笑止千万 意味 語源 使い方 類語 英語訳

「笑止千万」という四字熟語をご存知ですか?

見慣れない言葉かもしれませんが、実は日常会話でもよく用いられているものです。ただ、具体的な由来が分かりにくい四字熟語でもあります。

そこで本記事では、「笑止千万」の意味や由来、使い方・反対語などを詳しく解説しました。

笑止千万の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【笑止千万(しょうしせんばん)】

非常にばかばかしいこと。きわめておかしいこと。また、そのさま。

いかにも気の毒なさま。

出典:三省堂 大辞林

笑止千万」は「しょうしせんばん」と読みます。よくある読み間違いとして、「しょうしせんまん」「しょうしせんぱん」などがありますので注意してください。正しくは、「しょうしせんん」という読み方です。

笑止千万」とは簡単に言うと「非常にばかばかしいこと」を表した四字熟語です。人の発言や行動、態度などがバカらしい様子を表す際に使われます。

例えば、学校一成績の悪いことで有名な生徒がいたとしましょう。テストでも毎回赤点を取るようなどうしようもない生徒です。

しかし、そんな出来の悪い生徒が皆の前で「俺は東大を目指す」などと発言したとします。周囲の人からすれば、バカバカしくて相手にしてられません。

このような話は、まさに「笑止千万である」と言うことができます。

「笑止千万」は、基本的に度の過ぎたバカバカしい言動を対象とします。逆に言えば、相手がとんでもないバカげた言動をしない限り使わない四字熟語ということです。

補足しますと、辞書の説明だと「笑止千万」=「②気の毒なさま」という意味も書かれていますが、この意味で使われることは現在はほとんどありません。したがって、あえて②の意味を覚える必要はないと言えます。

笑止千万の語源・由来

 

笑止千万」は「笑止」と「千万」が合わさってできた四字熟語です。まず「笑止」は「いがまらない」と書くので、「おかしいこと・ばかばかしいこと」などを表します。

一方で、「千万」は元々「数が極めて多い」という意味でした。これは数字の「千」や「万」などと同じ意味から来ています。転じて、現在では「物事の程度が甚だしい様子」という意味で使われています。

整理しますと、「笑止千万」は「おかしいこと」と「程度が甚だしい様子」から成る四字熟語ということになります。したがって、「非常にばかばかしい様子」という意味になるわけです。

なお、「笑止千万」の「笑止」の方はずっと昔からあった言葉というわけではありません。「笑止」は、元々「勝事(しょうし)」から来た「当て字」でした。

「当て字」とは、本来の意味を無視して作った漢字が一般的に広まったものです。つまり、本来は「勝事」の方が使われていたということになります。

「勝事」は「めったに見られないほど素晴らしい」という意味でした。人間は、あまりに素晴らしいシーンを目にすると、逆に笑いが出てしまうことがあります。

ここからだんだんと、「勝事」⇒「笑止」になっていったと言われています。現在では意味を分かりやすくするために「勝事」ではなく、当て字の方の「笑止」を使っているということです。

笑止千万の類義語

笑止千万 類義語 言い換え 対義語 反対語

続いて、「笑止千万」の類義語を紹介します。

噴飯物(ふんぱんもの)⇒おかしくてたまらないこと。食べかけの飯を噴き出す様子から。
失笑噴飯(しっしょうふんぱん)⇒おかしくて噴き出し笑うこと。「失笑」は「思わず笑ってしまうこと」、「噴飯」は「食べかけの飯を吹き出すこと」を表す。
片腹痛い(かたはらいたい)⇒おかしくてたまらないこと。無謀な挑戦をする人をバカにするような場合に使う。
チャンチャラおかしい⇒笑いたくなるほど、ばかばかしいこと。「ちゃる」は「ふざける」が語源と言われている。
臍(へそ)で茶を沸かす】⇒ばかばかしくてしょうがないこと。おかしくてたまらないこと。昔は人のへそをバカにして笑いにしていたことから。

以上、5つの類義語を紹介しました。基本的には「おかしくてたまらない様子」であれば類義語となります。この中では「片腹痛い」が最も意味が近く、笑止千万の同義語と言ってもよいです。

その他、ことわざだと「へそで茶をわかす」などもよく使われる表現です。一般的な語であれば「ばかばかしい・くだらない」などの語で言い換えることも可能です。

笑止千万の対義語

 

「笑止千万」の対義語と呼ばれるものは特にありません。しいて挙げるならば、以下のような語で言い換えることはできます。

  • 表情のない
  • 無表情の
  • 無感情の
  • 人間味のない
  • 感情のない
  • 喜怒哀楽のない

笑いに限らず、すべての感情の対極にあるのは「無感情」です。したがって、「笑い」の反対語は「怒り」でも「悲しみ」でもなく、何も感じないことを表す語となります。

笑止千万の英語訳

 

「笑止千万」は、英語だと次のように言います。

highly ridiculous

「highly」は「非常に・とても」、「ridiculous」は「ばかげた・ばかばかしい」などの意味です。両者を合わせることで、「非常にばかばかしい」⇒「笑止千万」と訳すことができます。

例文だと、以下のような言い方です。

His story was highly ridiculous.(彼の話は笑止千万だった。)

英語では「笑い」に対して、「laugh」や「smile」などを使うのが一般的です。しかし、「笑止千万」の場合は普通の笑いではなく、とんでもなくバカげた笑いということでした。

そのため、前に「highly」をつけて「ばかばかしい様子(ridiculous)」を強調した表現とします。

笑止千万の使い方・例文

 

最後に、「笑止千万」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 運動オンチな彼がアスリートを目指すなんて笑止千万だわ。
  2. 偏差値50から東大を目指すなんて笑止千万な発言はやめてくれ。
  3. 食いしん坊で有名なあなたが断食をする?笑止千万な話だね。
  4. 何の経験もない彼が社長を目指すなんて無謀だ。笑止千万だよ。
  5. UFOと会って会話をしただって?バカバカしい、笑止千万なことを言うな。
  6. 君たちは本当にくだらないことでケンカしているね。まさに笑止千万だ。
  7. 仲直りしたと思ったらまた喧嘩かい?笑止千万とは君たちのことだよ。

 

笑止千万は、例文のように相手を馬鹿にしたり軽蔑したりするような際に使われます。そのため、基本的に良い意味として使われることはありません。

ビジネスなどでも使うことはできますが、どちらかというと日常会話の中で用いられることが多いです。日常会話の中で、バカげた行為をする人、呆れた行いをする人などに対して使います。

なお、この四字熟語を使う際には相手を十分に注意して選ぶ必要があります。もしも使う場合は、相手を慎重に選び、くだけた場面やおちゃらけた場面など限定的な場面にしておくのが無難です。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

笑止千万(しょうしせんばん)」=非常にばかばかしいこと。きわめておかしいこと。

語源・由来」=「勝事(めったに見られないほど素晴らしい)」+「千万(程度が甚だしい)」から。

類義語」=「噴飯物・失笑噴飯・片腹痛い・チャンチャラおかしい」

英語訳」=「highly ridiculous」

一言で「笑い」と言っても「大笑い」「苦笑い」「愛想笑い」など様々な種類があります。笑止千万とは、その中でも人をバカにするような笑いを表す四字熟語だと覚えておきましょう。