「意思疎通」という四字熟語をご存知でしょうか?一般的には「意思疎通をとる」「意思疎通を図る」などのように用います。
日常生活からビジネスまで幅広い場面で目にする言葉です。ただ、具体的な使い方まで知っているという人は意外と少ないと思われます。
そこで本記事では、「意思疎通」の意味や使い方、反対語などを含め詳しく解説しました。
意思疎通の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【意思疎通(いしそつう)】
⇒互いに考えていることを伝え、理解を得ること。認識を共有することなどの意味の表現。意思の疎通。コミュニケーションとも言う。
出典:実用日本語表現辞典
「意思疎通」は「いしそつう」と読みます。
意味は「互いの考えを伝えあい、認識を共有すること」です。簡単に言えば、「お互いにコミュニケーションをとること」だと考えて下さい。
「意思疎通」は「意思を疎通する」と書きます。「意思」とは「心の中で思っていること・考えていること」、そして「疎通」とは「ふさがっているものを通す」という意味です。
この事から、お互いの考え・意見などを通じ合わせることを「意思疎通」と言うわけです。
主な使い方としては、後ろに「図る」がつくことが多いです。ただし、場合によっては「意思疎通をとる」という言い方をすることもあります。
両者の違いですが、
「意思疎通を図る」⇒「意思疎通を実現できるように試みる」
「意思疎通をとる」⇒「意思疎通を行う」
となります。
前者は「意思疎通を努力してやっていく」という積極的な意味が込められた表現です。対して、後者の方にはそのような前向きな意味は特に含まれません。
意思疎通の使い方
「意思疎通」は、実際にどのような場面で使うのでしょうか?よくある3つのケースで確認しておきましょう。
①友達同士の意思疎通
友達や仲間と意思を共有することは多いです。この場合は、以下のようなイメージとなります。
【意思疎通を図る】
- 日常会話でお互いの考えを共有する。
- メールやLINEでお互いの意見を伝え合う。
- 電話でお互いの現状と今後を話し合う。
【意思疎通をとれていない】
- 会話自体をほとんどしていない。
- メールやLINEの返事がない。
- 電話で話す時間を設けていない。
②上司と部下の意思疎通
会社内での「意思疎通」は、仕事をする上で最も大事なことだと言えます。この場合は以下のようなイメージです。
【意思疎通を図る】
- 挨拶や返事などを積極的に行う。
- 雑談などをしてお互いのことを知る。
- 仕事終わりに飲み会に誘う。
【意思疎通をとれていない】
- 会話や対話がうまくかみ合わない。
- お互いの仕事の予定を把握していない。
- 報告・連絡・相談ができていない。
③親と子供の意思疎通
最後は、「親」と「子供」の「意思疎通」です。親子間の関係は、私たちにとって最も身近な関係性とも言えます。
【意思疎通を図る】
- 定期的に会話やメールを行う。
- 仕事や学校での様子を伝え合う。
- 子供の将来の目標などを理解する。
【意思疎通をとれていない】
- 会話やメールを全くしていない。
- お互いが普段何をしているか知らない。
- 将来の夢・目標などが分からない。
以上、3つのケースを紹介しました。
状況は違えど、お互いに意思疎通ができているかは非常に重要な要素です。相手のことをちゃんと理解していないと、それは意思疎通がとれているとは言えません。
意思疎通の類義語・対義語
続いて、「意思疎通」の類義語と対義語を紹介します。まずは類義語からです。
- 意思伝達(いしでんたつ)
- 相互理解(そうごりかい)
- 相互認識(そうごにんしき)
- 以心伝心(いしんでんしん)
- 情報交換(じょうほうこうかん)
- シンパシー
- コミュニケーション
「意思疎通」は様々な言い換えができますが、共通しているのは「人と人の考えを通じ合わせる」ということです。この中でも、「以心伝心」はよく使われる四字熟語なので覚えておいた方がよいでしょう。
「以心伝心(いしんでんしん)」とは、「文字や言葉を使わなくても、お互いの心が通じ合うこと」です。元々の由来としては禅宗の言葉ですが、現在では友達や恋人など様々な対象に使われています。
逆に、対義語としては以下のような言葉が挙げられます。
- 齟齬(そご)
- 軋轢(あつれき)
- 不和(ふわ)
- 不協和音
- 不一致
- 不調和
- 食い違い
- 仲たがい
こちらは「意見が食い違うこと・噛み合わないこと・調和しないこと」などを意味する言葉です。
4つ目の「不協和音」は「二者が調和しない状態にあること」を意味する四字熟語です。同時に鳴らした2つ以上の和音が調和しない状態にあることからできた言葉となります。
意思疎通の英語訳
「意思疎通」は、英語だと次のように言います。
「communication」
「understand each other」
前者は文字通り「コミュニケーション」、後者は「お互いを理解する」という訳です。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
You need communication with friends.(あなたはもっと友達と意思疎通を図った方がいい。)
They could not understand each other.(彼らはお互いが意思疎通できなかった。)
意思疎通の例文
最後に、「意思疎通」の使い方を例文で紹介しておきます。
- お互いが意思疎通を図り、理解し合うことは重要である。
- こちらから相手に対して意思疎通を図る努力をするつもりだ。
- 彼は大事な相方なので、意思疎通を深めるようにしている。
- 監督は選手に対して十分な意思疎通を図らなければならない。
- スマホは相手と意思疎通を図るための大切なツールである。
- 外国人と意思疎通ができないのは英語がしゃべれないからだ。
- イルカは人間と意思疎通を図ろうとする珍しい動物である。
意思疎通は、基本的に人と人との考えを共有するような際に使われます。その他、人間以外の動物だと、例えば犬や猫、イルカなど人間と親しい動物などに対して使われることもあります。
また、すでに説明したように使い方としては「意思疎通を図る」「意思疎通をとる」などの用例がほとんどです。
まれに「意思疎通を深める」「意思疎通ができない」などとも言いますが、これらの表現はそこまで使われません。多くの場合、「図る」か「とる」のどちらかだと考えて下さい。
本記事のまとめ
以上、今回のまとめとなります。
「意思疎通」=お互いの考え・意見などを通じ合わせること。
「意思疎通を図る」⇒意思疎通を実現できるように試みる。
「意思疎通をとる」⇒意思疎通を行う。
「類義語」=「意思伝達・相互理解・相互理解・以心伝心」など。
「対義語」=「齟齬・軋轢・不和・不協和音・不一致」など。
「英語訳」=「communication」「understand each other」
相手と気持ちを通じ合わせることは、すべての人にとって基本の行為です。この記事をきっかけに、ぜひ正しい意思疎通をして頂ければと思います。