一路平安 意味 使い方 例文 類義語 英語訳 対義語

「一路平安」という四字熟語をご存知でしょうか?

元々は中国語を由来とするものですが、現在では家族や友人などが旅行に行く際によく使われます。ただ、具体的にどのように使うのか分かりにくいと感じる人も多いようです。

そこで今回は、「一路平安」の意味や語源、使い方・例文などを含め詳しく解説しました。

一路平安の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【一路平安(いちろへいあん)】

⇒《中国語で「道中ご無事で」の意》旅立つ人の道中の無事を祈る言葉。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

一路平安」は、「いちろへいあん」と読みます。

意味は「旅立つ人の道中の無事を祈ること」です。

主に旅行へ行く前の相手に対して旅立ちの挨拶をするような時に使われます。

例えば、自分の友人が明日からどこかへ旅行に行くとしましょう。しかし、場合によっては友人が旅先で事故などに遭ってしまうという可能性もなくはありません。

そんな時に、相手に対して「無事でありますように」という想いを込めて「一路平安を祈ります」などと言うわけです。

つまり、この四字熟語を簡単に言うと「旅行中の安全を願う言葉」ということになります。

一路平安の語源・由来

 

「一路平安」は、中国・清朝中期の乾隆帝(けんりゅうてい)の頃に書かれた長編小説、『紅楼夢(こうろうむ)』に由来します。

『紅楼夢』は長編の恋愛小説で、御曹司・賈宝玉(かほうぎょく)と12人の美女達との様子を描いた物語です。

華やかな貴族達の栄華と衰退、男女の繊細な心理描写などが優れており、中国小説史上最大傑作の一つと言われています。その傑作ぶりから、中国版の『源氏物語』とも呼ばれているほどです。

本作品の中で、「一路平安」という四字熟語は別れの挨拶として登場しています。

一路」とは「一つの路(みち)」、「平安」とは「平和で安定していること」から、「旅先が無事でありますように」という意味で使われています。つまり、これが今もなお使われている「一路平安」の正式な由来ということです。

現在のように車や電車などの移動手段がなかった当時は、歩くことが主な移動手段でした。そのため、生身の状態で歩くことは旅先で強盗にあったり野生動物に襲われたりと常に危険が伴うことになります。

ゆえに、「旅行」=「危険が伴うもの」という認識が広がり、「一路平安」が使われていたのです。「一路平安」の由来を紐解いていくと、「大切な人を想う気持ち」だけでなく、当時の社会情勢が込められた四字熟語であることが分かるでしょう。

なお、「一路平安」は「中国語」だと「イールーピンアン」と発音します。

一路平安の類義語

一路平安 類義語 言い換え 対義語

続いて、「一路平安」の「類義語」を紹介します。

一路順風(いちろじゅんぷう)】⇒旅先の無事や安全を願う言葉。「順風」は「船の進む方向に吹く風」を指すので、「帆船が追い風を受け、勢いよく進む様子」を表す。
渡航安全(とこうあんぜん)】⇒旅先の安全を祈る言葉。「渡航」とは「船や飛行機で海外へ行くこと」を表す。
平安一路(へいあんいちろ)】⇒旅立つ人の無事を祈る言葉。「一路」と「平安」を入れ替えただけの四字熟語。

基本的には、「旅先での無事を祈る」という意味であればすべて類義語だと言えます。ただ、「一路平安」の場合は、陸・海・空すべての移動を含んだ四字熟語ですが、類義語の場合は必ずしもそうとは限りません。

例えば、「一路順風」は陸旅ではなく、船旅において渡航人が無事であるようにという意味の四字熟語です。

また、「渡航安全」も陸路ではなく船や飛行機など海路で旅をする人の無事を祈る四字熟語です。この点が、「一路平安」とはわずかに異なります。

最後の「平安一路」は前後を入れ替えただけの四字熟語なので、「一路平安」と全く同じ意味です。したがって、「同義語」だと考えて問題ありません。

一路平安の対義語

 

逆に、「対義語」としては以下の四字熟語が挙げられます。

艱難辛苦(かんなんしんく)】⇒困難な状況や辛い思いをして、苦しみ悩むこと。
前途多難(ぜんとたなん)】⇒行く先や将来に、多くの困難や災難があること。

「一路平安」は相手の無事を願うことでした。したがって、反対語は「無事でないこと」すなわち「困難な状況にあること」を意味する四字熟語となります。

一路平安の英語訳

 

「一路平安」は、英語だと次のような言い方があります。

①「Have a good trip.

②「Have a nice journey.

③「Have a nice travel.

①~③、どれも「よい旅を」と相手に投げかけるような時に使う表現です。

それぞれの違いですが、まず「trip」は「(短めの)旅行」という意味です。主に週末や連休などを利用して、国内・国外を問わず短期的に旅行をするときに使われます。

また、「journey」は「(長い)旅行」という意味です。「journey」は旅行の移動時間を表す時に使われ、普段の会話では「旅行」というよりも「旅」に近いニュアンスで使われます。

最後の「travel」は、旅行全般を指し、短期・長期どちらでも使うことができますが、一般的には長期の旅行を指すことが多いです。その他、「移動する」というニュアンスを強調したい時にも「travel」は使えます。

一路平安の使い方・例文

 

最後に、「一路平安」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 彼らはお互いの一路平安を祈ってから、最後に別れることにした。
  2. 留学する生徒たちに向けて、先生から一路平安の言葉が贈られた。
  3. 明日からグアム旅行へ出かけるらしいね。一路平安を祈っているよ。
  4. 海外へ単身赴任する夫へ、一路平安を祈っていることを伝えました。
  5. 母は僕に対して、一路平安を祈るように手を振って送り出してくれました。
  6. 私達が贈る言葉はただ一つ、「一路平安」です。皆様の無事を祈っています。
  7. 一路平安」。旅先で何か不測の事態が起こらないように願っています。

 

「一路平安」は旅先の相手の無事を祈ったり願ったりする時に使います。使い方としては、語尾に「~を祈る」「~を願う」などを付けるのが一般的です。

日本語訳にすると、「道中ご無事で」「気をつけて」などの表現がピッタリと当てはまります。これらの意思を相手に伝えたい時に、「一路平安」を使うのが適切だと言えます。

ただ、現在では昔ほど旅先の危険さが薄れたということもあり、ビジネスシーンで「一路平安」を使うこともあります。その場合は、「ビジネスでの成功を祈ります」というニュアンスも込めて使うのが一般的です。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

一路平安(いちろへいあん)」=旅立つ人の道中の無事を祈ること

語源・由来」=中国・清朝中期に書かれた小説『紅楼夢(こうろうむ)』から。

類義語」=「一路順風・渡航安全・平安一路」「対義語」=「艱難辛苦・前途多難」

英語訳」=「Have a good trip.」「Have a nice journey.」「Have a nice travel.」

交通手段が発達した現代でも、旅先では何が起こるか分かりません。あなたにとって大切な人の無事は当然祈りたいものです。そんな時は、「一路平安」という四字熟語を使ってみてはどうでしょうか?