心身一如 意味 読み方 使い方 英語 東洋医学

心身一如」という四字熟語をご存知でしょうか?

別の漢字だと「身心一如」とも書き、ヨガや漢方など東洋医学の世界ではよく使われています。ただ、具体的にどのような意味を持つのか分かりくい言葉でもあります。

そこで今回は、「心身一如」の意味や語源、由来・類義語などを含め詳しく解説しました。

心身一如の読み方・意味

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【心身一如(しんしんいちにょ)】

身心ともに充実していること。物事に一心に集中しているさま。また、身体と精神は一体であって、分けることはできず、一つのものの両面にすぎないという仏教の考え。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

心身一如」は、「しんしんいちにょ」と読みます。

「心身」は「しんじん」とも読めるので「しんじんいちにょ」と読む場合もあります。ただ、多くの場合は「しんしんいちにょ」と読みます。

心身一如」とは「身心ともに充実していること」「物事に一心に集中しているさま」「心と身体は一つであること」などを表した言葉です。

この中でも特に、「心と身体は一つであること」という意味で使われることが多いです。

例えば、私たちはストレスがたまり心に悪影響が出ると、胃腸の調子が悪くなったりします。逆に、病気や怪我などにより身体が痛い状態が長引くと、心がおかしくなったりします。

このような現象はまさに心と身体が一つであることの証であるので「心身一如」と言う事ができます。つまり、「心身一如」とは「心と身体はつながっていること」を表す四字熟語ということになります。

なお、「心」と「身」を逆にして「身心一如」と表記することもあります。どちらを使っても意味自体は同じと考えて問題ありません。

心身一如の語源・由来

 

心身一如」の由来は、鎌倉時代初期の禅僧である「道元(どうげん)」の言葉までさかのぼります。彼は自らが執筆した仏教の思想書、『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』の中で次のようなことを述べました。

「仏法にはもとより心身一如にして性相不二なり」

これを簡単に訳すと、「仏の教えでは、心と身体は一つであり、性相(しょうそう)は別々ではない」となります。要するに、「心と身体は別々に分けられるものではない」という意味です。

元々この考え方は、仏教の教えが元になっています。仏教では、「心」と「体」は密接に関わっており、お互いがお互いに影響し合うものだと考えられてきました。

現在でも、漢方治療や鍼・お灸などの東洋医学の分野では、この考え方が元になっています。

例えば、「ストレスをためると胃腸に良くない」「怒ると肝臓に良くない」「恐怖は腎臓に良くない」といった考え方はまさに現在の東洋医学の考え方の根本になっています。

心身一如」はこのように、現在でも様々な場面で応用されている四字熟語なのです。

心身一如の類義語

心身一如 類義語 言い換え 対義語

「心身一如」の「類義語」は次の通りです。

不離一体(ふりいったい)】⇒両者が一つになりお互いが離れないこと。※「一体不離」とも言う。
一心同体(いっしんどうたい)】⇒多くの人が心も体も一つの人間であるかのように強い絆を持つこと。
精神統一(せいしんとういつ)】⇒気持ちを一つの物事に集中させること。「精神(心)」を一つに統一する事ことから。
生死一如(せいしいちにょ)】⇒「生」と「死」は切っても切り離せない関係であること。「一如」は仏語で「等しく変わらないこと」を表す。

基本的な言葉のイメージとしては「心と身体が一つであること」を表したものとなります。そこから派生して、精神を集中させる言葉である「精神統一」なども類義語に含まれます。

また、先述したように「心身」の「心」と「身」を入れ替えて「身心一如」と言う場合もあります。この場合は全く同じ意味なので「同義語」と考えてよいでしょう。

心身一如の対義語

 

「心身一如」の「対義語」としては「心身二元論(しんしんにげんろん)」が挙げられます。

「心身二元論」とは「精神と身体は別の物であるという考え」のことです。別の名前だと「物心二元論」とも呼び、元々はフランスの哲学者・デカルトが提唱した考えを表します。

「デカルト」は「肉体は単に心の入れ物にすぎない」という主張を行いました。簡単に言えば、「身体よりも精神の方が優れている」ということを言ったわけです。

「心身一如」は身体も精神も同列に値するものだと考える言葉なので、「心身二元論」は反対語だと言えます。

心身一如の英語訳

 

「心身一如」は、英語だと次のように言います。

mind-body unity

the same in mind and body

「mind」は「心・精神」を表し、「body」は「体・肉体」を表します。「unity」は「単一」や「統一」を表すので、「心と身体の統一」すなわち「心身一如」と訳すことができます。

また、「same」は「同じ」という意味なので、後者のように「心と身体は同じである」と訳すこともできます。どちらも言っていることは同じので、文脈によってうまく使い分けるようにしてください。

心身一如の使い方・例文

 

最後に、「心身一如」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 古くからある仏教の教えを説いたもの。それが心身一如である。
  2. 東洋医学では、陰陽五行、心身一如などを意識して患者を治療する。
  3. マッサージやヨガなどは、心身一如を実践し、体の調子を整える。
  4. よく「病は気から」と言うが本当だ。心身一如を強く感じたよ。
  5. 心身一如」、メンタルを疎かにすると体にも影響が出てくることがある。
  6. スポーツは体を鍛えるだけではなく、心身一如の精神を持つことが重要だ。
  7. 社会人になりストレスが溜まりだすと、心身一如を改めて感じることが多い。

 

「心身一如」は、普段の日常会話で使われることは多くありません。上記のように、東洋医学やマッサージなど健康面について言及する際に使われることが多いです。

特に、最近では健康ブームと言われるほど、世の中では健康を意識することが重視されています。そういった場面で、「人間の心と身体は深く結びついている」ということを伝えたい時に「心身一如」を使うのが適していると言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

心身一如(しんしんいちにょ)」=心と身体は一つであり、別々には分けられないこと。

語源・由来」=道元の仏教思想書である『正法眼蔵』から。

類義語」=「不離一体・一心同体・精神統一・生死一如」

英語訳」=「mind-body unity」「the same in mind and body」

「心身一如」は人間の体の性質、心の性質を両局面から表した四字熟語です。古くからある言葉ですが、現在でも使われていますので、これを機に正しい意味を覚えておきましょう。