「助詞」には、全部で4つの種類があります。
①「格助詞」②「副助詞」③「接続助詞」④「終助詞」。
この中だと、「接続助詞」は比較的判別しやすい方とも言われています。なぜなら、語尾に「、」がつくことが多いからです。
ただ、「接続助詞」は意味が複数あるため、文法問題では意外とよく出題されます。そのため、覚え方だけでなく意味や働きなども詳しく解説していきたいと思います。
接続助詞とは
まずは、基本的な意味からです。
「接続助詞」とは「前後の文や文節をつなぐ語」のことを表します。
主として用言または助動詞などに付いて、意味をあとに続けるような使い方がされます。
(例)⇒勉強したから、合格した。
この場合、「から」が前と後ろの文章をつなぐ役割をしているため、「から」のことを「接続助詞」と言うわけです。
「接続助詞」のついた文節は、主に接続語になることが大きな特徴です。そして「接続助詞」は、つなぎかたによってそれぞれ次の4つに分かれます。
①仮定の順接(かていのじゅんせつ)
②仮定の逆接(かていのぎゃくせつ)
③確定の順接(かくていのじゅんせつ)
④確定の逆接(かくていのぎゃくせつ)
「仮定」とは「その事柄が想像上であること」を言い、「確定」とは「その事柄が事実であること」を言います。
また、「順接」とは「当然の内容でつなぐこと」を言い、「逆接」とは「逆(反対)の内容でつなぐこと」を言います。
この説明だけだと分かりにくいため、以下の例文を見てください。
- 明日晴れれば、外出する。(仮定の順接)
- 明日晴れても、外出しない。(仮定の逆接)
- 雨が降ったので、中止する。(確定の順接)
- 雨が降ったが、開催する。(確定の逆接)
赤字の部分が、「接続助詞」を指しています。
この場合、「明日晴れる」という予想は頭の中で思っている想像上のことです。決して「事実」ではありません。
したがって、上の2つは「仮定」でつなぐわけです。
一方で、「雨が降ったこと」はまぎれもない事実です。よって、下の2つは「確定」でつなぐわけです。
そして、後ろの文章が当然の結果であれば「順接」を、逆であれば「逆説」を使うことになります。
両者の見分け方としては、
「仮定」⇒未来について語る場合。「確定」⇒現在について語る場合。
と考えると分かりやすいです。
基本的には、「接続助詞」は「仮定」か「順接」によって文をつなぐことが多いです。
ただし、場合によっては「並立」「補助」「前置き」などの意味で使うこともあります。
【例】
- 暑いし、部屋もせまい。(並立)
- 私は好きな本を読んでいる(補助)
- もう遅いが、今夜はどうする?(前置き)
接続助詞の覚え方
「接続助詞」を覚える上で大事な点があります。それは、「主に活用する語の後ろにつく」ということです。
例えば、以下のような文があったとします。
①走れば、間に合う。
②食べないのに、元気だ。
①は「動詞(用言)・走れ」の後に、そして②は「助動詞・ない」の後に「接続助詞」がついています。
このように、「動詞」や「助動詞」などの活用する語の後ろに付くのが「接続助詞」なのです。
似たような形の「格助詞」と比較してみましょう。
①【格助詞】 ⇒鉛筆で書く。
②【接続助詞】⇒弟が呼んでいる。
①【格助詞】 ⇒駅から歩く。
②【接続助詞】⇒行くから、待って。
①【格助詞】 ⇒友達と遊ぶ。
②【接続助詞】⇒急ぐと、危ない。
「格助詞」の場合は、前の語が活用しません。一方で、「接続助詞」の方は前の語が活用します。
よって、「接続助詞」を見分ける方法としては、「前の語」に注目することにより、ある程度の判断ができるということです。
見分け方の流れをまとめると、以下のようになります。
①「仮定」か「確定」のどちらかを判断する。
②「順接」・「逆接」・「その他」のどれかを判断する。
③前の語が活用するかを確認する。
なお、「接続助詞」は「格助詞」や「副助詞」と違い、形の変化に種類が多すぎるため、語呂合わせで覚えることはおすすめしません。
ただ、一般に「接続助詞」のついた文節の後には読点(、)が付くことが多いです。そのため、まずは読点を探すのが分かりやすいです。
その後で、①~③の流れで判断するというのがよいでしょう。
練習問題
では、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。以下に、問題を用意しました。
①「仮定」とは、【(ア)想像上(イ)事実 】のことを言い、「確定」とは、【(ア)想像上(イ)事実 】のことを言う。
②「順接」とは、【(ア)当然(イ)逆 】の内容でつなぐことを言い、「逆接」とは、【(ア)当然(イ)逆 】の内容でつなぐことを言う。
③「接続助詞」は、主に【(ア)活用する語(イ)活用しない語 】に付く。
①⇒(ア)・(イ)②⇒(ア)・(イ)③⇒(ア)
①次の下線部の内、「接続助詞」はどれか?
(ア)お店で食べる。(イ)なまけたので怒られた。(ウ)3時に終わる。(エ)カードで支払う。
②次の下線部の内、「接続助詞」でないものはどれか?
(ア)強くてやさしい(イ)勝つとうれしい。(ウ)家から歩く。(エ)つらいからやめる。
①⇒(イ)②⇒(ウ)
見分けるポイントは、「前の語に注目する」ということでした。
①は(ア)(ウ)(エ)すべて「格助詞」です。また、②は(ア)と(イ)が並立を表す「接続助詞」、(エ)が確定の順接を表す「接続助詞」です。(ウ)の「から」は「格助詞」です。
次の下線部の「接続助詞」の働きを、選択肢から選びなさい。
①疲れたので、休みます。
②先生にしかられてしまった。
③野球は得意だが、サッカーは苦手だ。
④雨が降りそうだが、出かけよう。
⑤快晴だし、風もさわやかだ。
⑥申し込まないと、売り切れるでしょう。
(ア)仮定の順接(イ)仮定の逆説(ウ)確定の順接(エ)確定の逆説(オ)並立(カ)補助
①⇒(ウ)②⇒(カ)③⇒(エ)④⇒(イ)⑤⇒(オ)⑥⇒(ア)
次の空欄に適切な「接続助詞」を入れ、意味も答えなさい。
①晴れれ( )、ピクニックに行こう。
②日当たりは悪い( )、風通しも良くない。
③いくら食べて( )、太らない。
④止めたところ( )、彼は聞かないだろう。
⑤私は行く( )、あなたはどうする?
⑤道が悪い( )、転んでしまった。
①⇒「ば」「仮定の順接」
②⇒「し」「並立」
③⇒「も」「確定の逆接」
④⇒「で」「仮定の逆接」
⑤⇒「が」「前置き」
⑥⇒「ので(ため)」「確定の順接」
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「接続助詞」=前後の文や文節をつなぐ語。主に活用する語の後ろにつく。
「種類」⇒「仮定の順接」「仮定の逆接」「確定の順接」「仮定の逆接」の4つが中心。その他、「並立」「補助」「前置き」などもある。
「見分け方」⇒読点を探した後、①「仮定」か「確定」か判断する。②「順接」「逆接」「その他」のどれか判断する。③前の語が活用するか確認する。
ポイントは、前後のつながりを確認することです。「現在と未来のどちらか?」「事実と想像のどちらか?」といったことに注目すれば、区別が楽になるでしょう。