天」の「類義語」は以下の通りです。

開雲見日(かいうんけんじつ)】⇒不安や心配事がなくなり、将来に希望が持てるようになること。「開雲」は「光を遮る暗い雲がなくなること」、「見日」は「明るい日を見ること」を表す。
撥雲見日(はつうんけんじつ)】⇒不安や心配事が消え去り、明るい希望を持てるようになること。「撥雲」とは「暗い雲をはらい去ること・はね返すこと」を表す。
撥雲見天(はつうんけんてん)】⇒不安や心配事が消え去り、明るい未来が待っていること。「見天」とは「天を見ること、すなわち明るい未来や将来を見ること」を表す。

三つとも共通しているのは、「心配ごとがなくなり、将来に希望が持てるようになる」という意味です。

また、似たような四字熟語としては「旭日昇天(きょくじつしょうてん)」もあります。

「旭日昇天」とは「朝日が天にのぼるように、勢いが盛んな様子」を表した四字熟語です。

「旭日昇天」もよく使われる四字熟語ですが、こちらは「雲外蒼天」よりももっとポジティブな言葉です。不安や心配事などがなくなり、さらに勢いよく上昇するような様子を表す際に使われます。

その他、ことわざだと「雲の上はいつも晴れ」「明けない夜はない」「石の上にも三年」なども「類義語」だと言えます。

雲外蒼天の対義語

 

逆に、「対義語」としては以下の言葉が挙げられます。

前途多難(ぜんとたなん)】⇒これから先に、多くの困難や苦難が待ち受けている様子。「前途」は「将来」や「行き先」、「多難」は「困難がたくさんある様子」を表す。
前途遼遠 (ぜんとりょうえん)】⇒目標を達成するまでの道のりが、まだ非常に長く残っているさま。「遼遠」とは「はるかに遠いさま」を表す。
暗雲低迷(あんうんていめい)】⇒悪い状態がずっと長く続く様子。「暗雲」は「暗い雲」すなわち「不幸や災い」を表し、「低迷」は「良くない状態から抜け出せないでいること」を表す。
五里霧中(ごりむちゅう)】⇒物事の手がかりや様子がつかめず、見込みが立たずに困ること。五里にもわたる深い霧の中にいることから。

反対語の場合は、「将来に希望が持てず、苦労が待っている様子」や「目標達成までの道のりが長く、困難な様子」を表したものとなります。当然、良い意味として使われることはなく、その人の絶望的な状況などを表す際に用いられます。

慣用句的な表現だと、「お先真っ暗」「暗雲が漂う」「先行き不安」なども反対語に含むられると言ってよいでしょう。

雲外蒼天の英語訳

 

「雲外蒼天」は、英語だと次のように言います。

sky beyond the clouds azure sky」(蒼天の雲を超えた青空)

一つずつ説明すると、「sky」は「空」、「beyond」は「~を超えた」、「cloud」は「雲・曇り」という意味です。「azure」は「空色・淡青色」という意味ですが、「sky(空)」を付け加えることにより「蒼天・青空」という訳になります。

また、「雲外に蒼天あり」だと、以下のような言い方も可能です。

「There is always light behind the clouds.」(雲の向こう側には、常に光がある。)

「If you go outside the clouds, you can see the blue sky. 」(雲の向こう側にいけば、青空を見れるだろう。)

実際の用例だと、こちらの二つの方が多いと言えます。

雲外蒼天の使い方・例文

 

最後に、「雲外蒼天」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 学生の頃、雲外蒼天の意志で東大に受かる決意をしました。
  2. これからは雲外蒼天の心境で、日々精進していくつもりです。
  3. 先日の卒業式で、先生から「雲外蒼天」という言葉を頂いた。
  4. 雲外蒼天をスローガンにあきらめずに努力していけば報われるはずだ。
  5. 10年越しの夢が叶ったなんて、まさに雲外蒼天の極みと言えるだろう。
  6. 雲外蒼天を信じてここまで仕事を頑張ってきたので、本当に嬉しい限りです。
  7. 座右の銘は「雲外蒼天」なので、どんな困難があろうと明るい未来があると信じている。

 

「雲外蒼天」は例文のように、受験や卒業式・ビジネスだと様々な場面で使うことができます。自分の周りの人が、人生に行き詰まって苦しんでいるというケースは日常生活でもよくあります。

そんな場面において、「あきらめなければ道は開ける」「頑張ればいずれは人生が好転する」という意味でこの四字熟語は使いやすいと言えます。

もしも自分に対して使う場合は、「弱気になってはいけない」「絶望してはいけない」と自らを励ますような場面で使うのがよいでしょう。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

雲外蒼天」=試練を乗り越えて努力していけば、快い青空が望めること。

語源・由来」=「(困難や障害)のには、蒼天(明るい未来)があること」から。

類義語」=「開雲見日・撥雲見日・撥雲見天・旭日昇天」

対義語」=「前途多難・前途遼遠・暗雲低迷・五里霧中」

英語訳」=「sky beyond the clouds azure sky」

人は生きていれば、少なからず「困難」や「障害」にぶち当たります。そして、その困難を乗り越えた時に初めて人として成長できると言えます。「雲外蒼天」は、そのような人生の悟りを教えてくれる四字熟語なのかもしれません。