袖の下 意味 語源 由来 類義語 英語

「袖の下」という慣用句を聞いたことがあるでしょうか?

使い方としては、「袖の下を贈る」「袖の下を渡す」などのように用いられます。ただ、「袖の下」とはそもそもどの部分を指すのかといった疑問があります。

そこで本記事では、「袖の下」の意味や由来、類義語などを含め分かりやすく解説しました。

袖の下の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【袖の下(そでのした)】

人目につかないように袖の下から贈る物。内密に贈る品物や金銭。そでした。わいろ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

袖の下」は「そでのした」と読みます。意味は「人目につかないように贈る品物や金銭のこと」です。

例えば、企業内部の上層部に気に入られようと、こっそりと品物や金銭をあげている人がいたとします。具体的には、高級なお菓子を与えたり、現金を与えたりといった行為です。このような行為は、まさに袖の下を渡すことだと言えます。

つまり、「袖の下」とは相手に対してそっと隠すように渡す品物(金品)そのものを表す慣用句ということです。多くは、目上の人へこびを売ったり、ごまをすったりするような場面で用います。

袖の下の語源・由来

 

「袖の下」の由来は諸説ありますが、「着物の袖の下からきたもの」という説が有力です。

着物においては、両腕を覆う下の部分を「袖(そで)」と呼びます。場所としては、二の腕の下のあたりです。

私たちが普段着るYシャツなども、「そでをまくる」などと言います。衣服では、二の腕を覆う部分を「そで」と呼ぶのです。

話を戻しまして、着物の下にはちょっとした品物なら隠せるくらいのスペースがあります。そのため、昔の役人が「賄賂(わいろ)」を隠して渡す時に大変都合のいい場所だったのです。

この事から、「袖の下」は「内密に贈る品物や金銭」を表す言葉になったと言われています。

現代では、隠し物を渡す時はバッグやポケットの中に隠すのが一般的でしょう。しかし、当時は着物の下に隠すのが当たり前でした。ゆえに、このような着物の場所を指す慣用句が生まれたわけです。

袖の下の類義語

袖の下 類義語 同義語 言い換え

続いて、「袖の下」の類義語を紹介します。

賄賂(わいろ)】⇒不正な目的で贈る金品。
まいない】⇒神への捧げ物や人に贈る金品。※やや古い言い方。
裏金(うらがね)】⇒取引が上手く行くように、裏で支払うお金。
鼻薬(はなぐすり)】⇒少額の賄賂  。※「鼻の病気に使う薬」とは異なる。

類義語はいずれも「裏でひっそりと渡す金品」を指す言葉となります。

この中でも特に「賄賂」と「裏金」は使われやすいです。どちらも政治家や役人などがこっそりお金をもらうような時に使われます。

なお、最後の「鼻薬」は江戸時代にできた言葉で、元は「お菓子」という意味でした。鼻薬は、鼻を鳴らして泣く子供をなだめる際に与えるお菓子でしたが、転じて相手の気を引いて手なづけるための「賄賂」を表すようになりました。

袖の下の英語訳

 

「袖の下」は、英語だと次のように言います。

money under the table

直訳すると、「机の下のお金」という意味です。

欧米人には「着物を着る」という文化がありません。代わりに、「机の下」という見えない場所で相手へ金品を受け渡す表現となります。

なお、「賄賂」自体は英語だと「bribe」と言います。

例文だと、次のような言い方です。

She admitted she had taken bribes.(彼女は賄賂を受け取っていたことを認めた。)

簡易的な表現ならば、こちらを使ってもよいでしょう。

袖の下の使い方・例文

 

最後に、「袖の下」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 袖の下で送ることで、恩恵を受けていた役人が逮捕されたようだ。
  2. 今の時代でも、袖の下を公然と要求する政治家はいるに違いない。
  3. 袖の下を渡すことで、隠密に事を進めることができたと喜んだ。
  4. この先の関所を通るために、門番に袖の下を握らせることにしよう。
  5. 彼は袖の下を通すことにより、裏口入学を許可されたみたいだ。
  6. 政治家と官僚は、お互いが袖の下を贈り合う関係とも言われている。
  7. 彼女は手術当日に、医師にこっそりと袖の下を贈ったと聞きました。

 

「袖の下」は基本的に悪い意味として使われる慣用句です。

いつの時代も政治家や役人は賄賂をもらって逮捕されてきました。現在でもそれを題材としたニュースが頻繁に報道されています。

そのため、負のイメージ、否定的なイメージを伝えるような場面で用いられるということです。

また、最後の例文も解説しておくと、この場合は医者と患者(家族)との間で「袖の下」が使われています。昔から「医者にお金を渡すといい治療が受けられる」という風習があったようです。

真偽については不明ですが、「お金を渡すことにより、少しでもうまく手術を成功させてほしい」という患者側の願いだと思われます。もちろん、医者によっても、受け取る人と受け取らない人がいるそうです。

いずれにせよ、「袖の下」はあまりクリーンな意味では使われない言葉です。もしもこの言葉を使う時は、使う場面をしっかりと判断する必要があると言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

袖の下」=人目につかないように贈る品物や金銭。

語源・由来」=着物の下(そで)は金品をうまく隠せることから。

類義語」=「賄賂・まいない・裏金・鼻薬」

英語訳」=「money under the table」「bribe」

「袖の下」は普段着物を着ない人からするとあまり実感のわかない慣用句かもしれません。ただ、言葉自体は比較的よく使われているため、この機会にぜひ正しい意味を覚えておきましょう。