一石二鳥 意味 由来 語源 使い方 例文 類義語

「一石二鳥」という四字熟語をご存知でしょうか?

普段の文章でもよく使われ、最近ではビジネスにおいて目にする機会も増えました。ただ、そもそもなぜ「石」や「鳥」を使うのかが気になる言葉でもあります。

そこで本記事では、「一石二鳥」の意味や語源、使い方などを含めなるべく簡単に解説しました。

一石二鳥の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【一石二鳥(いっせきにちょう)】

一つのことをして、二つの利益を得るたとえ。一つの行為や苦労で、二つの目的を同時に果たすたとえ。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

一石二鳥」は「いっせきにちょう」と読みます。意味は、「一つのことをして、二つの利益を得ること」「一つの行為や苦労で二つの目的を同時に果たすこと」などです。

分かりやすい具体例を挙げますと、例えばある人がお金を稼ぐためにアルバイトを始めることにしたとします。その人は普段から筋トレが趣味で体を動かすことが好きだったので、引っ越しの仕事をすることにしました。

引っ越しの仕事というのは、高額な報酬をもらえることで有名です。さらに、重い荷物を運ぶ重労働なので体をきたえたいと考えている人にとってはありがたいです。

この場合、「アルバイトをする」という一つの行為に対して、「お金を稼げる」+「体をきたえられる」という二つの利益を得ていることになります。よって、「一石二鳥である」などと言うわけです。

「一石二鳥」とはこのように、一つの行為で二つの利益や効果を手に入れることを表す四字熟語となります。

一石二鳥の語源・由来

 

「一石二鳥」は「一石」と「二鳥」から成る言葉です。

まず、「一石」は「一つの石」、そして「二鳥」とは「二羽の鳥」を意味します。よって、文字だけから読み取ると「一つの石を投げて、同時に二羽の鳥を捕まえる」というのが原義であることが分かります。

元々この言葉は中国の故事などではなく、イギリスのことわざを和訳した四字熟語だと言われています。

イギリスでは、17世紀頃から「to kill two birds with one stone」ということわざが用いられていました。これを直訳すると、「一つの石で二話の鳥を殺すこと」となります。

当時のイギリスでは、「鳥が二羽いた所に一羽を狙って石を一つ投げたら、偶然二羽とも落ちてきた」という逸話がありました。このウソのような幸運な話が元になり、今の「一石二鳥」が生まれたということになります。

興味深いのが、「一石二鳥」の正式な由来は最初から二羽とも仕留めようと思っていたわけではないということです。つまり、「思いがけない幸運によって、たまたま二つの利益を手にした」という偶発的な出来事から生まれたことわざだったということです。

その後、このことわざは明治時代に日本の英語教育が本格化されると、訳語として日本に定着するようになりました。現在では、元々の意味から派生して、偶然そうなったというよりは結果的にそうなったという意味で使われることもあります。

一石二鳥の類義語

一石二鳥 類義語 言い換え 別の言い方

「一石二鳥」の「類義語」は以下の通りです。

一挙両得(いっきょりょうとく)】⇒一つの行為で二つの利益を得ること。「一挙」は「一つの行動や動作」、「両得」は「二つの利益を得ること」を表す。
一箭双雕(いっせんそうちょう)】⇒一つの行動で二つの利益を得ること。「箭(せん)」は「矢」、「雕(きん)」は「鷲(わし)」を表す。
一挙両全(いっきょりょうぜん)】⇒一つの行動で二つのことがうまくいくこと。「両全」は「両方とも完全なこと」という意味。
一挙双擒(いっきょそうきん)】⇒一つの動作で二つの利益を得ること。「擒(きん)」は「とらえる」という意味。

共通しているのは、「一つの行いで二つの利益を手に入れる」ということです。

この中でも、「一挙両得」と「一箭双雕」は「一石二鳥」とほぼ同じ意味なので「同義語」と定義しても構いません。ただ、この二つは元になった由来が「一石二鳥」とは異なります。

先ほども説明した通り、「一石二鳥」はイギリスのことわざが元となっているので、正式には「英語」が由来ですが、「一挙両得」や「一箭双雕」は「中国語」が由来です。

「一挙両得」は、英語の「to kill two birds with one stone」を中国語に翻訳したものが、その後日本に来たものだと言われています。また、「一箭双雕」に関しては英語のことわざが入る前から元々中国に存在していた四字熟語です。

中国では古くから、「一本の矢で二羽の鷲を射落とす」という故事がありました。日本で広まった「一石二鳥」という訳は、この逸話を参考にしたのではという説も指摘されています。

いずれにせよ、元になった言語や作られた経緯が異なるため、このような共通の意味を持つ複数の四字熟語が存在することになります。

一石二鳥の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。

一挙両失(いっきょりょうしつ)】⇒一つの行為で、他のことまでもだめになること。「一挙」は「一つの行為や行動」、「両失」は「両方失うこと」を表す。
二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)】⇒異なった二つの事を同時にしようとすれば、結局どちらも成功しないというたとえ。

「反対語」の場合は二つどころか一つですら物事を達成できないことを表した言葉となります。後者の方は四字熟語ではなくことわざですが、比較的よく使われるものです。

一石二鳥の英語訳

 

「一石二鳥」は、「英語」だと次のように言います。

①「kill two birds with one stone(一つの石で二羽の鳥を殺す)」

②「serve a dual purpose(二つの目的を果たす)」

①はすでに述べたイギリスのことわざをそのまま英語訳として載せたものです。

また、②の「serve」は「~を果たす」、「dual」は「二つの」、「purpose」は「目的」という意味です。合わせることで、「二つの目的を果たす」⇒「一石二鳥」と訳すことができます。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

That is exactly killing two birds with one stone.(それはまさに一石二鳥だ。)

He served a dual purpose.(彼は二つの目的を果たした。)

日本語に訳すときには直訳ではなく、「一石二鳥」とそのまま訳すことが多いです。また、文章中で用いる際は「kill」を省いて、「two birds with one stone」とする場合もあります。

「That is two birds with one stone.(それは一石二鳥だ)」

これは「kill」を省略することで自然な会話とするためです。

一石二鳥の使い方・例文

 

最後に、「一石二鳥」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 今年の夏はエアコンを最新の機種に買い替えたが、家中涼しく電気代も安くなり、一石二鳥であった。
  2. 毎日のランチを手作りのお弁当にしてみたが、節約にもなるし料理の腕も上がるから一石二鳥だった。
  3. 幼稚園の役員になると親同士の交流も増え、園での子供の様子も見ることができて、一石二鳥です。
  4. 車通勤から自転車通勤にしたが、いい運動になるし渋滞にも巻き込まれないので一石二鳥だと感じた。
  5. 不用品をフリーマーケットに出したら、お金になっただけでなく、整理整頓もできて一石二鳥でした。
  6. 今回の企画は、新商品の周知と販売促進が効果的にマッチした一石二鳥とも言えるものである。
  7. ライバル社の商品を使うと自社にはない技術を学ぶことができる。その上、新しいアイデアへの刺激にもなるので一石二鳥だ。

 

今まで解説してきた通り、「一石二鳥」とは一つの行為で二つの利益を得ることでした。

この「一石二鳥」ですが、あくまで「たまたま・偶然」であることが使われる条件です。例えば、最初から一つの行為で二つの利益を狙い、それがはまって上手くいったような場合は一石二鳥とは言いません。自分でも予期しなかった利益を偶然得られた時に使うのが本来の正しい使い方となります。

なお、場合によっては一つの行為で三つの利益や四つの利益を手にするようなこともあります。この場合は、「一石三鳥」や「一石四鳥」などを用います。これらの言葉は厳密には一石二鳥から派生した造語ですが、知っておけば知識の幅も広がるでしょう。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

一石二鳥」=一つのことをして、二つの利益を得ること。

語源・由来」=一つの石で、偶然にも二羽の鳥をつかまえたというイギリスのことわざから。

類義語」=「一挙両得・一挙両全・一挙双擒・一箭双雕」

対義語」=「一挙両失・二兎を追う者は一兎をも得ず」

英語訳」=「kill two birds with one stone」「serve a dual purpose」

「一石二鳥」は、意外にも私たちの生活にあふれています。もしも偶然二つの利益を得た際は、この四字熟語を使ってみてください。