「線が細い」という言葉は、普段からよく使われています。「あの人は線が細い。」「線が細い芸能人だ。」
ただ、女性と男性のどちらに使うか分からないと感じる人も多いのではないでしょうか?また、良い意味として使ってよいのかも気になる所です。
そこで今回は、「線が細い」の意味や使い方、類語・英語などを含め詳しく解説しました。
線が細いの意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【線が細い(せんがほそい)】
⇒ほっそりとしていて、ひ弱な感じである。また、繊細で少し頼りない感じがする。
出典:慣用句・ことわざ辞典(成美堂出版)
「線が細い」は「せんがほそい」と読みます。意味は二つありまして、一つ目は「ほっそりしていて、ひ弱な様子」という意味です。
こちらは「人の肉体的な特徴」を表したものとなります。イメージとしては、やせすぎている人や華奢な人などを想像すると分かりやすいでしょう。
そして二つ目は、「繊細で少し頼りない様子」という意味です。
この意味の場合は「人の内面的特徴」を表したものとなります。つまり、その人の性格を表したものということです。
整理しますと、「線が細い」には①「肉体的な特徴」と②「性格的な特徴」の二つの意味があることになります。
どちらの意味でも使うことができますが、両方とも否定的な使い方がされます。言い換えれば、決して褒め言葉として使うものではないということです。
線が細いの語源・由来
次に、「線が細い」の語源を確認しておきましょう。まず、「線」には以下のように多くの意味があります。
- 光線
- 放射線
- 電線
- 路線
- 物事の区切り
- 方針・道筋
- 物の輪郭
- 外見や言動から分かるその人の印象
今回はこの中でも最後の二つ、「物の輪郭」「その人の印象」という意味に当てはまります。
そして、「細い」にも同じく複数の意味があります。
- 小さい
- 狭い
- ケチケチした
- 勢いが弱い
- 弱々しい
- やせた
- 気が小さい
- 繊細だ
「細い」の方は「やせた・弱々しい・気が小さい・繊細だ」などの意味に当てはまります。まとめますと、「輪郭がやせていたり、弱々しい印象を与えること」が「線が細い」の原義ということになります。
女性と男性のどちらに使う?
ところで、この言葉は女性と男性のどちらに使うのでしょうか?
結論から言いますと、原則として男性に対して使う言葉です。。まれに女性に対しても使うこともありますが、ほぼ男性にしか使わないと思って頂いて構いません。
なぜかと言いますと、先に説明した通りこの言葉は悪い意味として使うからです。
よく芸能人やモデルなどでスラっとした女性がいますが、やせている女性に対しては通常、「スタイルがいい」「ウエストが細い」などと言います。
「線が細い」なんてのは聞いたことがありません。つまり、「細い」という言葉があるからといって、女性に対して安易に使っていいわけではないのです。
したがって、もしもモデル体型の女性がいたとしても、「あなたは線が細いですね~」などとは決して言わないようにする必要があります。場合によっては、相手をバカにした侮辱発言と捉えられる可能性もあるためです。
基本的には、男性にも関わらず、ナヨナヨしていて弱々しい人、頼りない人などを対象とするようにします。
線が細いの類義語
続いて、「線が細い」の類義語を紹介します。
【肉体的な意味の類義語】
- 華奢な
- ガリガリの
- ヒリョリとした
- なよなよした
- 棒のような
- 痩せこけた
- 骨の浮いた
- 骨と皮だけの
【性格的な意味の類義語】
- 繊細な
- デリケートな
- ナイーブな
- 傷つきやすい
- 神経質な
- メンタルが弱い
- 脆(もろ)い
- ガラスのハートの
「類義語」は、肉体的な意味を表したものと性格的な意味を表したものに分かれます。どちらもネガティブな意味を持つことには変わりありません。
なお、「線が細い」の対義語は「線が太い」と言います。これは文字通り「細い」の反対語である「太い」を使った表現です。
意味としては、①「体格がしっかりしていて剛健であること」②「強靭な精神力を持っていること」の二つとなります。
どちらもポジティブな意味として使います。決して太っている様子を表す言葉ではないので注意してください。
線が細いの英語訳
「線が細い」は、英語だと次のような単語があります。
- 「slim(華奢な)」
- 「thin(ほっそりした)」
- 「haggard(やせこけた)」
- 「sensitive(傷つきやすい)」
- 「fragile(もろい・虚弱な)」
- 「feeble(弱い・弱々しい)」
- 「unreliable(頼りない)」
英語だと華奢な様子やひ弱な様子を表す言い方はいくつかありますが、この中でもよく使われるのが、「thin」「sensitive」の二つです。
例文だと、次のように用います。
He is a thin man.(彼は線の細い男だ。)
Ken is a sensitive student.(ケンは線の細い生徒だ。)
線が細いの使い方・例文
最後に、「線が細い」の使い方を例文で紹介しておきます。
- あの程度の発言で涙を流すなんて、線が細い男だね。
- 昨日の一言をまだクヨクヨしているなんて線が細いよ。
- 線が細いタイプなので、強く当たるのはやめておこう。
- 彼は線が細いのでいざという時に頼りになりそうにない。
- だいぶ線が細い人だけど、あなたを女性を守れるのかい?
- 今はまだ線が細いので、肉体のトレーニングが必要だね。
「線が細い」は、その人の「肉体的な特徴」と「性格的な特徴」を表す時に使うということでした。
ただ、実際の文章で肉体的な特徴を表すような使い方はあまりしません。多くは、性格的な特徴、すなわち繊細で頼りなかったり弱々しかったりするような人を対象とします。
具体例を挙げますと、ちょっとした言葉ですぐ傷ついてしまったり、困難に会うとすぐに心が折れてしまったりするような人です。あるいは、気が小さくてすぐに元気をなくするような人、いざという時に全く頼りにならないような人なども当てはまります。
このような人間的な大きさを感じられない弱々しい人のことを「線が細い」と表現するようにしましょう。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「線が細い」=①ほっそりしていて、ひ弱な様子。②繊細で少し頼りない様子。
「使い方」⇒どちらも否定的な使い方をするが、②の意味で使うことが多い。多くは男性を対象とし、女性にはほぼ使わない。
「類義語」=「華奢な・痩せこけた・繊細な・神経質な・傷つきやすい」など。
「英語訳」=「slim」「thin」「haggard」「sensitive」「fragile」「feeble」「unreliable」
「線が細い」は、一見すると簡単な言葉にも見えます。しかし、その使い方に十分注意する必要があるということを覚えておきましょう。