「そっこう」という言葉は、次のように多くの漢字が使われています。
「速攻で得点する」「即効性のある薬」「即行で帰る」「速効型のインスリン」
これらの使い分けは、一体どのように行えばいいのでしょうか?今回は「そっこう」の違いについて詳しく解説しました。
速攻の意味
まずは、「速攻」の意味からです。
【速攻(そっこう)】
①競技・試合などで、相手にすきを与えず機敏に攻撃すること。また、そのような攻撃。
②すぐさま。ただちに。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「速攻」には二つ意味があります。一つ目は、「すばやく攻めること」という意味です。
この場合は、主にスポーツやゲームにおいて使われます。野球で言えば、先頭打者ホームラン、サッカーで言えば開始5分で得点といったようなイメージです。
そして二つ目は、「すぐさま・ただちに」という意味です。
この場合は、日常生活においてよく使われます。上記の例文だと、「帰宅してすぐに遊ぶ」といった意味です。
二つの意味を紹介しましたが、どちらかと言うと後者の「すぐさま・ただちに」という意味として使われることの方が多いです。
即効の意味
次に、「即効」の意味です。
【即効(そっこう)】
⇒すぐにききめが現れること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「即効」とは「すぐにききめが現れること」を言います。
「即効」は、一般に薬などの治療薬に対して使われることが多いです。
「即効」の「効」は、「効果」の「効」から来ています。そのため、「効果が即出る」という意味で、「即効」と書くわけです。
また、場合によっては、「即効」は薬以外に使うこともあります。
【例】⇒即効で小顔になるマッサージを行う。
こちらの用例も念のため覚えておくことをおすすめします。
速効の意味
続いて、「速効」の意味です。
【速効(そっこう)】
⇒ききめがはやく現れること。⇔遅効。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「速効」とは「はやくききめが現れること」を言います。
「速効」は、農学や医学、歯学などの専門用語として使います。「速効性肥料」とはまいてから、すぐに効果があらわれる肥料のことです。
要するに、植物の発育や成長を調節するために使う肥料ということです。「速効」は専門用語なため、日常生活で使うケースはほぼないと考えて問題ありません。
ちなみに、「速効」の対義語は「遅効(ちこう)」と言います。「遅効」とは「しばらく時間がたってから効果が表れること」を意味します。
即行の意味
最後に、「即行」の意味です。
【即行(そっこう)】
①すぐ行うこと。即座に実行すること。
②「速攻」の②と同じ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「速攻」の意味は二つあります。一つ目は、「その場ですぐ行うこと」という意味です。
災害というのは、いつ襲ってくるか分かりません。そのため、今すぐに対策を行い、しっかりと備えるということです。
そして二つ目は、「すぐさま・ただちに」という意味です。この意味の場合は、「速攻」の②の意味(すぐさま・ただちに)と同じになります。
ただ、「即行」は「速攻」とは異なり、後者の「すぐさま・ただちに」という意味で使われることは少ないです。前者の「すぐ行うこと・即座に実行すること」という意味で使われることの方が多いです。
速攻・即効・速効・即行の違い
ここまでの内容を整理すると、
「速攻」=すばやく攻めること。すぐさま・ただちに。
「即効」=すぐにききめが現れること。
「速効」=はやくききめが現れること。(専門用語)
「即行」=その場ですぐ行うこと。すぐさま・ただちに。
ということでした。
それぞれの違いは、二つのグループに分けると理解がしやすいでしょう。
一つ目のグループは「速攻」と「即行」です。
両者は、どちらも「すぐさま・ただちに」という意味がありました。したがって、この意味で使う場合は、特に違いを気にする必要はありません。
ただし、それ以外の意味で使う場合は、
「速攻」=スポーツやゲームなどに対して使う。
「即行」=対策などすぐ行うべきものに対して使う。
と覚えておきましょう。
覚え方としては、「速攻」は「攻める」と書くので誰かと戦うイメージ、「即行」は「行う」と書くので、何かを行うイメージのように語源から覚えるのがよいです。
そして二つ目のグループは、「即効」と「速効」です。
この二つの違いは、
「即効」=一般用語として使う。
「速効」=農学や医学・歯学などの専門用語として使う。
と覚えると分かりやすいです。
「速効」は、「速効型のインスリン注射」「速効性の麻酔薬」のように専門的な用語として使います。一方で、「即効」は同じ薬でも薬局で手に入るような一般的な物に対して使うのです。
なお、言葉の意味だけで比較すると「即効」は「すぐに効果が出ること」、「速効」は「はやく効果が出ること」という違いもあります。
どちらも似たような意味ですが、「即効」の方が効果が出るスピードがはやいというわずかな違いがあります。ただし、一般的には「専門用語かそうでないか」で使い分けをすれば問題ありません。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を具体的な例文で紹介しておきます。
【速効の使い方】
- 彼は速攻を得意とする攻撃型プレイヤーだ。
- 先頭打者ホームランにより、速攻で得点された。
- 友人にメールを送信したら、速攻で返ってきた。
【即効の使い方】
- 電車内でお腹が痛くなったため、即効性の下痢止めを飲んだ。
- 公共事業は、景気対策として即効性があると言われている。
- 即効で胃腸が元気になるマッサージをしてもらうことにした。
【速効の使い方】
- 速効性肥料を使って、この植物を育てるつもりです。
- 糖尿病にかかったため、速効型のインスリン注射を行う。
- 速効性のある炭酸水素ナトリウムを混ぜてください。
【即行の使い方】
- 近所で空き巣が多発しているため、防犯対策を即行する。
- 友人から遊びに誘われたが、予定があったため即行で断った。
- 即行で勉強を終わらせて、ゲームを始めることにしよう。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「速攻」=「すばやく攻めること(スポーツやゲーム)」「すぐさま・ただちに」
「即効」=「すぐにききめが現れること」一般用語として使う。
「速効」=「はやくききめが現れること」専門用語として使う。
「即行」=「その場ですぐ行うこと(対策など)」「すぐさま・ただちに」
専門用語の「速効」以外は、どれも普段からよく使われています。ぜひそれぞれの違いを正しく理解して頂ければと思います。