「無病息災」という四字熟語をご存知でしょうか?
お正月に書く年賀状や神社のお守りなどにもよく記されている言葉です。ただ、具体的な使い方が分かりにくい言葉でもあります。
そこで本記事では、「無病息災」の意味や読み方、例文、類義語などを詳しく解説しました。
無病息災の意味・読み方
最初に、基本的な意味と読み方を紹介します。
【無病息災(むびょうそくさい)】
⇒病気せず、健康であること。元気なこと。
出典:三省堂 新明解四字熟語辞典
「無病息災」は、「むびょうそくさい」と読みます。
意味は「病気をせずに、健康であること・元気なこと」などを表したものです。
例えば、70歳、80歳などの年齢に達しても全く病気をせずに元気な人がいたとします。このような人は、病気をせずに健康な状態だと言えます。
よって、「無病息災」と言うことができます。
あるいはご高齢の人でなくても構いません。学生や社会人などの若い人であっても病気や怪我などをせずに一年過ごすことができたとします。
このような場合も、「今年一年、無病息災であった」などと言うことができます。
つまり、「無病息災」とは病気や怪我などがなく健康である様子、無事である様子を表す四字熟語ということです。
無病息災の語源・由来
「無病息災」は「無病」と「息災」に分けることができる四字熟語です。
まず「無病」は「病気が無い」と書くので、「健康で元気なこと」を意味します。ガンや心臓病などの大病はもちろんのこと、小さな病気なども何一つない状態のことです。
そして、「息災」は「災(わざわ)いを息(や)む」と書くので、「病気やケガなどの災難をとめる」という意味があります。
仏教では、昔から「仏様の力によって災難を防ぐこと」を「息(や)める」と言っていました。また、現在でも「虫の息」「息の根」などと言うように、「息」には「生命力・元気さ」という意味が含まれています。
ゆえに、「息災」は「災いを防ぎ、健康に生きている」という意味として使われているのです。
以上、両者を合わせることで「病気や怪我などの災難がない様子」を表す四字熟語ということになります。
なお、「無病息災」の正確な起源は今の所まだ分かっていません。
ただ、少なくとも古代中国の前漢時代には「無病」という言葉が残されていることが分かっています。前漢時代の思想書『淮南子(えなんじ)』を読むと、「病気をしない」という意味で「無病」と記されています。
また、少し時が過ぎて、日本の場合だと平安時代には「息災」という言葉が残されています。平安時代の代表的な作品である「枕草子」には、「息災」と記されているのです。
この「息災」と先に説明した「無病」が結びつき、現在の形になったと言われる説が有力です。
考えてみれば、「無病」も「息災」もどちらも似たような意味の言葉です。そのため、あえて似た意味を合わせることにより、健康であることを強調した四字熟語が生まれたのかもしれません。
無病息災の類義語
「無病息災」は、次のような類義語で言い換えることができます。
いずれも共通しているのは、「病気や災いがない」ということです。
「無病息災」には、その人の「平穏さ」のような意味も含まれています。したがって、「平穏無事」などの物事が落ち着いている状況を表す言葉も類語となります。
無病息災の対義語
逆に、「対義語」としては、次の二つが挙げられます。
【四百四病(しひゃくしびょう)】⇒人のかかる病気のすべて。仏教で「地・水・火・風」の4つの元素が不調な時、100個の病気になることから。
【一病息災(いちびょうそくさい)】⇒ちょっとした病気がある方が、かえって長生きすること。
前者は、人がかかる可能性のある病気をすべて表した四字熟語です。後者の方は明確な「対義語」というわけではありませんが、「病気がある」という点では反対語と言えます。
無病息災の英語訳
「無病息災」は、英語だと次の2つの言い方があります。
「good health」
「sound health」
「health」は、「健康・健康状態」という意味です。また、「sound」には「音」以外に「健全な・正常な」などの意味もあります。
それそれを直訳すると、「良い健康状態」「正常な健康状態」となります。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
I’m in good health.(私はいたって無病息災です。)
Pray your sound health of your mother.(あなたの母の無病息災を祈ります。)
無病息災の使い方・例文
最後に、「無病息災」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 無病息災を祈り、京都の神社に家族でお参りをしてきました。
- 七草粥という料理は、無病息災であることを願って食べられる。
- 怪我防止のために、無病息災を祈願するお祭りに参加してきました。
- 節分を過ぎ、今年の干支も無病息災で過ごすことができました。
- 無病息災・家内安全を祈願して、お祈りを続けるつもりです。
- このお守りは、なんでも無病息災のご利益があると聞いています。
- 年賀状に「無病息災でありますように」という一文を記した。
無病息災は、上記のように様々な場面で使うこと可能です。例えば、例文4のように「今年一年無事に過ごすことができた」という意味で過去を振り返るような使い方をすることもできます。
ただ、一般的には将来に向けて神様や仏様に祈りをささげる時に使います。
神社やお寺などでは、初詣としてその年一年の願望や目標を祈願します。そして、お守りなどを身に着けて病気や怪我などの災難が来ないようにします。
無病息災とはそのような場面で「今年一年健康でいられますように」という強い願いを込める時に使われることが多いです。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「無病息災」=病気をせずに、健康であること。元気なこと。
「語源・由来」=「病気を無くして、災いを息(や)む」(前漢・平安時代にはあった)
「類義語」=「無事息災・息災延命・平穏無事・健康第一」など。
「英語訳」=「good health」「sound health」
生きていく上で、健康を維持することは欠かせません。病気になれば、仕事や学業・人付き合いなど全てがストップしてしまいます。そういう意味では、無病息災でいることが人生において最も重要なことなのかもしれません。