修行 修業 違い 使い分け 意味 漢字

「しゅぎょう」を漢字で書く場合、「花嫁修業」「武者修行」などのように二つの表記の仕方があります。

ただ、この場合に両者をどのように使い分ければよいのかという問題があります。そこで今回、「修行」と「修業」の違いについて詳しく解説しました。

修行の意味・読み方

 

まずは、「修行」の意味からです。

【修行(しゅぎょう)】

悟りをめざして心身浄化を習い修めること。仏道に努めること

托鉢 (たくはつ) ・巡礼して歩くこと。

学問や技芸を磨くため、努力して学ぶこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「修行」には複数の意味がありますが、主な意味としては二つに分かれます。

一つ目は、「仏道に努めること」という意味です。

【例】

  • お寺で修行する
  • 出家して修行僧になる

「仏道」とは「仏教における悟りを得るために行うこと」を指します。したがって、この場合は自分の精神を浄化してきたえるような場面で用いられます。

そして二つ目は、「学問や技芸を磨くために努力すること」という意味です。

【例】

  • 武者修行をする
  • 剣道を修行する
  • 弓道を修行する

この意味の場合は、剣道・弓道・柔道などの武道に使われることが多いです。こちらも同様に精神をきたえるような意味ですが、仏教のような宗教的な要素は含まれません。

なお、辞書の説明に書かれている「悟り」「托鉢(たくはつ)」「巡礼」などはすべて宗教の言葉となります。したがって、この意味の場合は①と同様に仏教などの宗教に関する場面で使われます。

修業の意味・読み方

 

続いて、「修業」の意味です。

【修業(しゅぎょう)】

学問や技芸を習い、身につけること。しゅうぎょう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

修業」とは「学問や技芸を習って、身につけること」という意味です。

【例】

  • 大工職人の元で修業する
  • 料理教室に通い、花嫁修業する

使い方しては、特定のスキルを身につけるために、誰かから学ぶような場面が多いです。

ここで注意すべきは、「修業」には読み方が二種類あるということです。「修業」は、元々「しゅうぎょう」と読んでいました。

ところが、「修行」という言葉に合わせてだんだんと「しゅぎょう」と読むようになりました。その結果、現在では一般に「修行」と同じく「しゅぎょう」と読まれているのです。

「しゅうぎょう」と読む場合もないわけではありませんが、「修業証書」など限定的な使い方が多いです。

修行と修業の違い

修行 修業 違いは

ここまでの内容を整理すると、

修行」=仏道に努めること。学問や技芸を磨くために努力すること。

修業」=学問や技芸を習って、身につけること。

ということでした。

両者の違いは、二つの点から比較すると分かりやすいです。

一つ目は、「宗教的な意味で使うかどうか」です。

「修行」は「いをめる」と書くように宗教に関する場面で使います。そのため、仏教のように宗教的な要素が含まれる場合は「修行」を使うようにします。

一方で、「修業」は「生める」と書くように、主に学問や技芸などのスキルに対して使います。したがって、こちらは宗教的な意味で使うことはありません。

二つ目は、「しゅぎょうをする目的」です。

「修行」は、仏教や武道などを学ぶことによって精神をきたえることが目的です。そのため、明確なゴールがないものだと言えます。なぜなら、精神の修行は一生をかけて行うものだからです。

対して、「修業」の方は、料理や大工など特定のスキルを得ることが目的です。知識やスキルなどは、身につければそこで一旦は目的を達成したことになります。したがって、こちらは明確なゴールがあるものだと言えるのです。

まとめると、

修行」=精神をきたえることが目的で、ゴールがない。(宗教的な意味でも使う)

修業」=特定のスキルを得ることが目的で、ゴールがある。

となります。

基本的には、上記のような理解で問題ありません。あえてつけ加えるなら、「修業」の方は、誰かから教わるという点がポイントです。

この場合の「誰か」とは、師匠や親方、先生など特定のスキルを持っている人のことを指します。「修行」は自分一人で鍛えることもできますが、「修業」は基本的に誰かに教わるものなのです。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【修行の使い方】

  1. 冷たい滝を浴びて、欲望や煩悩をなくす修行をする。
  2. 悟りを求めて、寺の修行僧となる決意をした。
  3. 剣道を修行し、日本人としての武士道を学ぶ。
  4. 武者修行に出て、全国を一人で歩くことにした。
  5. 「毎日必ず瞑想をする」という修行を始める。

【修業の使い方】

  1. 一人前の寿司職人になるために、師匠の元で修業する。
  2. 大工職人になるには、10年は修業が必要と言われている。
  3. 花嫁修業をするために、近くの料理教室に通うことにした。
  4. 和菓子職人と呼ばれる師の元で、修業するつもりです。
  5. 一通りの知識を学んだので、修業証書をもらいました。

 

補足すると、英語ではそれぞれ「修行」=「training」、「修業」=「study」と言います。

「修行」の方は「トレーニング」、つまり「精神的に鍛える」ということです。それに対し、「修業」の方は「学習」や「習得」を意味する「study(勉強)」を使います。

まとめ

 

以上、本記事の簡単なまとめです。

修行(しゅぎょう)」=宗教的・精神的にきたえる。(ゴールがない)

修業(しゅぎょう)」=学問や技芸など、特定のスキルを得る。(ゴールがある)

「修行」は精神をきたえる目的で行うので、終わりがありません。対して、「修業」の方は特定のスキルを得る目的で行うので、ゴールが定められています。ぜひこの機会にそれぞれの違いを覚えて頂ければと思います。