齢 意味 使い方 読み方 漢字 成り立ち

「齢」という言葉は、「50にして~」などのように人の年齢に対して使います。また、慣用句的な表現だと「齢を重ねる」とも言います。

ただ、具体的にどのような場面で使うのかが分かりにくいです。そこで本記事では、「齢」の意味や読み方、使い方、類語などを分かりやすく解説しました。

齢の意味・読み方

 

まずは、基本的な意味と読み方からです。

【齢(よわい)】

生まれてから重ねてきた年数。年齢。

年配。年ごろ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

」は「よわい」と読みます。

意味は、「生まれてから重ねてきた年数」のことです。簡単に言えば、「年齢・年ごろ」という意味です。

例えば、「彼は50にして、人生の真理を悟った。」などのように用います。この場合は、「50歳という年齢になって真理を悟った」という意味です。

このように、人の年齢について表すよう時に「齢」を使うことになります。

「齢」は、一般に改まった場面やおごそかな場面で使います。

具体的には、

  • 硬い内容の書物
  • 難しい内容の論文
  • 近代的な小説文

といったものです。

私たちが普段から目にするのは、小説文が多いでしょう。いずれにせよ、「齢」は日常会話ではあまり使いません。

また、辞書の説明(②)にもある通り、「齢」は「年配」の人に使うことが多いです。「年配(ねんぱい)」とは「およそ50歳以上の年齢のこと」を指します。

要するに、「子供や若い人に対しては基本使わない」ということです。あくまで、ある程度年をとった中年以上の人に使う言葉となります。

齢の漢字の成り立ち

 

「齢」という漢字は、「年齢」の「齢」と同じ漢字です。

元々この漢字は、「齢」ではなく「」と書いていました。注目すべきは、左側の部首です。

左側の部首の下部分は、「」と書き「口の中に歯が並ぶ」という象形文字です。そして、上部分は「止める」と書きます。

ここから、「入ってくる食べ物を止める」という意味で「歯」が作られました。

考えてみれば、「歯」というのは年を取るにつれて変化していきます。

例えば、幼少期は歯が新しく生え変わったり、成長期だと親知らずが生えたりします。そして、老齢期になると当然歯が抜け落ちたり欠けたりもします。

つまり、「歯」は年齢を重ねることにより変化するものなのです。この事から、「」=「人間の年齢」を指すようになったと言われています。

古代中国の人は、大昔から歯の状態が人間の生きた年数を表すことに気づいてたということです。

ちなみに、右側の部首の「」は「頭上の冠とひざまずく人」を表した象形文字です。

ここから、「令」=「立派な・清らか」などの意味を持つようになりました。

「立派な歯」というのは、「等間隔にきれいに並んだもの」です。一方で、「年数」というのも「等間隔に刻み込まれるもの」です。

転じて、「年数」を表す「齢」という字が完成したと言われています。

齢の類義語・慣用句

齢 類義語 慣用句

「齢」の類義語は、以下の通りです。

年頃(としごろ)】=外見から判断した年齢。だいたいの年齢。
年歯(としは)】=年齢のほど。年齢。
年算(ねんざん)】=年齢。年。齢。
年の頃(としのころ)】⇒だいたいの年齢。おおよその年。
年輩(ねんぱい)】⇒年齢のほど。おおよその年。中年。
年季(ねんき)】⇒年を重ねた年数。「年季の入る」などと言う。
高齢(こうれい)】⇒年老いていること。年老いた年齢。
馬齢(ばれい)】=自分の年齢を謙遜して言う語。

共通しているのは、「人の年齢を表した言葉」ということです。

「齢」の類義語は数多くありますが、この中だと「年頃」「年歯」「年輩」などは比較的よく使われます。

いずれも普通の年齢ではなく、中年以上の年齢の人に対して使うことが多いです。

最後の「馬齢」は、自分の年齢を謙遜するような時に使い、主に「馬齢を重ねる」「馬齢を加える」などと言います。

他人が年を取ることに対しては使わないので注意してください。

なお、慣用句だと「年が行く」「年季が入る」なども類義語と呼べるでしょう。

齢の使い方・例文

 

最後に、「齢」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 50にして、ついに彼の才能が開花したようです。
  2. よく見たら、まぎれもなくは60を超えた男の顔であった。
  3. を重ねるごとに、自分の経験が増えていくのが分かります。
  4. 老人は、現在のになるまで一度も怒ったことがないらしい。
  5. 60にして孫を持つようになり、非常にうれしい限りです。
  6. 彼はだてにを重ねた経験者ではないという印象だ。
  7. をとらない人間というのは、この世にいないと言える。

 

「齢」は、現在の年齢を表す時に使うので、語尾に「~にして」がつくことが多いです。

通常の語尾でも問題ありませんが、現在進行形の印象を与える語である「~にして」を後ろに付けるのが自然な文となります。

また、よくある書き間違えとして「齢50歳にして~」がありますが、後ろに「歳」を付けるのは重複表現となるので気をつけてください。

「齢」には、この言葉自体に「〇〇歳」という意味が含まれています。そのため、あくまで「齢50にして~」などのように後ろは年齢を表す数字のみを書くようにします。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

齢(よわい)」=生まれてから重ねてきた年数。年齢・年ごろ。

「使い方」⇒改まった文・小説文などで使う。

「類義語」=「年頃・年歯・年算・年の頃・年輩・年季・馬齢」など。

人の年齢を表す語はいくつかあります。「齢」というのはその中でも、中年以上を対象とし、なおかつ改まった文章で使われる語だと覚えておきましょう。