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羅生門 簡単 解説 テスト対策 授業 わかりやすく

 

『羅生門』は、芥川龍之介による小説文です。有名な作品なため、教科書にも取り上げられています。

ただ、本文を読むと実際にどのような作品なのか分かりにくいと思う人も多いです。そこで今回は、『羅生門』のあらすじやテスト対策、学習の手引きなどを簡単に解説しました。

『羅生門』のあらすじ

 

本文は、大きく分けて4つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①ある日の夕方、暇を出された若い下人が、羅生門の下で雨がやむのを待っていた。京都には災いが続き、羅生門は修理もされないまま荒れ果て、死人の捨て場になっていた。下人は明日の暮らしをどうにかしようと考えながら、雨の音を聞くともなく聞いていた。飢え死にしないためには盗人になるよりしかたないが、積極的に肯定するだけの勇気が出ずにいた。ともかく、この門の上の楼で夜を明かそうと、はしごの段に足をかけた。

②下人がはしごを二、三段上ってみると、上では誰かが火をとぼしている。見ると、死骸が転がる中、ひわだ色の着物を着た、背の低い、やせた、白髪頭の猿のような一人の老婆が、一つの女の死骸の顔を眺めていた。下人は恐怖と好奇心で、しばらくの間、息をするのさえ忘れていた。老婆は死骸から長い髪の毛を一本ずつ抜き始めたが、その髪の毛が一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは恐怖が少しずつ消え、悪を憎む心が燃え上がった。

③下人ははしごから上へ飛び上がり、逃げようとする老婆の腕をつかみ、ねじ倒して何をしていたか尋ねた。下人は憎悪の心がいつの間にか冷め、安らかな得意と満足を感じた。すると老婆は、「髪を抜いてかつらにしようと思った。死人の髪の毛を抜くのは悪いことかもしれないが、ここの死人はそのくらいされてもいい人間ばかりだ。死人も自分も飢え死にしないために仕方なくしたので悪いとは思わない。死人も多めに見てくれるだろう。」と言った。老婆の話が終わると、盗人になる勇気を得た下人は、「では俺が追いはぎをしても恨むまいな。」と言って、老婆から着物を剥ぎ取ると、老婆を蹴倒してはしごを駆け下りた。

④しばらくして、老婆ははしごの口まで這っていき、門の下をのぞき込んだ。外には黒洞々たる夜があるばかりである。下人の行方は、誰も知らない。

『羅生門』のテスト対策問題

 

問題1冒頭の一行には、どのような情報が示されているか?
解答例特定されていない日付、時刻、場所、天気、登場人物の立場とその行動などが示されている。
問題2「からす」の描写は、どのような効果をあげているか?
解答例黒いからすが死人の肉をついばみに来る様子を描くことで、羅生門の辺りが荒れ果ててさびれていることを想像させ、不気味で不吉な印象を与えている。
問題3「きりぎりす」の描写は、どのような効果をあげているか?
解答例冒頭の場面から時間が経過し、下人以外の生き物がいなくなったことで、より静かでものさびしい印象を与えている。
問題4「一人の男」という表現には、どのような効果があるか?
解答例第三者のような表現をすることで、場面が転換したことを読者に印象付ける効果がある。
問題5「この雨の夜に、この羅生門の上で」には、どのような意識が表れているか?
解答例出かけるべきとき、場所ではなく、人がいるべきところでもないという意識。
問題6「ある強い感情」とは、どのような感情か?
解答例猿のような老婆が、死骸の一つの顔をのぞき込むように眺めていた姿を見た時の、しばらく息をするのさえ忘れるほどになった「六分の恐怖と四分の好奇心」が入り混じった感情。
問題7「恐怖」が「憎悪」へと変わったのはなぜか?
解答例老婆が死人の髪の毛を抜いていることを知り、恐怖が薄らぐにつれ、老婆の死者を汚す行為を許せないという思いがわいてきたため。
問題8このときの老婆の「驚き」は、どのようなものか?
解答例雨の夜の羅生門の上で誰もいないはずだと考えていたのに人がいたことと、死人の髪の毛を抜くという悪い行為を見られたことに、弩にはじかれたかのように飛び上がるほど驚いた。
問題9「この老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されている」とは、どういうことか?
解答例老婆を生かすか殺すかは、下人の意志一つで決められるということ。
問題10「老婆の答えが存外、平凡なのに失望した」のはなぜか?
解答例雨の夜、羅生門の上で老婆が死人の髪の毛を抜くという異様な状況から、何か特別な答えを期待したにも関わらず、老婆の答えが思いのほか現実的だったため。また、老婆が普通の悪人だとしたら、それを捕らえた自分の功績も価値が下がると考えたため。
問題11「ある勇気」とはどのような勇気か?
解答例盗人になるよりほかにしかたがないということを積極的に肯定し、盗みをしてでも生きていこうとする勇気のこと。
問題12「嘲るような声」とは、下人のどのような気持ちの表れか?
解答例老婆が、悪い者には悪いことをし、生きるためには悪いことをしてもかまわないと言ったことに対し、同じ論理であれば老婆自らがこれから自分にひどい目にあわされてもかまわない、という皮肉な結末になることを笑いたい気持ち。

活動の手引き

 

問題0

次の傍線部の仮名を送り仮名を含め、漢字に直しなさい。

キガによる死者が増える。

②幼い頃の出来事をカエリミル

③事故で列車がチエンする。

④運動不足で体力がオトロエル

バツグンの成績で入学する。

シセイに生きる人々を描く。

⑦敵の実力をアナドル

⑧彼の不安をイッシュウする。

解答

①飢餓 ②顧みる ③遅延 ④衰える ⑤抜群 ⑥市井 ⑦侮る ⑧一蹴

※「市井」とは「人が多く集まり住む所。まち。ちまた。」という意味。

問題1

①下人の行動とその時の心理を、次の(1)~(3)ごとに整理してまとめなさい。

(1)羅生門の下で雨やみを待っているときから、楼に上るはしごを見つけるまで。

(2)楼に上ってから、死骸の髪の毛を抜く老婆を見るまで。

(3)老婆を取り押さえてから、老婆の語りを聞く前まで。

解答例

(1)

「行動」⇒雨が降り続けて、行き所がなくて途方に暮れている。

「心理」⇒生きるためには手段を選ばないということを肯定しながらも、盗人になることを積極的に肯定するだけの勇気が出ずにいる心理。

(2)

「行動」⇒誰もいないと思っていた楼の上に火の光が見えて驚くが、ただ者ではないと思い、恐る恐る楼の内をのぞいてみた。

「心理」⇒鼻を覆う臭気すら忘れるほど、六分の恐怖と四分の好奇心に動かされていた。

(3)

「行動」⇒老婆を取り押さえ、太刀を突きつけ、何をしていたのか言えと問う。

「心理」⇒老婆の生死が自分の意志に支配されているということを意識し、今まであった憎悪の心は冷め、安らかな得意と満足とがある。老婆の平凡な答えに失望すると同時に、前の憎悪が冷ややかな侮蔑といっしょに心の中に入ってくる。

問題2老婆の語りが、下人の心理の転換点となっていることを押さえた上で、老婆が語る、自分の行為に対する弁明の要点を二点にまとめなさい。
解答例

1・・・生きるためならば、悪いことをするのはしかたない。

2・・・そのことをよく知っている人は、他者が自分に悪いことをしても大目に見てくれるだろう。

問題3下人の考えは、最後にどのような結論に「逢着」したのか?老婆の弁明を自らの結論にどのように応用したのかをふまえながら説明しなさい。
解答例老婆は生きるためなら悪いことをしてもしかたないと理解しているのだから、自分が老婆に引き剝ぎをしても大目に見るだろうというふうに応用し、悪いことをする勇気を持つという結論になった。
問題4老婆の弁明をどのように受け止めるか?現代の倫理観に照らして各自の意見を述べなさい。
解答例現代でも、生きるためなら盗みをしてもしかたないという考えは悪という共通認識がある。しかしながら、私たちの日常では悪人にならなければ死ぬしかないという状況になることはほとんどない。本作の老婆は、そのような極限状態に追い込まれていた心理であったため、その弁明もある程度理解できると感じた。
問題5下人の「引剝ぎ」という行為に対して、下人の行為を否定する立場、または下人の行為を擁護する立場のいずれかに立って、各自の考えを文章にまとめなさい。
解答例

<否定する立場>⇒どんな状況であっても盗みをするのはよくないため、別の手段を考えるべきである。

<肯定する立場>⇒人は追い込まれた極限状態にいる時は、ある程度の悪は許されるのではないか。

まとめ

 

以上、今回は『羅生門』について解説しました。ぜひ定期テストなどの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。