偶然 必然 違い 対義語 英語

「偶然」と「必然」は、どちらも普段からよく目にする言葉です。ただ、よく目にしているにも関わらず、正確な意味を把握している人は少ないかと思われます。

そこで今回は、「偶然」と「必然」の違いや類義語・英語訳などをなるべく分かりやすく解説しました。

偶然の意味

 

まずは、「偶然」の意味からです。

【偶然(ぐうぜん)】

何の因果関係もなく、予期しないことが起こること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

偶然」とは「何の因果関係もなく、予期しないことが起こること」を表します。簡単に言えば、「たまたまそうなること」だと考えてください。

例えば、以下のようなことは「たまたまそうなった」と言えます。

勉強をサボった。→ 志望校に合格した。

普通であれば、勉強をサボればテストの点数は下がってしまいます。まして、志望校に合格することなどまずできないでしょう。

つまり、彼が合格したのは運が良かっただけであり、決して「サボった」から「合格した」と言うわけではありません。

このように、前後の文章に何の因果関係もないことを「偶然」と呼んでいるのです。

「因果(いんが)」とは「原因」と「結果」を指します。すなわち、「因果関係がない」とは「原因と結果がちゃんと結びついてない」という意味になります。

必然の意味

 

続いて、「必然」の意味です。

【必然(ひつぜん)】

必ずそうなること。それよりほかになりようのないこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

必然」とは、「必ずそうなること」という意味です。こちらも、先ほどの「勉強」を例にしてみましょう。

猛勉強した。→ 志望校に合格した。

この場合、合格した原因は猛勉強したからというのが分かります。サボらずに猛勉強した結果、合格できたのは言わば自然な流れです。

このように、前後の文章に因果関係があることを「必然」と呼んでいるのです。

別の言い方をすれば、原因と結果がちゃんと結びついていることを「必然」と言うことになります。

偶然と必然の違い

偶然 必然 違い 対義語

ここまでの内容を整理すると、

偶然」=たまたまそうなること。必然」=必ずそうなること。

ということでした。

両者の違いを簡単に言うと、「因果関係があるかないか」ということになります。

「偶然」の場合は、決定的な原因がありません。したがって、たまたまそうなったり、思いがけず何かが発生したりするという結果になります。

一方で、「必然」の場合は必ず決定的な原因があります。

  • 猛勉強したから、合格した。
  • 食べすぎたから、太った。
  • 走りすぎたから、疲れた。

などのように原因が必ず存在するのです。

言いかえれば、「必然」=「それ以外になりようがないこと」とも言えます。「必然」の方は原因がちゃんとあるので、「必ずそうなる」という結果になるのです。

まとめますと、

偶然」=因果関係がない。(原因と結果の流れがない)

必然」=因果関係がある。(原因と結果の流れがある)

となります。

なお、両者の意味は正反対なので、お互いが「対義語」同士となります。

偶然と必然の類義語

 

続いて、「偶然」と「必然」の類義語をご紹介します。

【偶然の類義語】

  • たまたま
  • 思いがけず
  • 偶発的
  • 予想と違って
  • 予想に反して
  • 予期せず
  • 図らずも

「偶然」の「類義語」は、「たまたま」「予想に反して」といった意味の言葉となります。この中でも、「たまたま」は「偶然」とほぼ同じ意味なので、「同義語」と考えてよいでしょう。

【必然の類義語】

  • 運命
  • 宿命
  • 命運
  • 天運
  • 自然と
  • 勝手に
  • おのずと
  • 自動的に

一方で、「必然」の方は「必ずそうなること」「自然とそうなること」を表した言葉となります。「必然」と全く同じ意味の言葉はありませんが、この中だと「運命」「宿命」などは近い意味だと言えます。

補足すると、「必然」と似たような言葉で「当然(とうぜん)」があります。「当然」とは「当たり前のこと」という意味で、間違いなくそうであろうという予想を指したものです。

例えば、「学生は勉強するのが当然だ」のように使います。

対して、「必然」は「1+1=2」のようなもので、「そうなること以外の結果がありえない」という意味です。

「必然」は「必ずそうなる」のに対して、「当然」は「必ずしもそうなるとは限らない」という点に違いがあります。

偶然と必然の英語訳

 

「偶然」と「必然」は、英語だとそれぞれ次のように言います。

【偶然の英語訳】⇒by chance」「happen to~

【必然の英語訳】⇒inevitable」「for sure

「by chance」は文の末尾につけることで、「偶然」という意味になります。また、「happen to+動詞の原形」で「たまたま~する」「偶然~する」という意味になります。

「inevitable」は「必然的な・避けられない」などの意味の形容詞、「for sure」は「確かに」という意味の熟語です。

例文だと、以下のような使い方です。

I met her by chance.(彼女に偶然出会った。)

I happened to see him at the station.(駅でたまたま彼と出会った。)

That was an inevitable result.(それは必然の結果であった。)

That’s for sure.(それは確かである。)

偶然・必然の入試での使い方

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ここまで、「偶然」と「必然」について解説してきました。これらの言葉は、実際のところ、入試ではどう使われるのでしょうか?

実は「必然」というキーワードは、「近代」「科学」「理性」などを扱った文章と密接に関わっています。

「近代」という時代は、「科学」が中心の時代でした。「科学」は「全ては原因によって生じ、原因は必ず結果を生む」という原則に支えられています。

この原則を、「因果律(いんがりつ)」と言います。つまり、世の中の原因を理性的にそして必然的に解明することが「科学」ということです。

そのため、科学や理性をテーマにした文章は、「必然」という単語が出てきやすいのです。

また、「科学」以外にも因果律の考え方はあります。例えば、「宗教」です。

日本の代表的な宗教である仏教では「因果応報(いんがおうほう)」という考え方があります。「因果応報」とは「前世での行いが原因となって現世に結果をもたらす」という意味です。

因果応報について書かれた文章も、「必然」「偶然」というワードは当然使われることになります。なぜなら、原因と結果が大事になるテーマだからです。

もちろん、科学や宗教に限らず、入試では様々なテーマの文章が出されます。

そこでは、「AだからBである」「BなのはAだからだ」といった記述がされることが多いです。文章に必然性を持たせるのはそれだけ大事ということです。

私たち読み手としては、こうした因果関係に着目できるかどうかが読解のポイントになります。

偶然・必然の使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を実際の例文で紹介しておきます。

  1. いつも通り駅に向かうと、中学時代の友人に偶然出会った。
  2. 努力している人が成功するのは、決して偶然のことではない。
  3. 親戚の人が家にやって来たが、偶然にも母は外出中であった。
  4. 悪いことをすると処罰されるというのは、必然的なことだ。
  5. 4人のうち3人が部屋から出てきたので、残りは必然的に1人となる。
  6. 占いは必然性があるわけではないが、多くの女性を魅了するものだ。

 

※「偶然」と「必然」は、「偶然的・必然的」「偶然性・必然性」などのように使われる場合もあります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

偶然」=たまたまそうなること。(因果関係がない)

必然」=必ずそうなること。(因果関係がある)

類義語」=「たまたま・思いがけず・偶発的」-「運命・宿命・自然と」など。

英語訳」=「by chance」「happen to~」-「inevitable」「for sure」

「偶然」と「必然」は様々な文章で登場します。途中、難しい内容もはさみましたが、受験生にとっては必須の重要単語です。ぜひ内容を正しく理解して頂ければと思います。