論功行賞 意味 語源 由来 使い方 例文 同義語

「論功行賞」という四字熟語をご存知でしょうか?

政治のニュースやビジネスシーンなど様々な場面で用いられている言葉です。ただ、具体的にどのような意味を持つのかが分かりにくい言葉でもあります。

そこで本記事では、「論功行賞」の意味や読み方、由来、類語などを含め詳しく解説しました。

論功行賞の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【論功行賞(ろんこうこうしょう)】

功績の有無や大きさの程度を調べ、それに応じてふさわしい賞を与えること。

出典:三省堂 新明解四字熟語字典

論功行賞」は「ろんこうこうしょう」と読みます。「ろんこうぎょうしょう」とは読まないので注意してください。

意味は、「功績の有無や大きさの程度を調べ、それに応じた賞を与えること」です。

例えば、会社では営業成績がトップの人に対して賞が与えられることがあります。よくあるのが、「金一封」です。営業をとってきた本数、モノを売った金額などを総合的に判断し、実際のお金の額が決まります。

このような会社側の行為は、功績の程度によって賞を与えることなので、「論功行賞」と言えるわけです。

つまり、「論功行賞」とは手柄や功績を評価し、それに応じた賞を与える行為を表すことになります。もっと簡単に言えば、「ふさわしい褒美を与えること」です。

論功行賞の語源・由来

 

「論功行賞」の語源はどのようなものでしょうか。まず、「論功」は「じる」と読みます。

「手柄」のことを「功績」とも言うように、「功」は「手柄」を意味する言葉です。そして、「論」には「言い合う・調べる」などの意味があります。ゆえに、「論功」は「手柄の有無や程度をよく調べ、議論すること」という意味になります。

一方で、「行賞」は「賞を与えること」を表します。「賞」は「褒美」、「行う」は「適切に与えること」を意味することから、「適切な賞を与える行為」を「行賞」と言うわけです。

以上、両者を合わせることで、「功績の有無や程度をよく調べ、それに応じた賞を与えること」という意味になるわけです。

なお、この「論功行賞」は『三国志』の「魏志(ぎし)・明帝紀(めいていき)」に由来します。

「魏志・明帝紀」の一節に、「功を論じ賞を行う」という一文があります。当時は戦争を頻繁にしていた時代だったので、戦争で勝った褒美として位の高い者が家来に金品を与えていました。そのため、上記のような一文が使われていたわけです。

その後、日本でも「論功行賞」は広まるようになり、少なくとも戦国時代からは使われていたと言われています。日本では、戦(いくさ)で勝った武将に対して、朝廷が金銀や領地を与えていました。日本の場合も同様に、位の高いものが低い者に褒美を与えることを由来としています。

論功行賞の類義語

論功行賞 類語

続いて、「論功行賞」の類義語を紹介します。

信賞必罰(しんしょうひつばつ)】⇒功績があれば必ず賞を与え、罪があれば必ず罰を与えること。「信賞」は「賞を与えること」、「必罰」は「罰を与えること」を表す。
恩威並行(おんいへいこう)】⇒恩賞と刑罰をどちらも適切に行うこと。「恩」は「恩恵・思いやり」、「威」は「威厳や厳しさ」を表す。「平行」とは「同時に行うこと」という意味。
報酬(ほうしゅう)】⇒労働などに対して与えられる金銭や物品のこと。「報」と「酬」、どちらも「報いる」という意味。してもらったことに対して、それに見合うだけのお返しをするという意味。
恩賞(おんしょう)】⇒功績のあった者に、主君が金品や地位などを与えること。「恩」は「恩恵や思いやり」、「賞」は「褒美」を表す。

「論功行賞」は褒美を与えることなので、「報酬」と「恩賞」はほぼ同じような使い方ができます。対して、「信賞必罰」と「恩威並行」は、褒美だけでなく罰も与えるという点で意味が異なります。

特に、「信賞必罰」はよく使われる四字熟語なのでこの違いは押さえておく必要があります。

「論功行賞」は良いことにはご褒美をというプラスの面だけを表す言葉ですが、社会全体にとっては、「信賞必罰」や「恩威並行」が必要なのかもしれません。

論功行賞の対義語

 

逆に、「対義語」としては次の言葉が挙げられます。

依怙贔屓(えこひいき)】⇒自分の気に入った人だけを気にかけること。公平でないこと。「依怙」は「不公平」、「贔屓」は「目をかけて引き立てること」を表す。
僭賞濫刑(せんしょうらんけい)】⇒程度が不適切な賞や罰のこと。「僭賞」は「度を超えた褒美」、「濫刑」は「むやみに罰を与えること」を表す。

「論功行賞」は、適切な評価をした上で賞を与えることでした。よって、反対語の場合は「適切で公平な評価をしないこと」もしくは「適切な賞を与えないこと」などを表した言葉となります。

論功行賞の英語訳

 

「論功行賞」は、英語だと次のように言います。

①「granting of rewards(賞を与えること)」

②「conferring of honors(名誉を与える)」

①の「granting」は「grant(~を与える)」を名詞化した単語なので、「与えること」という意味です。また、「reward」は「褒美」という意味です。合わせることで、「賞を与えること」⇒「論功行賞」と訳すことができます。

また、②の「conferring」は「confer(贈る・授与する)」を名詞化した単語なので、「与えること」という意味です。「honor」は「名誉」という意味なので、こちらも同じく「論功行賞」と訳すことができます。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

As the granting of rewards for his service, he was appointed to the Foreign Minister.(論功行賞として、彼は外務大臣に任命された。)

In February, conferring of honors took place.(2月に論功行賞が行われた。)

論功行賞の使い方・例文

 

最後に、「論功行賞」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 戦国時代には、論功行賞で家臣に対して領地が与えられていた。
  2. 営業成績に対する論功行賞人事で、彼は係長から課長へ昇進した。
  3. 社長は論功行賞をよく行うので、社員達はやる気に満ちて仕事をしている。
  4. 今回の内閣は選挙で貢献した人物を多く起用したため、論功行賞内閣と言われている。
  5. 江戸時代の論功行賞は、領地を与えることから地位を与えることへ変わっていった。
  6. わが社では、毎年1回の役員会議により論功行賞の対象を何にするか決めています。

 

「論功行賞」は、「目上の人が目下の人の功績に対して褒美を与える」という意味で使われます。用例を見ても、戦国時代や江戸時代における主従関係、ビジネスにおける上下関係において使われていることが分かるかと思われます。

特にビジネスでは、会社が社員に褒美を与える、上司が部下に褒美を与えるといったように上から下への関係で使われることが多いです。

なお、例文4の「論功行賞内閣」に関してはあまり良い意味では使われていません。

これは政治のニュース記事などでよく目にする文言ですが、過去に首相を支持した議員を優遇したり、首相の気に入った人物を閣僚に選んだりする時によく使います。

政治の世界では、上が下に対して賞を与えることは必ずしもクリーンな印象を与えるわけではありません。したがって、この場合は否定的な意味で使うということです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

論功行賞」=功績の有無や大きさの程度を調べ、それに応じた賞を与えること。

語源・由来」=手柄の程度をよく調べて議論し、賞を与えることから。『三国志』魏志・明帝紀。

類義語」=「信賞必罰・恩威並行・報酬・恩賞」

対義語」=「依怙贔屓・僭賞濫刑」

英語訳」=「granting of rewards」「conferring of honors」

「論功行賞」は簡単に言ってしまえば褒美のことです。ビジネスや政治の世界ではよく目にする四字熟語ですので、この機会に正しい意味を理解しておきましょう。