「満員御礼」という四字熟語をご存知でしょうか?イベントや興行などの催し物によく使われる言葉でもあります。
漢字だけを見ると、「満員」が入っているので何となくのイメージは持てるかもしれません。ただ、この四字熟語の意味を誤解している人も多いようです。
そこで今回は、「満員御礼」の意味や由来、類義語などを含め詳しく解説しました。
満員御礼の読み方・意味
まずは、読み方と意味からです。
「満員御礼」は「まんいんおんれい」と読みます。「御礼」は「おれい」と読みがちですが、正しくは「おんれい」と読みます。
意味は「入場者が一定数以上に達したことへ感謝すること」を表した言葉です。
例えば、野球やサッカー、コンサートなどの入場者が予想以上に来てくれた場合、主催者側としては当然喜ばしいことだと言えます。
このような時に、観客に向けて「来てくれてありがとう」という意味で「満員御礼」を使うわけです。要するに「満員御礼」とは「開催者が来場者に対して感謝の意を込めた言葉」ということになります。
一点だけ補足しますと、「満員御礼」は必ずしも観客が満員である必要はありません。
後に詳しく解説しますが、本当に満員になった時は「札止め」という言葉を使います。そのため、あくまで一定数以上に達した意味を持つのが「満員御礼」ということになります。
満員御礼の由来・語源
「満員御礼」は、大相撲の世界から生まれた言葉です。
相撲が行われる場所、両国国技館では約1万人の収容スペースがあります。この約1万人の90%以上、すなわち、だいたい9000人以上の観客が入った日を「満員御礼」と言っていました。
そしてさらに、完全に満員になった場合は、「札止め(ふだどめ)」とも言っていました。「札止め」とは「観客が一杯なので、もう入場できませんよ」という意味の禁止の札を指します。これらの言葉は大相撲が発展していくと共に使われるようになったものです。
現在では相撲に限らず、スポーツイベントや音楽イベント、飲食イベントなど様々な興行に対して「満員御礼」は使われています。それらも全て日本の国技である相撲が由来ということです。
なお、相撲の場合は入場率90%以上が目安となっていますが、他の業界では必ずしもそうとは限りません。85%以上の場合もありますし、95%以上の場合もあります。言い換えれば、「満員御礼」という言葉自体に明確な基準や定義があるわけではないということです。
満員御礼の類義語
続いて、「満員御礼」の「類義語」を紹介します。
「満員御礼」を言い換えた語はいくつかありますが、「同義語」というのはありません。基本的には「人や客がたくさん来て、にぎわっている様子」を表したものとなります。
「商売繁盛」は文字通り商売が繁盛している様子を表した四字熟語です。必ずしも客がたくさん来るというわけではなく、売上を多く達成していれば使うことのできる言葉です。
「千客万来」は「たくさんの客がやってくること」を表した四字熟語です。実際に千人や万人の客が数字通り来るというわけではなく、「千」と「万」を重ねることにより、お客の多さを強調しています。
「門前成市」は「門の前に市場が成立する」と書くので、門前が商人や客であふれかえる様子からできた四字熟語です。転じて、権威や名声が盛んなことを表す際にも使われます。慣用句的な表現で、「門前市を成す」と言うこともあります。
満員御礼の対義語
逆に、「対義語」としては次の言葉が挙げられます。
「門前雀羅」は「網を張ってすずめを捕まえられるほど、門の前に人が全くいない様子」からできた四字熟語です。転じて、人の気配がなく誰も訪れる様子がないことを表します。反対語はこのように、人がいなくて物寂しい様子を表した言葉となります。
満員御礼の英語訳
「満員御礼」は、英語だと次のように言います。
「Thank you for giving us a full house today.」
直訳すると「私たちに家一杯の今日を与えてくれてありがとう」となります。つまり、「会場を満員にしてくれてありがとう」という意味です。
英語では「御礼」のことを「thank you(ありがとう)」で言い表します。その後に「~を与えてくれて」と続くのが一般的です。また、もっとくだけた言い方だと次のような言い方をすることも可能です。
「Sold out, thank you!」
これは「満席だよ、ありがとう!」という意味の表現です。コンサートや講演などのチケットが売り切れた時によく使う一文です。決まり文句のように使うので覚えておくとよいでしょう。
満員御礼の使い方・例文
最後に、「満員御礼」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 大相撲の千秋楽は、予定通り「満員御礼」の垂れ幕が下がった。
- 力士達の白熱した取り組みを見ようと、今日は満員御礼となった。
- 明日は満員御礼の講座として有名な先生の授業を受けるつもりです。
- 大相撲では満員御礼になると、大入袋と呼ばれる袋が関係者に配られる。
- そのセミナーは巷のうわさ通り満員御礼でした。参加して良かったです。
- 今夜のイベント会場はおかげさまで満員御礼となりました。感謝しています。
- 人気アイドルのライブ会場に行ってきたが、満員御礼どころか札止め状態であった。
「満員御礼」は大相撲だけではなく、スポーツやコンサートのような催し物、セミナーなどの講演会などに対しても使われます。したがって、人を集めて何かを行うものであれば、基本的に対象となる言葉だと考えて構いません。
使い方としては主に、「主催者側」と「来場者側」の二つの観点に分かれます。「主催者側」が使う時は「たくさんの来場客に対して感謝する」という意味で、「来場者側」が使う時は「人が大勢来ている」という客観的な状況を表す意味で使われます。
どちらの意味としても使えますので、場面によってうまく使い分けるようにして下さい。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「満員御礼」=入場者が一定数以上に達したことに感謝すること。
「語源・由来」=大相撲で一定以上の来場があった時に使われたことから。
「類義語」=「商売繁盛・千客万来・門前成市」「対義語」=「門前雀羅」
「英語訳」=「Thank you for giving us a full house today.」「Sold out, thank you!」
「満員御礼」はビジネスをやっている人であれば、今後使う機会があるかもしれません。その時はお客さんへの感謝の意も込めてぜひ使ってみて下さい。