「率先垂範」という四字熟語をご存知ですか?主に組織の中でリーダーシップを発揮する場面で用いられています。
特にビジネスではよく使われており、座右の銘にしている人もいるくらいです。そのため、社会人にとっては誰もが知っておきたい四字熟語と言えます。
本記事では、そんな「率先垂範」の意味や使い方、由来・反対語などを詳しく解説しました。
率先垂範の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【率先垂範(そっせんすいはん)】
⇒先頭に立って模範を示すこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「率先垂範」は「そっせんすいはん」と読みます。意味は、「人の先頭に立って模範を示すこと」です。
例えば、あなたの上司が常に先頭に立って仕事をするタイプの人だとします。
具体的に言いますと、
- 「誰よりも先に仕事を行い、実際に手本を示す」
- 「仕事を部下に丸投げするのではなく、自ら行っていく」
- 「周りが嫌がるような大変な仕事も自ら行っていく」
といったことです。
このような上司はまさに人の先頭に立って模範を示している人物です。よって、「率先垂範して仕事をする上司」などと言うことができます。
「率先垂範」は基本的に自らの行動で周りにお手本を見せるような人に使います。「背中で語る」という言葉もあるように、人は他人の行動によって少なからず影響を受けます。
一つ一つ言葉で説明するよりも、実際に手本を見せたほうが納得させられる場合も多いでしょう。そういう意味では、率先垂範は上司が部下を教育する上で非常に理にかなった方法とも言うことができます。
率先垂範の語源・由来
「率先垂範」は、「率先」と「垂範」が合わさってできた四字熟語です。
まず、「率先」は「先を率(ひき)いる」と書くので、これは文字通り「人の先に立って物事を行うこと」を意味します。
そして、「垂範」は「模範を示すこと」です。「範」という字は、元々「竹で作った枠」という意味でした。そこから、「きまった型・見習うべき型」などの意味になり、現在では「手本」を意味する言葉として使われています。
この手本を「垂(た)らす」、つまり示すことから、「人に先立って手本を見せる」という意味の言葉ができたわけです。
以上、両者を合わせますと、「率先垂範」は「人の先に立って物事を行い、見習うべき型を見せること」というのが元々の語源となります。ここから現在の、「人の先頭に立ち、模範を示す」という意味になるわけです。
なお、「率先」を「卒先」と書くのは誤りです。「卒先」だと「先に卒業する」というよく分からない意味になってしまいます。書き間違いをしやすい漢字なので気を付けるようにしてください。
率先垂範の類義語
続いて、「率先垂範」の「類義語」を紹介します。
以上、4つの類義語を紹介しました。
率先垂範には一種のカリスマ性・リーダー気質のような意味も含まれています。したがって、部下から見て手本になる行動以外に憧れの行動なども類義語と呼べるでしょう。
一般的な言葉であれば、「やってみせる」「実演する」「模範を示す」などで言い換えても構いません。
率先垂範の対義語
逆に、対義語としては次の二つが挙げられます。
反対語の場合は、相手の悪い手本を参考にするような場合に使います。
周りにいる上司が全員が全員とも優れているというわけではありません。時には、「見習いたくない、尊敬できない」という人もいるでしょう。そのような人に対して、反面教師や他山の石を使うわけです。
率先垂範の英語訳
「率先垂範」は、英語だと次のように言います。
「set an example worth following」
それぞれの単語を説明すると、「set」は「示す」、「example」は「手本・模範」、「follow」は「従う・ついていく」、「worth ~ing」は「~する価値がある」という意味です。
直訳すると「ついていく価値があるほどの手本を示す」という意味になります。
また、次のような言い方もできます。
「take the initiative to set a good example」
「initiative」は「率先・主導権」などの訳です。この場合は「率先して良い手本を示す」という意味で考えれば分かりやすいでしょう。
率先垂範の使い方・例文
最後に、「率先垂範」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。
- リーダーやキャプテンというのは、率先垂範が求められる役割である。
- 彼は率先垂範を示す教育家なので、周りの人からも非常に尊敬されている。
- 現代の情報化社会に求められるのは、率先垂範型の指導者だと言えるだろう。
- 先生が率先垂範して毎日掃除を行うので、周りの生徒たちもサボらなくなった。
- あなたは口でばかり説明してないで、率先垂範の姿勢をもっと示すべきだ。
- 山本五十六は日本海軍の中でも、率先垂範型のリーダーだったと言われている。
- 率先垂範を全員が実行することにより、当初の目的を達成することができた。
「率先垂範」は、原則として良い意味で使われる四字熟語です。
多くの場合、ビジネスやスポーツにおける模範的な行動を対象とします。特にビジネスでは、部下に手本を見せる優秀なリーダーに対して使われやすいです。
例えば、経営の神様と呼ばれた松下幸之助は自ら率先垂範を行っていたそうです。また、ホンダの創業者である本田宗一郎も率先垂範の大切さを唱えていました。
このように、歴史に名を残す偉人は皆共通して自ら行動を起こしてきたという背景があります。それほど、ビジネスを行う上で部下に手本を見せるのは大事ということです。
実際に率先垂範を文章の中に取り入れる際には、ビジネスをする上での心構えや模範的な行動なども考慮しながら用いるのがよいでしょう。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「率先垂範」=人の先頭に立って模範を示すこと。
「語源・由来」=人に先に立って、手本を見せることから。
「類類語」=「率先励行・率先躬行・実践躬行・陣頭指揮」
「対義語」=「反面教師・他山の石」
「英語訳」=「set an example worth following」
会社などの組織に長くいると、人の上に立つ機会も多くなります。そんな時はぜひ、率先垂範することを意識してみてはいかがでしょうか?