百折不撓 意味 使い方 由来 類語 英語

「百折不撓」という四字熟語をご存知でしょうか?主に「百折不撓の心」「百折不撓の精神」などのように言います。

見慣れない言葉かもしれませんが、座右の銘やスローガンとして使われているほど有名なものです。最近では、ビジネスにおいて用いられることもあります。

本記事では、そんな「百折不撓」の意味や由来、使い方・類語などを解説しました。

百折不撓の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【百折不撓(ひゃくせつふとう)】

何回失敗しても志をまげないこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

百折不撓」は「ひゃくせつふとう」と読みます。意味は「何回失敗しても志をまげないこと」です。

志(こころざし)」とは、簡単に言うと「目標や信念のこと」だと考えて下さい。

例えば、ある画家が自分の絵を作り上げるために、何年もかけて作品の完成に取り組んでいたとします。途中、何度かくじけそうにもなりましたが、失敗しても絶対にあきらめはしませんでした。

そして、最終的に自分の信念を曲げずに目標とする絵を完成させたとします。このような場合に、「彼は百折不撓の精神を持っている」などと言うわけです。

「百折不撓」の心を持っている人は何回失敗したとしても自分の志を曲げません。そして、どんな困難があったとしても途中で投げ出すようなことはしません。言い換えれば、目標に向かって突き進む気持ちが人一倍強いということです。

百折不撓の語源・由来

 

「百折不撓」は、「百折」と「不撓」に分けることができる四字熟語です。

まず、「百折」は「百回(心が)折れる」と書くので、「何度もくじけること」を意味します。

そして、「不撓(ふとう)」は、「撓(たわ)む」に否定の「不」がついた「撓(たわ)まず」を略した言葉です。「撓(たわ)む」とは「心がくじける」という意味です。

よって、両者を合わせると「百折不撓」=「百回心が折れても、心がくじけない」という意味になります。転じて、「何度失敗してもくじけないほど意志が固い」という意味になるわけです。

そして「百折不撓」の由来ですが、一般的には次の二つが有力と言われています。

一つ目は、古代中国の「橋大尉碑(きょうたいいのひ)」という書物です。「橋大尉碑」の中に、次のような一文があります。

百折不撓、大節に臨みて奪うべからざるの風有り」

簡単に訳すと、「くじけない心を持ち、国の大事に望んでもびくともしなかった」という意味です。

当時の中国は、時代で言うと後漢(ごかん)の末期でした。まさに国と国が領土を争い、命がけで戦っていた時期です。その時の人物である「蔡邕(さいよう)」が、国の大事に挑む様子を記した文と言われています。

そして、二つ目は「中国の温泉堀りの話」です。

ある日、偶然にも温泉らしき泉を発見した人がいました。彼は「この泉は温泉に違いない」と確信し、専門の業者に採掘するように頼みます。

そして、実際に泉をザクザクと掘り下げてみました。ところが、いくら掘ってもなかなか温泉は出てきません。

あきらめようかと途中何度もくじけそうになりましたが、彼はあきらめせんでした。挑戦した回数は、何と100回以上です。

そしてあきらめずに掘り続けた結果、何と彼は温泉を掘り当てたのです。この話がきっかけで、百折不撓が生まれたという説です。

以上、二つの説を紹介しましたが、現在の所どちらの説が正しいかは答えが出ていません。いずれにせよ、百折不撓という言葉はくじけない心を元にした話からきているのは事実です。

百折不撓の類義語

百折不撓 類義語 対義語

続いて、「百折不撓」の「類義語」を紹介します。

鉄心石腸(てっしんせきちょう)】⇒精神や意思が堅いこと。「鉄心」は「鉄のような心」、「石腸」は「石のような内臓」を指す。
独立不撓(どくりつふとう)】⇒くじけずに、自分の力だけでやり抜くこと。「独立」は「他人に頼らない」という意味。
不撓不屈(ふとうふくつ)】⇒くじけずに、意思をつらぬくこと。「不屈」とは「意思をつらぬくこと」を表す。
七転八起(しちてんはっき)】⇒何回失敗しても、くじけずに立ち直ること。七回転んでも八回立ち上がるという意から。

いずれも共通しているのは、「意志が固い・くじけない」といった意味です。あきらめない様子を表した言葉であれば、それは類義語となります。

他には、ことわざだと「石の上にも三年」「塵も積もれば山となる」「辛抱する木に金がなる」なども類義語だと言えます。

百折不撓の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような四字熟語が挙げられます。

意志薄弱(いしはくじゃく)】⇒何かを成し遂げようとする気持ちが弱いさま。
戦意喪失(せんいそうしつ)】⇒物事に立ち向かう意思がくじけるさま。
優柔不断(ゆうじゅうふだん)】⇒何をするにも迷っていて決心がつかないさま。
薄志弱行(はくしじゃっこう)】⇒意志が弱く、物事を実行する力が弱いこと。

どちらの四字熟語も良い意味としては使われません。反対語の場合は、気持ちが弱く、物事をやり遂げる力が弱い様子を表す言葉となります。

百折不撓の英語訳

 

「百折不撓」は、英語だと次のように言います。

go through hundreds of battles

直訳すると、「百の戦いを耐え抜く」という意味です。「go through」は一般的には「通過する・経験する」などの訳ですが、ここでは「耐え抜く」という意味で使われています。

また、以下の二つも百折不撓という意味です。

「indefatigability」⇒「不屈・強固」

「indomitableness」⇒「不屈・頑強」

こちらは少し堅い文書で使われる単語なため、日常的な英文ではあまり登場しません。

百折不撓の使い方・例文

 

最後に、百折不撓の使い方を実際の例文で紹介しておきます。

  1. 東大へ合格したいのなら、百折不撓の精神が必要である。
  2. 何度失敗しても、百折不撓の覚悟で立ち向かうつもりです。
  3. 部員たちは百折不撓の覚悟で甲子園優勝を目指すつもりだ。
  4. 百折不撓の気持ちで、新商品を開発するようにしてください。
  5. 彼の意志の強さは本当にすごい。まさに百折不撓と言えるだろう。
  6. 私の座右の銘は、学生時代に培った百折不撓の精神にあります。

 

百折不撓はその人の意志の強さを表した四字熟語です。したがって、勉強やスポーツ・ビジネスなど目標があるものに対しては使いやすいと言えます。

また、自分以外にも周りの気持ちを高めるために使うこともあります。例えば、「皆で団結して勝利する」「皆で一つの目標を達成する」といった場面です。

いずれにせよ、何かの目標に対してあきらめずに志を貫くのは好ましいことです。そのため、百折不撓は基本的に良い意味として使われる四字熟語と考えて問題ありません。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

百折不撓(ひゃくせつふとう)」=何回失敗しても、志をまげないこと。

語源・由来」=「百回心が折れても、心がくじけないこと」から。

類義語」=「鉄心石腸・独立不撓・不撓不屈・七転八起」

対義語」=「意志薄弱・戦意喪失・優柔不断・薄志弱行」

英語訳」=「go through hundreds of battles」

人は生きていると心がくじけそうになる瞬間が何度かあります。そんな時はぜひ百折不撓という四字熟語を思い返してみてはどうでしょうか?