馬の骨 意味 使い方 語源 由来 類語 英語

「馬の骨」という慣用句を聞いたことがあるでしょうか?

主に、「どこの馬の骨とも分からない」などのように用いられます。ただ、具体的な語源や使い方が分かりにくい表現でもあります。

そこで本記事では、「馬の骨」の意味や由来、類語などを含め詳しく解説しました。

馬の骨の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【馬の骨(うまのほね)】

素性の分からない者をあざけっていう語。

出典:三省堂大辞林 第三版

馬の骨」は、「うまのほね」と読みます。意味は「素性の分からない者をあざけっていう語」を表したものです。

「素性(すじょう)」とは「生まれや育ち、家柄」、「あざける」とは「バカにすること」を意味します。

例えば、娘が父親に自分の結婚相手を紹介する際に、彼氏がどこの育ちか分からないようなことはよくあります。このような場面では、父親が「どこの馬の骨とも知らない男には、娘をやらん」などのように言うことがあります。

つまり、どこで育ったか分からないような者をバカにした慣用句が「馬の骨」ということです。

「馬の骨」は基本的には悪口なので、相手を否定するような場面でしか使われません。よく知らない相手の事を悪く言うような時に使われます。

馬の骨の語源・由来

 

馬の骨」は、かつて中国で使われていた「一に鶏肋(けいろく)、二に馬骨」という言葉が元になっています。

「鶏肋」とは「鶏の肋骨」のことで、小さすぎて役に立たないものを表します。そして、「馬骨」は「大きすぎて役立たない上に処分に困るもの」という意味です。

「馬の骨」などを持っていても、何の使い道にもならないですし邪魔にしかなりません。この事から、次第に「馬の骨」は「誰にも必要とされず、役に立たない厄介者」という意味で使われるようになりました。

そこから派生して、現在では「いい大人なのに職業が不明の人」「正体不明な人」などの意味で使われているのです。

ここでポイントなのは、「骨」には「人柄」という意味も含まれている点です。「」は、「気骨」「老骨」などの言葉があるように、体の一部ではなく「人柄」を表すこともできます。そのため、この場合は「人」に対して使われているのです。

以上の事から考えますと、「馬の骨」という言葉は、元々は馬の骨を指していたものが、次第に人を例えるようになった結果、今の形になったものだと言えます。

なお、古くは「馬の骨」ではなく、「牛の骨」という慣用句もあったそうです。馬も牛も、どちらも人間にとってなじみのある動物です。しかし、どちらの骨も、持っているだけでは何の役に立ちません、そのため、「馬の骨」も「牛の骨」も同じような意味として考えれば問題ありません。

馬の骨の類義語

馬の骨 類義語 言い換え 対義語

続いて、「馬の骨」の類義語を紹介します。

正体不明(しょうたいふめい)】⇒本当の姿が明らかでないこと。「正体」とは「本当の姿」、「不明」とは「明らかでないこと」という意味。
身元不明(みもとふめい)】⇒住所や生まれなどが明らかでないさま。「身元」とは「生まれや境遇などの現在までの経歴」という意味。
素性が知れない(すじょうがしれない)】⇒人の生まれ育ちが分からないこと。「素性」は「人や物の由緒・由来」という意味。
得体の知れない(えたいのしれない)】⇒正体がよく分からず怪しい、胡散臭い。「得体」とは「真の姿や考え・本当のこと」という意味。

「類義語」は、相手のことが何も分からない様子を表した言葉となります。生まれや育ち、本当の姿などが不明な時に、これらの言葉を使います。いずれも、良い意味で使われるものではありません。

馬の骨の英語訳

 

「馬の骨」は、英語だと次のように言います。

person of doubtful origin(馬の骨)」

nobody knows~(誰も知らない)」

「person」は「人」という意味です。続く「doubtful」は「疑わしい」、「origin」は「素性」という意味なので「person of doubtful origin」で「疑わしい素性の人」と訳すことができます。

また、「Nobody」は「誰も~ない」、「knows」は「知っている」という意味です。そのため、「誰も知っている人がいない」と訳すことができます。

例文だと、以下のような言い方です。

He is so upsets because they said he is a person of doubtful origin.(彼はどこの馬の骨か分からないと言われて、とても怒っていた。)

Nobody knows where does she come.(彼女がどこの出身か誰も知りません。)

馬の骨の使い方・例文

 

最後に、「馬の骨」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 以前家に来た男は、どこの馬の骨とも分からない奴だ。
  2. さっき娘と一緒にいた男は、一体どこの馬の骨の者だ?
  3. 取引相手がどこの馬の骨か、しっかりと調べてきなさい。
  4. どこの馬の骨とも分からない相手に、名乗りはしないつもりだ。
  5. 一体どこの馬の骨にそそのかされて、こんな借金を作ったんだ?
  6. こんなどこの馬の骨とも知らない奴に、跡目は継がせられない。

 

「馬の骨」は、例文のように自分の娘の交際相手に対して使われることが多い慣用句です。娘の交際相手というのは、いずれは自分の家族になるかも知れない相手です。

本来ならば信頼を置くべき人物なのに、相手のことが何も分からないと不安になってしまいます。そうした状況で用いることで、「相手に対して、自分は不信感を抱いている」ということを伝えられる表現だと言えます。

なお、「馬の骨」は相手に対する悪口なので、使う相手や場面を間違えるとトラブルの原因になってしまいます。職場などの公の場で口にしたり、親しい知り合いに対して使ったりすることはしない方が無難でしょう。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

馬の骨」=素性の分からない者をあざけっていう語

語源・由来」=中国の「一に鶏肋、二に馬骨」という言葉から。

類義語」=「正体不明」「身元不明」「素性が知れない」「得体の知れない」

英語訳」=「person of doubtful origin」「nobody knows」

「馬の骨」は簡潔なので使いやすい慣用句です。一方で、使う相手や場面には注意しておきたいです。ぜひ正しい場面でこの言葉を使って頂ければと思います。