天変地異 意味 使い方 語源 由来 類語 英語

天変地異」という四字熟語をご存知でしょうか?世の中に異変が起こった際に使われ、「天変地異の局面」などのように用います。

ただ、具体的な成り立ちや語源などが分かりにくい言葉でもあります。また、似たような言葉の「天災地変」との違いも気になる所です。

そこで本記事では、「天変地異」の意味や由来、類義語、反対語などを含め詳しく解説しました。

天変地異の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味から紹介します。

【天変地異(てんぺんちい)】

天変と地異。自然界に起こるあらゆる自然の異変や災害。

出典:三省堂 大辞林

天変地異」は「てんぺんちい」と読みます。意味は「自然界に起こる様々な異変や災害」を表したものです。

例えば、日本は災害大国とも言われるほど自然災害が多い国として有名です。特に地震や台風、噴火、土砂災害などの被害はテレビなどでも定期的に報道されているため、私たちにとっては身近なものだと言えるでしょう。

このような災害はまさに「天変地異」だと言えます。つまり、自然界における天や地に起こる様々な災害のことを「天変地異」と言うわけです。

「天変地異」は日常的に使う四字熟語ではありませんが、災害が起こった際にはよく使われます。したがって、平常時ではなく緊急時に使われる言葉だと考えても問題ありません。

天変地異の語源・由来

 

「天変地異」は「天変」と「地異」から成る四字熟語です。

まず、「天変」は「わる」と書くので、「天空で変化が起こること」を意味する言葉です。日食・月食・隕石・彗星・流れ星など天体に異変が発生すること、あるいは大雨・暴風・落雷などの気象に異変が発生することを表します。

そして、「地異」は「なる」と書くので、「地上で異変が起こること」を意味する言葉です。こちらは地震や津波、洪水、河川の氾濫・火山の噴火などを指します。

以上の事から考えますと、「天変地異」は「天空や気象、地上で様々な異変が起こること」を表した四字熟語であることが分かります。転じて、「自然界で発生するあらゆる災害や異変」という意味になるわけです。

なお、「天変地異」は中国の故事などに由来する四字熟語ではありません。

天変地異の種類

 

「天変地異」にはいくつかの種類があります。ここでは、世の中で起こりうるものを「天変」と「地変」に分けてみていきます。

「天変」の種類

日食(にっしょく)】⇒地球から見て、太陽が月に隠される現象。太陽と地球の間に月が入り、月の影により太陽が隠されることによって起こる。月が太陽を全部隠すのを皆既食、一部を隠すのを部分食と言う。
月食(げっしょく)】⇒月が地球の本影の中に入り、月面の一部または全部が暗くなる現象。太陽と月の間に地球が入ることで、月の光る面が欠けて見えることによって起こる。
隕石(いんせき)】⇒宇宙空間に存在する固体物質が、大気中で燃え尽きずに地上へ落下したもの。大気圏内で燃え尽きるものは「流星」と呼ぶ。
暴風(ぼうふう)】⇒災害をもたらす荒く激しい風。定義としては、風速が毎秒24.5~28.4メートルまで及ぶと「暴風」となる。
豪雨(ごうう)】⇒大量に降る雨のこと。「大雨」とも呼ぶ。「豪雨」の中でも局地的で短時間の強い雨のことを「集中豪雨」と呼ぶ。
豪雪(ごうせつ)】⇒非常に量の多い雪。大雪。降雪量や積雪量などによる定義は存在せず、災害の程度が著しい場合に気象災害名として用いられる。 
落雷(らくらい)】⇒雷が落ちること。雷雲と地面との間に放電が起こること。木や塔など地上の突起物に対して落ちやすい特徴がある。

「地異」の種類

地震(じしん)】⇒地球内部の急激な変動による振動が伝わり、大地が揺れ動く現象。地震そのものの規模を「マグニチュード」、震動の強さを「震度」と呼ぶ。

津波(つなみ)】⇒地震や海底火山の噴火などにより起こる大規模な波の伝播現象。地震による津波を「地震津波」、台風や低気圧によって起こる津波を「風津波」と呼ぶ。
噴火(ふんか)】⇒火山からマグマや火山灰、火山ガスなどが地表に噴き出すこと。火山活動の一つ。
洪水(こうずい)】⇒大雨などにより河川の水の量が激しく増加し、そこから外へ流出すること。特に通常は乾いている土地へ水があふれ出すこと。
土砂災害(どしゃさいがい)】⇒地震や大雨などにより、地すべりやがけ崩れなどが起こること。大量の土砂により建物が崩壊したりする。

天変地異の類義語

天変地異 類語 対義語続いて、「天変地異」の「類義語」を紹介します。

天災地変(てんさいちへん)】⇒自然界に起こる様々な災害。「天災」とは「自然現象がもたらす災害」、「地変」とは「土地の変化」を表す。
天変地妖(てんぺんちよう)】⇒天空や地上で起こる怪しい異変や災害。「地妖」とは「地上で起こる異変のこと」を意味する。
自然災害(しぜんさいがい)】⇒自然現象が直接的な原因となって発生する災害。主に地震・台風・火山の噴火などの天災を指すが、事故や疾病などによる災いも含まれる。

「天変地異」を言い換えた語はいくつかありますが、この中だと「天災地変」が意味としては最も近いです。ただ、まったく同じ意味の言葉、すなわち同義語というのはありません。

例えば、「天災地変」は「災」という字が入っているように自然界に災害が起こった時のみ使われる四字熟語です。日食や月食などのように災害ではなく異変が起こった時には使いません。

また、「天変地妖」は同じ異変や災害であっても怪しさを強調したいような時に使います。「妖」は「妖怪」の「妖」と同じ漢字だと考えれば分かりやすいかと思います。

「自然災害」に関しては別名「天災」とも呼び、主に災害に対して使われる言葉です。ただ、災害という言葉自体が事故や疾病などによって受ける災いも含むため、この点が「天変地異」との違いだと言えます。

天変地異の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。

人為災害(じんいさいがい)】⇒人間が直接手を加えたことにより引き起こした災害。「人為」とは「人の手で何かを行う事・自然に手を加えること」を指す。
人災(じんさい)】⇒人間の不注意や怠慢が原因で起こる災害。十分な対策をしなかったために起こる水害などに対して用いられる。
地平天成(ちへいてんせい)】⇒世界が平穏な状態になり、天地が治まること。「地平」は「地上の変動がないこと」、「天成」は「すべてのものが栄えること」を表す。中国の古典、「地平ラギ天成リ」を訓読したもの。

「対義語」の場合は「自然に起こらなかった災害」、すなわち「人為的な災害」を表す言葉となります。また、そもそも災害が起こらないという前提であれば、「天地が平和に治まること」を表した「地平天成」も反対語に含まれます。

天変地異の英語訳

 

「天変地異」は、英語だと次のように用います。

a natural disaster(自然の災害)」

a cataclysm(大変動・破壊)」

「disaster」は「大きな災害・突然の大惨事」などの意味です。主に生命や財産が失われるほどの大きな災難が起こった時に使われます。

また、「cataclysm」は「大変動・破壊」などを意味する単語です。こちらは「disaster」よりは少し形式ばった表現ですが、同じく災害を表す時に使うことができます。

例文だと、次のような言い方です。

A natural disaster will happen in the near future.(近い将来、天変地異が起こるだろう。)

A cataclysm have happened in the country.(その国で天変地異が起こった。)

天変地異の使い方・例文

 

最後に、「天変地異」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 最近の話ですが、あの国では地震や台風などの天変地異があったようです。
  2. 天変地異が起きても動じないよう、私は日ごろの備えを大切にしています。
  3. この地域は天変地異に見舞われたため、復興のための支援が必要となるだろう。
  4. 天変地異はどうやっても避けることはできない言わば不可抗力のようなものだ。
  5. 天変地異が起こった時のために備えて、今から食料品を備蓄しておくつもりです。
  6. 大量のバッタが発生するなんて、もしかしたら天変地異の前触れかもしれない。
  7. 将来的に天変地異が起こるかもしれないので、不動産には保険の契約を結んでおこう。
  8. 歴史を振り返ると、日本という国は何度も天変地異が起こってきたことが分かる。

 

「天変地異」は自然界で起こる異変や災害を意味する言葉です。基本的には悪いイメージの言葉なので、日常生活の中で使う機会はほとんどありません。

ニュースなどで大きな自然災害が起こったり、前代未聞の大惨事が発生したりすることを伝える際に用いられます。ただ、場合によっては災害から復興していく時や災害に備える話をする時などに使うこともあります。

この場合は、必ずしも悪い意味として使うとは限りません。「事前に予防策をとる」「今後の復興に向けて前を向く」といった良い意味として使うこともあります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

天変地異」=自然界に起こる様々な異変や災害。

語源・由来」=天空で変化が、地上で異変が起こることから。

類義語」=「天災地変・天変地妖・自然災害」

対義語」=「人為災害・人災・地平天成」

英語訳」=「a natural disaster」「a cataclysm」

「天変地異」は災害大国の日本では切り離すことのできない言葉です。もしも今後使うような機会があれば、ぜひ正しい意味を理解した上で使って頂ければと思います。